物価の高騰が止まりません。先行指標でも東京23区の消費者物価指数が昨年に比べ4.3%上昇しているといいます。このうち、財は前年比8.1%の上昇であるのに対し、サービス価格の上昇は1.2%にとどまっているそうです。専門家の見立てでは、賃金上昇が伴っていない現れではないかといいます。
一方、物価高騰の影響を受けるなどした企業倒産が増加しているそうです。
帝国データバンクによれば、「フィットネスクラブ」の倒産が急増しているといいます。物価高で家計節約が見られ、会員獲得競争で苦戦していることが理由のようです。
強まる「ゾンビ淘汰」の波 年間倒産件数は前年を361件上回り、3年ぶり増加 倒産件数は6376件、破産はリーマン・ショック時以来の増加幅― 全国企業倒産集計2022年報|TDBのプレスリリース
この他にも、「人手不足倒産」や「ゾンビ企業」、「物価高(インフレ)倒産」も増加しているといいます。
金利上昇、淘汰のとき
物流の「2024年問題」を前に運輸業の倒産は前年から倍増し、人手不足による悪影響が深刻化しているといいます。
またコロナ渦における「ゼロゼロ融資」の元金返済が迫り、今年には実質的に免除されてきた利払いもスタートするといいます。その上、この先は金融緩和縮小により、金利上昇が生じ、「債務ショック」が起きる可能性もあるといいます。
国内金利上昇に備えを、金融庁が地銀トップに要請-関係者 - Bloomberg
低金利や各種金融支援を支えによろめき歩く状態を容認し、リストラやリファイナンスなどによる経営再建の可能性を追求するべきか、それとも市場健全化に向けゾンビ企業の淘汰を進めるべきか、分岐点が近づいている。(出所:帝国データバンク)
他方、人手不足が顕著なIT関連や対個人サービスを中心に、予想される賃上げの動きに取り残されかねない中小企業の動向にも注意が必要といいます。
「万単位に上る根本的なリスクを抱えた企業数に対し、金融機関などで支援可能な企業数は限りがあり、今後、事業再建に向けた経営計画を策定するなかで、実現可能性が低いと判断され支援を受けられなくなるケースの増加もある」と帝国データバンクは指摘しています。
生き残るために変革に取り組まなければならないようです。国はこうした状況を見切った上で、企業にはDX:デジタルトランスフォーメーションを求め、個人には「リスキリング」を推奨しているのでしょうか。
ヒントを求める
「経営環境は常に変動し、当然のことながら、金儲けやビジネスチャンスがなくなることがあり、会社はそこで消滅するか、別の形態や方向を求めて変身していかざるを得ない」とファーストリテイリングの柳井社長はいいます。
新しい事業の目を出し続けない限り、賞味期限が切れたら、そこでお終いなのだ。(引用:「一勝九敗」柳井正)
この本で柳井氏は、創業まもないファーストリテイリングが如何に家業から脱皮していったかを説明しています。
会社全体に必要な業務・機能を整理、社員の役割、目標を明確に定め、組織図を書く。
.....月次決算をスピーディに正確に実施する。年度予算と月次決算を比較し、差異を分析し、直ぐに手を打つ。
(中略)
POSシステムの見直しと商品情報・販売情報システムの新システムを導入する ......
(引用:「一勝九敗」柳井正)
シンプルで、あたり前のことですが、こうしたことから変革が始まるのかもしれません。そして、こうした変革には常にデジタルはつきものといってもいいのでしょう。
DXが逆効果、強みを失いトラブルが多発した工場 | 日経クロステック(xTECH)
「参考文書」
円は130円付近、東京CPI上振れで上昇-共担オペ通知後に上げ縮小 - Bloomberg
「物価高倒産」が2.3倍に急増! 待ったなしの中小企業に迫られる“経営改革”|日刊ゲンダイDIGITAL
「物価高倒産」320件、前年比2.3倍に急増 単月では12月が最多を更新|TDBのプレスリリース