Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

「持続不可能」な日本を生きるのか — 解散総選挙、私たちの選択を考える

 今日、衆議院が解散されます。2月8日の投開票に向け、TikTokYouTubeでは、政治家たちの威勢の良い動画が次々と流れてくるでしょう。 「消費税減税」「積極財政」「所得倍増」……。耳に心地よい言葉は、一瞬で私たちの心を掴みます。しかし、スマートフォンの画面を閉じたとき、私たちの目の前にある現実に、私たちはどう向き合えばよいのでしょうか。

 スーパーで高止まりしたままのコメ、1億円を超えて手が届かなくなった中古マンション、そして実質賃金がマイナスを続ける中で、160円に迫る歴史的な円安。 今、私たちが問われているのは、誰の動画が「面白いか」ではありません。その言葉の裏で、この国が**「持続可能な設計図」**を失っていないかを見極める、冷徹なまでの眼差しです。

数字の「巧言」と、海外から届く最後通牒

 政府は、今期の成長率を「1.3%」と見通し、給与も上がっていると喧伝しています。しかし、その内実を暴くNewsPicksの論考は、その「成長」の死角を鋭く突いています。

なぜ給与は上がるのに生活は苦しいのか:政府見通し1.3%成長の死角

 名目上の数字だけを追い、インフレという「目に見えない税金」で国民の生活力を削るやり方に、果たして持続性があるのでしょうか。

 世界はこの「欺瞞」に、もはや冷酷なまでの審判を下し始めています。 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が社説で報じた「債券自警団(ボンド・ビジランテ)」の日本上陸。規律なき財政運営を行う国に対し、国債売りという制裁を加える市場の番人たちが、ついに牙を剥き始めました。

【社説】日本に向かう「債券自警団」長期金利の急騰、日本は経済政策を改めるべきとの警鐘に(ウォール・ストリート・ジャーナル)

 さらに衝撃的なのは、世界最大の資産運用会社バンガードが、衆院解散の発表を待たずして日本の「超長期国債」の買い入れを停止したというニュースです。彼らが買わなくなったのは「20年後の日本」です。世界は、今の日本の政治が描く未来を、もはや信じていないのです。

「自ら招いた財政の罠」

 ロイター英語版は、今の日本のリーダーをこう断じています。「自ら招いた財政の罠に陥っている」と。

Japan's PM is entering self-made fiscal trap(Reuter)

「責任ある積極財政」という美名の下、円安と物価高を放置し、政府の借金をインフレで溶かし続けるモデル。しかし、いざ金利が上がれば利払いで財政が破綻し、金利を抑えれば円が紙屑になる。この「出口のない罠」を仕掛けた当事者たちが、今、選挙という祭りで自らの延命を図ろうとしています。

長期金利4%超、失われた信認

 永田町の喧騒をよそに、世界の金融市場は日本に対して極めて厳しい審判を下しています。 2026年1月20日、日本の40年物国債の利回りは、発行開始以来初めて「4%」を突破しました。これは、世界最大の資産運用会社バンガードが、解散発表を待たずして日本の「超長期国債」の買い入れを停止したというニュースとも連動しています。

バンガード運用責任者、日本の超長期債買い停止-衆院解散発表前に(ブルームバーグ)

 超長期金利が上がるということは、世界が**「20年後、40年後の日本を信じていない」**という冷酷なメッセージです。金利の上昇は、住宅ローンの負担を増やし、企業の投資を冷え込ませます。唐鎌大輔氏が『弱い円の正体』(日経BP)で指摘するように、今の日本はもはや稼ぐ力を失った「仮面の黒字国」であり、その脆弱さが円安と金利高という形で露呈しています。

 私たちがSNSでお祭りを眺めている間にも、日本の資産価値は世界から「見切られ」ようとしているのです。TikTokで流れてくる「減税します」という一言は、短期的には嬉しいかもしれません。しかし、その代償として「円」の価値が溶け、私たちの将来が目減りしていくとしたら、それが誠実な政治と言えるのでしょうか。

私たちが問うべき「真の持続可能性」

 持続可能な社会とは、数字上のGDPを競うことではありません。「経済」「社会」「環境」の3つの輪が重なる部分と定義されます。

  • 環境の持続性: 資源(エネルギー、資材)を枯渇させず、自然を壊さない。
  • 社会の持続性: 平等、人権、教育、そして「住まいの安定」や「文化」が維持されること。
  • 経済の持続性: 借金漬けではなく、通貨の信認が保たれ、適正な分配が行われること。

 今、私たちが選ぶべきは、耳に心地よいバラマキの約束ではありません。 「アフォーダブルな生活(普通に働けば、普通に家が買え、普通に食事ができる=それが持続可能性の最低ラインである)」を取り戻し、世界からの信頼を再構築するための、痛みを伴うが誠実な「設計図」です。

 2月8日。私たちが投じる一票は、単なる政党の選択ではありません。 「これからもインフレという嘘に耐え、沈みゆくのを待つのか」 「それとも、誠実な政治を取り戻し、持続可能な未来を自分たちで築き直すのか」

その審判を下すのは、政治家の動画でもメディアの喧騒でもなく、他ならぬ私たち自身なのです。

 

「参考文書」

「日本の国債危機」を世界の投資家が警戒、40年債利回りが初の4%超え | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

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