郵便局の配達にEVバイクが導入され、たびたびそれを見かけるようになりました。こうして脱炭素が徐々に進んでいくのかもしれないと思ったりします。
進まないEVシフト
一方で、なかなか進まないものもあるようです。
5年間で導入台数は世界でわずか450台程度。2017年7月に生産が始まった三菱ふそうトラック・バスの小型EVトラック「eキャンター」のこれまでのリース実績だそうです。
顧客がいない深刻な現実、トラック業界を悩ませるEVシフト幻想 | 日経クロステック(xTECH)
「環境先進企業の顧客の導入に期待しているのだが……」。
記事によれば、日本ばかりでなく、海外においてもEVトラックが売れている市場がないといいます。
ガソリン車の燃費に相当する「電費」が悪く、しかも値段が高い、EVトラックの「EVシフト」は幻想でないかといいます。
環境のために必要だ、重要だと口にするものの、ほとんどの顧客が金を出そうとしないEVトラック。しかし、自動車メーカーが製品を出さないとEVへの対応の後れを世間やメディアなどが非難する──。(出所:日経クロステック)
一足飛びに理想が実現することはないにしても、メーカ側の普及させようとする努力不足もあるかのもしれませんし、現実を知ろうとしない専門家たちの過剰な期待もあるのでしょうか。
募る危機感
こうした状況に危機感を抱く人たちもいます。
目の前で起きることにがっかりしすぎて、崩れ落ちそうになることもあります。気候変動の問題は、知れば知るほど先の未来に絶望して、心を病んでしまうこともある。ただ、力を結集させないと大きな問題を前に風穴を開けることはできないし、希望を持てないと、変える力にはなりません。(出所:日経ビジネス)
環境活動家による社会の啓蒙が不可欠なのでしょう。しかし、それをもう少しわかりやすく世の中に伝え、広めていく努力も必要なのかもしれません。
脱炭素に目覚めた政府
原発、アンモニアに続いて、政府が次世代の脱炭素燃料として「水素」の導入目標を示す方針といいます。導入目標を明確にすることで企業の投資を促すそうです。官民合わせて今後15年間で15兆円の投資計画を検討するといいます。
脱炭素、エネルギー安保の主導権握れるか 水素基本戦略改定 - 産経ニュース
水素の他にも、次世代太陽電池の「ペロブスカイト型太陽電池」を30年までに普及させる方針や「浮体式洋上風力発電」の導入目標を23年度中に策定するそうです。さらに住宅用などの蓄電池についても今後の導入見通しを今夏にも定めるといいます。
報道にも依るのかもしれません、目標、目的を忘れて「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」になっているようにも見えます。
循環経済 ~G7サミットに向けて
G7 気候・エネルギー・環境相会合が次週札幌で始まります。
この会合で「循環経済の実現に向け企業が取り組むべき行動の指針」を採択する方向で調整が進んでいるといいます。
“循環経済” 実現に向けた指針採択で調整 G7環境相会合で | NHK | 環境
企業は中長期的な戦略を作り全体で取り組む意識を高めることや、リサイクル材での製造やシェアリングサービスの促進など、資源を効率的に活用するビジネスモデルを作ることとしています。(出所:NHK)
また、製造とリサイクルなど異なる業界の連携を強化して供給網全体で資源を有効活用するなどの具体的な行動の指針を盛り込み、この他にも、生物多様性の保全に向けて企業の活動を促進するための新たな枠組みを作り、海洋プラスチックごみ対策の重要性を確認する見通しといいます。
「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定しました (METI/経済産業省)
「一気呵成」というのでしょうか。あれやこれやと企業への要求事項が増しているようです。「持続的な賃上げ」「子ども政策」「DX」「人的資本経営」などの課題もあります。
歴代政権のツケもあるのでしょうが、こんなに多くの課題を押しつけられて企業は対応できるのでしょうか。不完全燃焼にならないか心配になります。
「参考文書」
水素供給網に15年で15兆円投資 40年に供給量6倍を計画 - 日本経済新聞