国を震撼させる連続強盗事件、著名なコメンテーターでもあり国際政治学者の失墜にスキャンダル、首相の問題答弁、この国のモラルはどうなっているのでしょうか。
その時々の空気感や常識によって、人は大きく影響を受けるといいます。
以前では考えられなかったことが起きるようになったのも、知らず知らずのうちに、社会から影響を受け、感化されているのかもしれません。このままでは、悪い方向へ悪い方向へと向かっていってしまいそうです。
SDGsやサステナブルに関心が向き、その実現を目指す中で、その時代にあった規範や常識が形成されれば、もっと良い社会になるのではないかと思ったものです。しかし、なかなかそうはならないのがやはり現実なのでしょうか。
人権侵害
米国上院議会が自動車メーカー主要8社に対して、ウイグル問題についての質問状を送付したそうです。
米議会が自動車メーカー8社にウイグル問題で質問状、日本への影響必至 | 日経クロステック(xTECH)
記事によれば、質問状では、中国による新疆ウイグル自治区での人権侵害は容認できないとし、同自治区において生産された部材や原材料を使って自動車を生産・販売すべきではないと、「部材や原材料について同自治区の強制労働への関わりがないことを証明するため、デューデリジェンスを実施せよ」との内容になっているといいます。
人権問題を改善、根絶しようとの願いからの行動なのでしょうか。それよりも政治的な色彩が濃いのでしょうか。
こうした取り組みで、共通認識を形成し、新しい規範を作っていくことが、SDGsやサステナブルの根幹のような気がします。そして、それが新たな秩序となり、互いの違いを乗り越えていくべきなのでしょう。
しかし、主義主張の違いを未だに克服できず、問題の改善は進まないようです。
国内回帰
海外からの原材料・商品等の調達が以前より難しくなってきています。それに円安、価格高騰も加わっています。ロシアによるウクライナ侵攻や米中対立など地政学的リスクの高まりなどが背景にあるといいます。
こうした中、生産拠点や調達先などの国内回帰や国産品への切り替えの動きが一部の企業で出てきているといいます。
「安定的な調達」を主な理由にして、海外調達または輸入品の利用をしている企業の4割が生産拠点などを国内回帰や多様化、国産品への変更などを検討、実施しているそうです。
調達の国内回帰、4社に1社検討 安定重要、円安でコストも増大 | 共同通信
国内外ともに不確実性が高まっているなか、企業はさまざまなリスクを想定したうえで自社にとって最適な調達体制を見極めることの重要性が増しているといいます。
あなたが今考えていることは、見ようによっては「環境によってそう考えさせられている」ことが少なくない(出所:NEWSPICKS)
「政府による国内回帰を促す政策や国内生産能力・生産効率アップのための支援策が打ち出されているなか、企業はそれらを活用しながらピンチやリスクをビジネスチャンスと捉え、将来に向けた事業変革を行っていくことが肝要となろう」と、帝国データバンクはいいます。
現下の地政学リスクを元にすれば、こうした意見があることは理解できない訳ではありません。しかし、はたしてそれでいいのだろうかとの疑問もあります。
何か押しつけられているようで、目指すべきものから離れていくのではないかとの危惧を感じたりもします。
哲学
「毎日のように異なる人々が出会い、時には紛争も起こる世界においては、その意見の不一致を明確にし、同意できる領域を見極めるという点において哲学は重要な役割を担う」と政治哲学者のマイケル・サンデル教授はいいます。
「人類全体とのある種の普遍的な一体感の中で、人権の重要性が増している」ともいいます。
何かヒントを与えてくれているような気がしてなりません。
「参考文書」
4社に1社が「国内」「国産」へ回帰 サプライチェーン混乱による調達難が最大の理由 日本国内の「生産能力」や「コスト競争力」が課題|TDBのプレスリリース