二酸化炭素と水素から作られる合成燃料「e-fuel(イーフューエル)」に注目があつまるようになるのでしょうか。
EU欧州委員会が、「e-fuel」を利用する場合に限り、2035年以降も内燃機関を搭載した新車の販売を認めることを、独政府と合意したといいます。
EU、エンジン車容認へ 合成燃料に限定、独と合意:時事ドットコム
EUは当初、全てのエンジン車を禁止する方針でしたが、反対していた自動車大国ドイツとの対立を解消するのが狙いといいます。
「e-fuel」の生産を始めた独ポルシェ
独ポルシェアが南米チリに、合成燃料プラントの建設を始め、昨年末にこのプラントが稼働を始めました。
チリで合成燃料の製造工場が稼働開始、ドイツのポルシェやシーメンスが参画(チリ、ドイツ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
ポルシェはこれまでに合成燃料に1億ドルを超える投資を行い、この新しいプラントでは2023年に約13万リットルの「e-fuel」を製造し、2025年までに約5,500万リットル、その約2年後には約5億5,000万リットルまで引き上げていくと発表していました。
記事によれば、合成燃料は当面、モータースポーツや試乗施設などのパイロットプロジェクトで利用するといいます。
遠くない将来EUのEV政策が見直されることもあるのではないかと思っていましたが、やはりとの印象です。
今後もEVがメインストリームであるのかもしれませんが、今回のEUの決定はEVシフトに影響するのでしょうか。
気になるホンダ、F1への復帰はあるのか
自動車レースの最高峰「F1」も、2030年のカーボンニュートラルの目標を掲げ、2026年からは、次世代パワーユニットを投入しそれと同時に、使用する燃料を100%持続可能燃料にするといいます。
F1から撤退したホンダが、2026年からのF1パワーユニット製造者登録を済ませているといいます。
そのホンダは国内勢にあっては早くから「e-fuel」を研究していました。
空気と水さえあれば、ガソリンと同じような燃料が作れる……ホンダF1で加速する、未来への技術”カーボンニュートラル燃料”の開発
再参戦を視野に入れてのことなのでしょうか。ただ実際に参戦するかどうかはまだわからないといいます。
一方で、独ポルシェや米フォードなど欧米の自動車メーカがこのF1の次世代パワーユニットの開発でしのぎを削っているそうです。現在のF1のエンジンは一般市販車とは仕様は異なりますが、ハイブリッドです。
EVシフト
EVシフトの今後が気になります。最近の紙面論調はEVシフトばかりでしたが、専門家たちの見立てにも変化はあるのでしょうか。
EVシフト、日本は出遅れ? 「後出しジャンケンでは間に合わない」-識者に聞く【news深掘り】:時事ドットコム
「EVシフト」、EVがエンジン車にとって変わっていくというストーリーはビジネスとしては興味をかき立てられ、そこにさらなる成長との期待の夢が膨らむのかもしれません。
ただそれが現実的なことなのかというと疑問符がつきます。また、それがほんとうに地球と人々にとって優しいのかということにも疑問があります。
JETROによれば、ポルシェの役員は「ポルシェは車両の電動化と同時に、補完的技術として合成燃料にも取り組む」と語り、また、ポルシェを傘下に収めるVWグループのCEOは、既存の内燃機関搭載車や船舶・航空輸送などを考慮すると、「合成燃料が一定の役割を担う可能性もある」とし、「VWグループではポルシェを通じて合成燃料の開発を続ける」とコメントしているといいます。
一足飛びのEVシフトはないのかもしれません。
「関連文書」
「参考文書」
欧州委、合成燃料利用なら内燃機関の新車販売容認か | ロイター
F1復帰…梯子を外されたホンダの行く先…長期関与の欠如が生んだ”レッドブル・フォード” | Formula1-Data / F1情報・ニュース速報解説
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