Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

SDGsっぽい広告:CMを変え始めた企業の実態は?

世界最大の広告祭「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」。このフェスティバルでは、2010年代半ばから、単なる「商品の良さ」を競うのではなく、**「ブランドが社会課題に対してどう行動したか(Brand Activism)」**を評価する流れが主流になりました。

  • クリエイティビティの再定義: 「面白い映像」ではなく、「社会の構造を1ミリでも変えた解決策」がグランプリを獲る時代です。

  • グローバル基準の浸透: 世界中のトップクリエイターたちが「社会課題を解決しない広告はもはやゴミである」という価値観を共有し、それが数年遅れて日本のCM制作現場にも「指針」として降りてきています。

CMを変え始めた企業の実態は?

ここが大きな分岐点です。CMを変えている企業は、大きく2つのタイプに分かれます。

  • 【自覚的な変革者】(OSを入れ替えた企業) 経営層が「今のままの大量生産・大量消費モデルではZ・α世代に選ばれない」と本気で危機感を抱いている企業です。彼らはCMを単なる宣伝ではなく、**「自分たちの覚悟(オーセンティシティー)を世に示すマニフェスト」**と捉えています。表現が変わるのは、中身(パーパス)が変わったことの「結果」です。

  • 【追随的な模倣者】(アプリだけ着せ替えた企業) 「最近はSDGsっぽい演出が受けるらしい」「カンヌで流行っているから」という表面的な理由でトーンを変えている企業です。これはまさに**「古いOSの上で最新風のアプリを動かしている」**状態で、若者が最も嫌う「SDGsウォッシュ」や「欺瞞」の温床になります。

現実の広報・SNS発信における「致命的な矛盾」

CM(空中戦)をいくら「誠実」に変えても、現実の広報やSNS(地上戦)でボロが出るケースが後を絶ちません。

  • CMとの乖離: 15秒のCMで「多様性」を謳いながら、公式SNSのリプライへの対応が硬直化していたり、不祥事の際の広報対応が「隠蔽体質」だったりする。

  • 監視されるプロセス: Z・α世代は、美しいCMの裏にある「製造現場の労働環境」や「廃棄物の処理方法」をデジタルで勝手に掘り起こします。


「広報とは何か」の再設計案

これからの広報・マーケティングにおいて、CMやSNS発信はどうあるべきか。

項目 従来の広報(古いOS) これからの広報(誠実なOS)
目的 イメージの「演出」 姿勢の「証明」
CMの役割 欲望を喚起する「拡声器」 旗印を掲げる「マニフェスト」
SNSの役割 情報を一方的に「流す」 誠実に応答し、プロセスを「開示する」
評価基準 認知度・バズ オーセンティシティー(誠実さ)

まとめ:広報は「経営の監査役」になるべき

現実の広報が、もし「マーケティングの一部」として「見せ方」だけを追求し続けるなら、それはデジタルネイティブに欺瞞を届ける行為に他なりません。

真に誠実な広報とは、**「そのCMの内容、今のうちの会社で本当に言えることですか?」と経営陣に突きつける、いわば「社内の第一の検閲官(Z・α世代の視点の代弁者)」**であるべきです。