村上春樹さんが6年ぶりに長編小説『街とその不確かな壁』を出版しました。
村上春樹氏、新作「街とその不確かな壁」を刊行「年齢重ね、内面描く」一問一答 - 社会 : 日刊スポーツ
まだ読んでいませんが、気になるタイトルです。
-タイトルにある「不確かな壁」とは?
「いくつか意味がある。一つは実際に壁が形を変えて動くということ。もう一つは、自分ともう一つの世界を隔てる壁は本当に堅固なのかという疑問。僕は『壁抜け』というのが人生にとって非常に重要だと思っている。意識と無意識の間の壁を抜けて、自分をより深いところで発見する。それが人間や小説の大事な作業だと思うんです」(出所:日刊スポーツ)
さらに、「論理とか整合性では描ききることのできない世界を描きたかった。あるものからあるものへと移行する中でどういうふうに意識が流れていくかということが、僕にとっては大事なんです」と村上さんは語ります。
作中には「魂にとっての疫病」といった言葉もあるそうで、それを問われた村上氏は「世界が不安定になってくると、狭い世界に逃げ込みたいという気持ちが出てくる。壁に囲まれた街のような、幻想的な世界に。それは良いものであるかもしれないし、悪いものかもしれない。でも、現実の外の世界との交流はすごく大きな意味を持っている」と答えます。
小説としてどんな風に描かれているのか気になります。
現実
今朝、Jアラート 全国瞬時警報システムが鳴り響き、弾道ミサイルとみられるものが北海道に落下するとして避難が呼び掛けれました。
その後、政府は、落下の可能性がなくなったとして発表を取り消しましたが、繰り返されるJアラートで危機感を煽られているような気になります。
こうしたことが続くことで私たちの無意識にはどんなことが刻まれ、記憶されていくのかと心配になります。
遠い異国では紛争がまだ続いています。これを端にして物価が高騰するようになり、またエネルギー危機、食糧危機が改めて意識されるようにもなりました。様々な安全保障が喫緊の課題となりますが、解決への道筋が不明瞭なままで、確かなことが少なっているような気がします。
自我を守るための壁が攻撃されているような気分になります。その壁が壊されてしまうと、容易に何か染め上げられてしまうのが人間といいます。
村上さんのインタビュー記事を読んでそんなことをふと感じました。
自我
毎日のように、○○危機とかその手の話ばかりを聞かされ、故意的に危機にさらされ続けているようなものです。何かに激高したり、暴走したり、大切な自我を守っていない人が多くなっていないでしょうか。影響があるのかもしれません。
フロイトの仮説によれば、人の行動は無意識によって左右されるといいます。そして、その無意識は大切な自我の一部でもあるといいます。今は高い壁を設けて自我を守った方がよさそうです。
「参考文書」
村上春樹、新刊「街とその不確かな壁」は「40年前の決着をつけたかった」 : 読売新聞