米国でまた銀行が破綻しました。3月に、11の大手金融機関から異例の支援策として300億ドルの預金を受け取り、経営への懸念がいったん和らいだ中堅銀行のファースト・リパブリック・バンクでの出来事。シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行に続き、過去約2カ月で米国の銀行3行が破綻したことになったといいます。
米史上2番目の規模での銀行破綻劇はJPモルガンによる救済買収で決着する格好となった。(出所:ブルームバーグ)
ファースト・リパブリック救済買収劇、米銀巡る警戒解除信号にならず - Bloomberg
ひとまず、JPモルガン・チェースによる買収で銀行不安という当座の危機は回避できたとの見方が支配的なようですが、ただ予断を許さないようです。
JPモルガン・チェースのダイモンCEOは、金利が上昇し続ければ、他の問題が続くかもしれないとも述べたものの、「取りあえず今は誰もが深呼吸をするべきだ」と語ったといいます。
コロナ禍の後遺症のひとつなのでしょうか。早く治療を完了させて欲しいものです。
FOMC 連邦公開市場委員会の会合が今週開催され、0.25ポイントの利上げが予想されているそうです。パウエルFRB議長の発言に注目が集まっているといいます。
コンサルティング・バブル
米国の金利上昇の影響はその他の産業においても生じています。経済の減速懸念から、GAMAをはじめとするIT企業での人員削減が加速し、それに加えて、大手コンサルティング企業も相次いで人員を削減する事態になりました。
「コンサル業界でのリストラ増加は、IT先端分野での企業の成長性が低下していることを意味する」。(出所:プレジデントオンライン)
こうした状況を「アクセンチュアバブルが弾けた」という人もいるそうです。
アクセンチュアバブルが崩壊、5年で社員30万人増の反動か | 日経クロステック(xTECH)
アクセンチュアバブルとは「デジタルを冠したイノベーションの実現、つまりDXを支援するとうたうコンサルティングの急成長バブル」のことをいうといいます。
コロナ禍の発生によって、世界経済のデジタル化は一時的に急加速した。その結果、IT先端分野などで新しい業務運営の確立に必要なコンサルティング・サービスへの需要も押し上げられた。(出所:プレジデントオンライン)
IT企業は、コンサルティング・サービスを上手に活用することで、データ利用など自社の強みを発揮する分野に集中していたといいます。
これが米国でのDX、効率化ということなのでしょうか。
好況期に悪い習慣を身につけ、一転して不況期では想定以上の大きな損失を被ってしまう。(出所:日本経済新聞)
しかし、生産性において大きく水をあけられている実態からすれば、日本の取り組みにはそれ以上に課題が多いということなのでしょう。
新たなトレンド
生成AI「ChatGPT」が大流行となり、DXは加速しているのでしょうか。
米IBMのクリシュナCEOが、AI 人工知能で代替可能と考えられる職務について、今後数年にわたり新規採用を一時停止する予定を明らかにしたそうです。
IBMのCEO、バックオフィス職の30%は5年でAIが代替と予想 - Bloomberg
雇用証明書の発行や部署間の人事異動といった日常的な仕事は完全に自動化される公算が大きいと指摘。一方、従業員の構成や生産性の評価など一部の人事業務は向こう10年にわたり取って代わられることは恐らくないだろうとの見方を示した。(出所:ブルームバーグ)
顧客に接しない業務に携わる従業員約2万6000人を対象としているようで、AIなどによって7800人分の雇用が失われる可能性があるといいます。記事によれば、ソフトウエア開発部門と顧客対応業務での採用は継続するそうです。
動きが早そうです。また一段と生産性が向上するのでしょうか。こうしてまた新たなトレンドが生まれるのかもしれません。
「参考文書」
米ファースト銀、公的管理下に JPモルガンが全預金引き継ぎ | ロイター
ウォーレン・バフェット氏盟友「米銀に不良債権まん延」 英紙報道 - 日本経済新聞
コンサル・監査あまりの時代が到来 マッキンゼー、アクセンチュアが大規模リストラに追い込まれたワケ|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト