企業における異業種への参入が多く見受けられるになっています。
縮小する国内市場を見え据えれば、当然の動きのようにも思えます。理由はそれだけではなく、様々なことが相まってのことなのかもしれません。
同じ事業を続け、マーケティング理論を駆使し、マーケットイン思考で、手を変え品を変えたところで出てくる商品は同じようなものばかりで、結局、価格の競争になってしまいそうです。
何から何までがらりを変わっていくこの時代にあっては、そうした思考はもう時代遅れということなのでしょうか。
市販薬や化粧品などの事業を展開するロート製薬が、食の新ブランド「ロートレシピ」を始動させ、食の複合施設 「ロートレシピ 茶屋町店」をオープンさせたといいます。
ロート製薬が「食」に本腰 健康食の新ブランド展開 - 日本経済新聞
できれば薬に頼らない製薬会社になることが本当の社会貢献だと考えている。そのためには、健康の元である食事に着目し、掘り起こしていく必要がある。人の健康を科学してきたロートだからこそ、その知見を使ってウェルビーイングの構図を作っていきたい(出所:日本経済新聞)
記事によれば、ロート製薬の檜山COOが、食事業を強化する理由をこう説明したといいます。「医食同源」という言葉を連想します。
ロート製薬の創業は1899年、創業者は「万病の元は胃にある」と考え、それが胃腸薬の発売につながったといいます。そして、今では「コネクトforウェルビーイング」にというビジョンになり、体と心の健康につながる事業を目指すようになったといいます。
ビジョンの実現のためなら、たとえ競争の激しい食分野であっても、あえて挑戦するということなのでしょうか。
ロートレシピ
「おなかの底から元気になれる」をブランドコンセプトに、その人その時にあった食事を、素材から調理までロートらしく調合することで「おいしく、健康的で、サステナブル」な食の体験をご提供していく事業が「ロートレシピ」といいます。
「ロートレシピ」の3つ目にあがる「社会と文化を未来に繋げる」は、循環型農業やフードテックを取り入れて環境や地域社会にも配慮していくとし、テクノロジーと未来の食についても積極的に取り組んでいくそうです。
記事によれば、「フードテックやヘルステックにもつないでいきたい」と、「ロートレシピ 茶屋町店」を運営するロートウェルコートの熊澤社長は意気込みを語っているそうです。
新メニューを支えるフードテック
「ロートレシピ 茶屋町店」で提供される「南(ぱい)ぬ豚の網脂ハンバーグ」は、沖縄県石垣市で循環型農業で育てられたアグー豚を使用しているそうです。アグー豚は有機パイナップルの搾りかすを飼料にして育ち、その排せつ物を堆肥にして、またパイナップルを栽培しているといいます。
また、沖縄の海で生まれたスーパーフード「微細藻類パブロバ」を使用した「海藻のペペロンチーノ (パブロバ藻のフェットチーネ)」も提供されているそうです。パブロバの風味を旨味として最大限活かしたパスタといいます。
「微細藻類パブロバ」は、微細藻類の一種で、モズクや昆布などにも含有される希少成分フコキサンチンを多く含み(モズクや昆布の100倍以上)、青魚の油脂成分である「EPA」や「DHA」などのオメガ3脂肪酸も多く含有しているそうです。
パスタで使用される「パブロバ」藻粉末は、ロート製薬が2022年2⽉に、沖縄県のオーピーバイオファクトリーと共同で⽴ち上げた「AMU LABORATORY」での技術が活用されているといいます。
また、この他にも、東南アジアや南米などで栽培される果実「ジャックフルーツ」を使用したメニューが開発段階にあるといいます。海外ではジャックフルーツの代替肉も開発されている注目食材です。どんなカタチになって提供されるのでしょうか。
まとめ
こうしたテクノロジーを独自技術として、自社で研究開発できるのが理想的なことなのかもしれません。しかし、ロートのように外と連携し、その技術を活用、それを世に広めていくのもありなのでしょう。
これまでのようなマーケットイン的な思考のままでは実現できなかったのかもしれません。
そんな目利きができたり、それを具現化し、商品化する能力を持った人材も求められるようになっているのかもしれません。こうした「スキル」をリスキリングで身につけるのもいいことではないでしょうか。
「参考文書」
「おなかの底から元気になれる」食からウェルビーイングを叶える食の複合施設 「ロートレシピ 茶屋町店」詳細を公開|カフェ・カンパニー株式会社のプレスリリース