Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

少子高齢化、世代間格差、春闘、日本は変わるのか

 

 イェール大学助教の成田悠輔氏の発言が物議を醸しているようです。高齢化社会の解決のためには「高齢者は集団自決すれば良い」という趣旨の発言をしていたそうです。行き過ぎのような気がします。

「高齢者は集団自決」で爆笑するな|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

「集団自決」という言葉を使ってはいるが、とりあえず多くの場合、成田氏は「世代交代」の文脈で、この言葉を過激な「メタファー」として用いている。一方、「自決」という言葉のイメージ通り社会福祉カットの文脈でも彼はこの言葉を用いることもあり、その境界は未分化だ。(出所:ニューズウィーク

 

 

日本社会の衰退化

 日本社会の衰退化傾向が顕著になってきており、その要因に少子高齢化もあり、足手まとい・お荷物となりうる存在を切り捨てたいという欲求を持つ人が増えつつあるともいいます。

 一方、でエイジズムと呼ばれるような年齢差別は解消するべきだ、というのが世界の流れで、主に雇用に関する差別をなくすよう、各国で立法化がなされているといいます。

 そう中にあって、「集団自決」発言はその流れに逆行するだけでなく、特定の年齢層への憎悪表現ということもできるだろうと記事は指摘し、時にこうした排斥が、思わぬことに進展すると警鐘を鳴らします。

「恵まれない者たちの救済」という大義名分が、たとえば、ドイツではナチスの台頭を許したといいます。~ナチスは苦しい生活を強いられているドイツ人の味方を標榜し、ユダヤ人を排斥した。

 いずれにせよ、高齢者が優遇されるとみられる政策が実行され、一方で若年層は等閑にされていると感じ、不満を募らせているのは、それはそれで現実なのでしょう。

 政治の問題なのでしょうが、政治の変化が期待できなければ、極論が出てしまうのも自然な流れなのかもしれません。ただそれでいいのかという問題は常につき纏います。

歴史の分岐点

 通常国会が始まり、首相は施政方針演説で「歴史の分岐点」と口にしました。その背景にはロシアによるウクライナ侵攻や米中対立など国際情勢の変化があり、優先されるべきは積極的な外交の展開とし、同時に、外交には、裏付けとなる防衛力が必要といいます。

 また、こうした変化に対応するのが、「新しい資本主義」で、これは世界共通の問題意識を基にしているとし、社会課題を成長のエンジンへと転換し、社会課題の解決と経済成長を同時に実現し、持続可能で、包摂的な経済社会を創り上げていくといいます。

 一方で、問題となっている少子高齢化は、この後になってようやく語られ、「年齢・性別を問わず、皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したいと思います」と述べています。

 

 

 こんな取り組みでよいのでしょうか。しかし、これもまた現実の政治なのでしょう。

 一部報道では、政府は、5月広島で開催されるG7サミットを機に低迷する支持率の回復を狙っているといいます。そんなニュースを目にし、穿った見方をすれば、わかりやすい施政方針演説と言えます。しかし、それではなおざりにされた世代はなおざりのままになってしまうような気がします。

 国内の空気感が悪化するのも当然なのでしょう。ほんとうに歴史の分岐点になりはしないかと心配になります。

春闘

 経団連と連合の労使トップ会談で、今年の春闘が始まったそうです。労使ともに賃上げに強い意欲を示すなかで、物価動向をどこまで反映できるかが焦点となるそうです。

春季労使交渉始まる 経団連会長「物価重視で賃上げ」: 日本経済新聞

 記事によれば、連合の芳野会長が「労使が力を合わせて日本の未来をつくりかえるターニングポイントとすべきだ」と発言し、「大企業だけでなく中小企業やパート、契約社員なども含めて日本全体で継続した賃上げを実現しよう」と求めたといいます。

 ここにも分岐点があるようです。