Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【歴史は韻を踏む】厳しさが増しそうな2023年、難局を迎える日本

 

「今年23年は厳しくなることを想定して、低重心の経営を徹底します」

というのは伊藤忠商事の岡藤正広会長CEO。

 予想は当たらないものと痛感したのが昨年2022年と指摘、「これからは相当覚悟をしなければならない」といいます。

伊藤忠・岡藤会長「天才より凡人経営で、最悪に備え重心を低く」:日経ビジネス電子版

ろうそくも消える前にぱっと光を強くするように、景気というのは一時的にぐっと盛り返す。そして皆が「まだいける」と思って、お金を張り、損をするわけです。(出所:日経ビジネス

 アベノミクス以降の10年間、景気は悪くなかったと、岡藤CEOは指摘します。しかし、好景気はそう長く続かないと思わなければならないといいます。

 

 

2023年、大損をしないという心構えで

「皆が行けというときに行ったら、あかん、皆が引けと言っているときに行く」と岡藤CEOはいいます。

「先のことを考え過ぎずに、最悪を想定して備えること。強気一辺倒ではなく、慎重に。大もうけはしないけど、大損はしないという心構えが、経営者には必要になっているのかもしれません」とします。

 投資の鉄則と同じということでしょうか。これから底に向かうとも聞こえます。

靴磨きの少年」の話があります。一般庶民が株の話をしだすと、株価は天井圏にあり、近く暴落する可能性があるという逸話です。

 政府が「NISA」制度を見直し、みなが投資に注目するこのときに、水を差すことなのかもしれませんが、慎重にあるべきなのかもしれません。

うそぶく総裁、荒れる相場

 外国為替市場で円高が進行したといいます。一時1ドル=129円80銭台を付けたといいます。

円急騰、一時129円台 7カ月ぶり円高水準 | 共同通信

 記事によれば、日銀が今月開く金融政策決定会合で、物価上昇率の見通しを上方修正するとの見方が拡大し、大規模な金融緩和策をさらに見直すとの思惑から日米金利差の縮小が意識され、投資家の間でドルを売って円を買う動きが強まったといいます。

 日銀の黒田総裁は「利上げではない」といいますが、市場はそう解釈していないということなのでしょうか。

 

 

金利は上がっていますし、利上げが本格化すれば企業の調達金利も上昇するでしょう」と前出岡藤CEOは指摘しています。

昔は、お金を借りれば利息が必要ということは、皆分かっていました。しかし、この10年、ほとんどの経営者は、「金利はただ」と思っているわけです。本来はコストである金利を払うようになれば、ゾンビ企業は淘汰されるでしょうね。(出所:日経ビジネス

 これまでの日銀の緩和政策によって、お金が潤沢に供給されることで、景気は維持されてきたというところでしょうか。

 しかし、魅力的な金利が悪作用していたということでもあるのでしょう。ぬるま湯につかることで、本来しなければならなかったことをやらずに済んでいた時期なのかもしれません。それでは成長も何もないのもの理解できます。

米中対立、求められる変化する世界への対応

 目を外に向ければ、米中対立が激化しています。米国はこれまでにない厳しい輸出規制を中国に発動し、日本や欧州にも同調を迫るようになっています。一方、中国も報復を辞さない構えであり、2023年はハイテク分野における米中の争いが一段と進むとの予想があります。

半導体、大競争時代に突入 米中対立、世界を分断―武器化する経済:時事ドットコム

「少なくとも今後10年間、冷戦期以来となる大国間競争が続く」と、「CHIP WAR(半導体戦争)」の著者の米タフツ大のクリス・ミラー准教授がそう指摘しているといいます。

 米国はAI人工知能スーパーコンピューターに使われる先端半導体の開発を遅らせ、中国の軍事力の向上を阻止することを狙っているといいます。また、米下院で過半数をとった共和党は「脱中国依存」を加速させるよう主張し、バイオテクノロジーや量子関連などにも規制の網が広がる見通しといいます。

 これまでのグローバル化による世界の共存共栄は岐路を迎え、米中が経済力を「武器」に互いを威嚇し、また冷戦時代に戻ったような構図に戻ってしまうのでしょうか。

ミラー氏は「日本は地政学的にも軍事的にも中国から挑戦を受けやすい一方、貿易面では中国と関係が深い」とした上で、「急速なデカップリング(分断)は利益にならない」と強調。攻守のバランスの取れた経済安全保障戦略を検討するよう促した。(出所:JIJI.com)

 

 

繰り返される歴史

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」という名言があります。まったく同じことが繰り返されることはないが、似たような出来事が起きることはあるとの意味です。

 今起きつつあることからすれば、この言葉の正しさを証明しているのかもしれません。また、それは問題に対処する方法を示唆しているともいえるのでしょう。

 過去にあった出来事に人々はどう対処してきたかを知れば、この難しい時期を乗り越えるヒントになるということなのかもしれません。

 

 

「参考文書」

今後10年が勝敗の分かれ目に 米中緊張、日本に試練―「半導体戦争」著者:時事ドットコム