Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

東証プライム市場を維持できない企業、それなのに求められる新技術の社会実装

 

 東京証券取引所の市場区分が見直され、現在はプライム、スタンダード、グロースの3つに区分されています。この内、最も上場基準が厳しいのはプライム市場。ここ最近、このプライム市場から自らスタンダードへ「降格」する動きが相次いでいるそうです。

東証プライムからスタンダードへ「降格ラッシュ」 | 金融業界 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

 多くの企業が旧東証1部からプライム市場に横滑りしたのはいいけれど、期限までにそこに残るための条件を満たせず、また、その改善計画もままならないことからの動きのようだと記事は指摘しています。これでは、渇望されるイノベーションが萌芽しないことも納得できます。

国立研究開発法人 産総研によるオープンイノベーション

 一方、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が、研究成果の社会実装に向けた体制と活動を強化するため、株式会社AIST Solutions(アイストソリューションズ)を設立しました。産総研のミッションである「社会課題解決と産業競争力強化」を目指すためといいます。

産総研の研究成果を社会実装、新会社初代社長が描く展望|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

日本最大級の公的研究機関である産総研の技術資産と研究資源を活用し、積極的なマーケティング活動を通じて、市場や産業のニーズに即応すべく、オープンイノベーションの強化、エコシステムの構築や新規事業創出を行ってまいります。(出所:産総研

 産総研の強みである「保有する技術資産」、優れた企業との「産学連携」、「オープンイノベーション」を活かしていくと、初代社長に就任した逢坂氏が語っています。

(資料:産総研

「価値循環」を提唱するコンサルティング

 コンサルティングファームのデロイト トーマツ グループは、「価値循環」を提唱し、新たな市場をつくり出すべきといいます。

「動かない日本」というところに反応する人が非常に多かった。今の日本は、政策も、企業の戦略も、現状を守ることに重きを置いてしまっている。雇用もそうですよね。社会全体のダイナミズムが乏しいので、イノベーションも生まれにくいし、成長の勢いもない。(出所:日経ビジネス

「循環で日本にダイナミズムを」 デロイト トーマツ松江執行役:日経ビジネス電子版

  政界、そして財界、みなの問題意識は同じで、イノベーションの必要性でも同じ思いを持っているといいます。しかし.......

 様々な方面から意見や提言があがるということは、それだけみなが「日本の衰退」に強い危機感を感じているということなのでしょう。

 さてこれらで状況は改善し、保有している優れた技術の社会実装が進み、イノベーションが生まれるのでしょうか。

「人間は誰しも環境の奴隷である」との意見もあります。人は属する環境に大きく影響されるといいます。

 これまでも長い間、イノベーションの必要性が説かれてきました。もしかしてその環境自体が変わらないと、この先も何も変化はないのかもしれません。

 

「参考文書」

産総研:株式会社AIST Solutionsの設立について