グローバル化を謳歌し世界が密接につながるようになると、今まで隠れていた問題が顕在化しました。豊かになる人々がいる一方で、搾取されたり、弾圧される人々の存在が明らかになりました。
こうした状況を鑑みてのことか、欧米では、人権に関するデュー・ディリジェンスの実施を義務付ける法制化が進みました。一方、日本では「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」が経済産業省から発表されるにとどまり、法制化には至っていません。
サプライチェーン上の人権侵害排除に本腰を入れる政府が埋める外堀 経済産業省が「人権尊重のための実務参照資料」に込めた狙いとは(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)
企業であるなら自社のブランド価値を守るため、その価値棄損を許さず、常に社会の動向に気を配り、問題となる行為を未然に防ごうと努力するものです。「コンプライアンス」、「法令遵守」も必要なことですが、それだけでは十分ではありません。それ以上に注意を払っていないければ、いつ何時それが問題が発覚するかわかりません。また、発覚後の対応に間違いがあれば、社会からの非難を免れることはできず、ブランド価値に大きくひびが入ってしまいます。
そんなことは当たり前のことかと思っていましたが、必ずしもそうではないという現実もあるのでしょう。
日本国内にも数々の人権問題が存在していますが、なかなか改善が進んでいないようです。国の機関における人権問題などもってのほかなのでしょう。
「武器としての国際人権 日本の貧困・報道・差別」の著者藤田氏は、日本の人権に関する実情をマスコミが正しく報道しないことにも危機感を示しているといいます。
こうした状況にあっては、自分の国である日本がどんな国で、国際社会からどう見られているかを知ることができなくなってしまい、何が問題なのかも曖昧のままになってしまいそうな気がします。
国が「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を出したことで、企業行動に変化が起きて、国内を含めサプライチェーンにおける人権問題は撲滅に向かうのでしょうか。
G7広島サミットを前に、議長国を務める日本に対し、人権問題に積極的な対応をとるよう呼びかけが拡がっているようようです。
「日本は人権関連の法制化が遅れているので努力しなければならない」と述べる与党議員もいるそうです。
「他人の権利を尊重し、社会正義に反しない」、あって当たり前のことを守られていれば、人権問題にもっと気づくことができるのかもしれません。
企業の不祥事、不正が頻発するようになり、企業が成長できなくなったのも、ひょっとするとこんなところに理由があるのかもしれません。どちらか一方が実践できていればよいというものではなく、両者がそろうことで、健全な成長があるのではないでしょうか。
「参考文書」
「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のための実務参照資料」を公表しました (METI/経済産業省)
“中国の人権侵害抑止を”各国議員 G7議長国 日本に対応求める | NHK | G7サミット
中国出身民族団体「人権侵害停止を」 G7首脳への要望全文 - 産経ニュース