Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

来年から徴収される森林環境税、使われない税金、活用できない制度に仕組み

 

 日本の国土の7割を森林が覆い、それを維持することは、国の目標となっているカーボンニュートラルの達成に貢献し、それに加え、国土の保全や水源の涵養等に役立つといいます。

 福井県では、山を守る担い手育てる自伐型林業大学校が開校したそうです。森林の荒廃が各地で問題化する中、林業従事者を増やし、中山間地への移住も促す試みといいます。

山を守る担い手育て 環境負荷抑えた林業の学校、福井に - 日本経済新聞

自伐型林業は一度に大量の木を伐採する「皆伐」ではなく、必要な分を少しずつ伐採する「間伐」を繰り返すのが特徴だ。作業は少人数で行い、小型の機械を使うため、大規模な林業と比べ、コストが安い。新規参入しやすく、中山間地の定住につながるとも期待されている。(出所:日本経済新聞

 良い取り組みのように感じます。こうした活動が広がり、例えば荒廃する里山の維持などに役立っていくのでしょうか。

 

 

森林環境税、増える税負担

 物価上昇が続くなか、来年2024年度から「森林環境税」という税金の徴収が始まるそうです。住民税に上乗せする形で1000円徴収されることになるといいます。

1人1000円の「森林環境税」がトレンド入り「あれだけメガソーラーで森林伐採して」政府の姿勢に高まる不満 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]

 環境省によれば、この森林環境税は「パリ協定」をもとに創設されたもので、温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設したそうです。

 税金の徴収に先行して、すでに自治体に交付金が配分される制度が始まっているといいます。しかし、有効活用されていない実態があるようです。

1人1000円取られる税金 なのに活用されない!? 森林環境税とは | NHK政治マガジン

 私有林や人工林の面積がゼロの街、東京・渋谷区にも2021年度までに4600万円あまりが交付され、その全額が基金として積み立てられていたといいます。

 Smart FLASHによれば、森林環境税による税収は年600億円の見込みで、自治体への配分は2019年からすでに始まり、3年間で約840億円が配分されたといいます。しかし、そのうち47%にあたる395億円が消化されず、基金として積み立てられているのも現状といいます。

 

 

使いみちがないのに税金を取っているとも考えられ問題だ。譲与税によって、国内産の木材の需要が高まる効果が出ているかというと、今のところうまく使えてない事例が多い。『植林』や、人工林を伐採した跡地に再び苗木を植える『再造林』にあまり使われていない。使い方を見直していかないといけない。(出所:NHK

「町内の手つかずの森林を整備するために、新しい税金は必要だと思います。しかし、専門の担当職員がおらず国などから具体的な活用方法が示されてこなかったのでどのように使えばいいのかわからなかった」と話す三重県度会町の職員の声をNHKは紹介しています。

 問題、課題がはっきりしているのに、解決に結びつかず、まして活用できない法律や制度、仕組みを作るようではムダの塊になってしまいます。これではせっかくの目的もかすんで見えてしまいます。

増税に次ぐ増税」「国民は政府のATMじゃない」との批判の声があがるのも当然のことなのでしょう。

 

「参考文書」

自伐型林業大学校|持続可能な森林経営自伐型林業を学ぶ

森林環境税及び森林環境譲与税:林野庁