Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

日本の農業ロボットが米国でイノベーション大賞、不可避になった農業の生産性向上

 

 米国ラスベガスで開催されていたテクノロジー見本市「CES 2023」が、様変わりしているといいます。今年は、農業機械の自律化や電動化、新しいロボットなどが関心を集めていたそうです。

CESの主役は農業・食品技術に、自律的な農機・ロボットで食料不足を解消 | 日経クロステック(xTECH)

 「CES」といえば、かつては、テレビやPCなどの消費者向け新製品を展示する場だったのが、スマートフォンなどのモバイル機器が加わるようになり、出展分野も拡大、全世界に最新技術を披露する場に変わっていったといいます。

 ここ10年程、最新EVや自動運転技術を主役だったといいますが、そこに変調があるといいます。トヨタ自動車や韓国 現代自動車などが出展を見合わせ、その代わりに、環境問題や人手不足、インフラの老朽化といった社会問題を解決するための技術が増えてきているそうです。

 

 

食糧危機:不可避なテクノロジーによる農業の生産性向上

「農業の生産性を現在よりも50%以上高めなければいけない」、CESの基調講演でそう訴えたのは米農業機械大手の「ディア」のジョン・メイCEO、世界における人口増によって生じる食糧不足が深刻化することを危惧してのことといいます。

 今後も爆発的に世界の人口は増えるのに、一方では、人手不足が顕在化し、人件費の上昇を続け、それに加えて燃料や肥料なども高騰するようになっています。農業においても他の産業同様に、生産性を向上させなければならないことは理解できます。それに加えて、農業においては、バイオエコノミーの出現で、農地が不足することも指摘されるようになっています。

 画期的な技術進歩が求められている分野ということは間違いなさそうです。

CESでイノベーション大賞に輝いた日本の農業ロボット

 農作物を自動収穫するロボットを手がける日本のスタートアップAGRIST(アグリスト)も、今年の「CES」に「ピーマン自動収穫ロボット「L」」を出展したそうです。またこのロボットは、今回の「CES」で「CES 2023 Innovation Awards」を受賞したといいます。

 記事によれば、このスタートアップは農園を自営し、そこに収穫ロボットを導入しているそうです。当初はロボットの販売ではなく、ロボットの活用で生産性を高めてコストを削減し、おいしい野菜を手ごろな価格で販売する事業から始まったそうです。

 

 

 このロボットがピーマン1個を収穫するのに約1分の時間がかかるといいます。人がやればもっと短時間で収穫できますが、「L」がやることで人はその間、ほかの仕事をできるようになるといいます。

宮崎:[未来を耕す]〈1〉AIロボ ピーマン収穫:地域ニュース : 読売新聞オンライン

「人手不足でパートやアルバイトの確保も難しくなってきており、「L」が実用化されれば収量が上がり、人による取り損ねも減らせる可能性がある。性能が上がれば人手不足でも農地を広げられるかもしれない」と、「L」の開発アドバイザーを務めるピーマン農家の福山望氏がそう語っています。

(写真:AGRIST)

 日本の農家の平均年齢は現在67歳で、2030年には農業従事者が半減する予想もあるそうです。

 こうした取り組みで、農業が安定的な収入ももたらす魅力的なビジネスであることが認識され、従事者が増えていくことが望ましいのでしょう。そうであれば、食の安全保障にも寄与していくことになりそうです。

 

「参考文書」

ピーマン自動収穫ロボット 世界最大級の家電・IT展示イベント「CES2023」でイノベーションアワードを受賞|AGRIST株式会社のプレスリリース