Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ソニー・ホンダ開発中止、人工クモの糸の私的整理 ― 砕かれた「適応」という幻想

日本の未来を象徴するはずだった挑戦が、次々と荒波に飲み込まれています。

今週、日本の産業界を揺るがした2つのニュースは、これまでの「日本の勝ち筋」が通用しなくなったことを残酷なまでに証明しているかのようです。

AFEELAの挫折 ―― 「外圧」に抗えぬロゴスの限界

ソニー・ホンダモビリティによるEV「AFEELA」の開発・発売中止は、まさにトランプ政権の「EV補助金撤廃」と「化石燃料への回帰」という巨大な手のひら返しによる直撃でした。

ソニー・ホンダモビリティ、EV開発を中止 事業の継続困難 - 日本経済新聞

既存のグローバルトレンド(ロゴス)に適応することだけを「正解」としてきた戦略は、ルールそのものを力で書き換える「剥き出しの利権」の前で、脆くも崩れ去りました。これは、日本の大手企業が依然として「外部環境の住人」であり、自ら環境を創り出す「主役」になれていないことを示しているのではないでしょうか。

スパイバーの私的整理 ―― 「死の谷」を越えられぬ構造的欠陥

国内ユニコーンの星、人工クモの糸(バイオ繊維)の「スパイバー」の私的整理と事業譲渡もまた、衝撃的です。

ユニコーンのスパイバーが私的整理 孫正義氏長女の新会社に事業譲渡 - 日本経済新聞

孫正義氏の長女、川名麻耶氏による再建という「民間の代謝」が動き出したことは救いですが、10年以上の歳月と巨額の資金を投じてもなお、社会実装のインフラ(制度・回収網)が整わなければ、革新的な技術さえも立ち往生してしまう。この「野性」を支えきれない日本の構造的欠陥が、改めて浮き彫りになりました。


「依存」という暴力からの脱却

トランプ大統領によるイランへの軍事行動と、それに伴う石油利権への露骨な触手。世界は今、力による「増エネ・安エネ」の奪い合いに先祖返りしています。

米・イスラエル、ささやかれる同床異夢 トランプ氏の狙いはイラン産石油:日経ビジネス電子版

しかし、日本の未来は「トランプ氏がどう動くか」という観測気球を眺めることにかかっているのではありません。

私たちが今、ガソリン価格に怯えているのは、石油利権という「外部の暴力」に命運を委ねているからです。政治がガソリン補助金という延命策に血税を投じる一方で、国産エネルギーのインフラ整備が後回しにされる。この「不作為」こそが、日本の主権を内側から蝕んでいます。

真の意味での「GXという名の独立宣言」

2026年4月から本格稼働する「GX-ETS(排出量取引制度)」を、単なる企業のコスト負担や環境規制として捉えてはいけません。 それは、**「石油利権という暴力から、日本の産業を物理的に切り離すための独立宣言」**であるべきです。ポール・ローマー氏が説くように、デジタルやAIが生み出す富を、この「エネルギーと資源の自給(インフラ)」に強制的に還流させる。トランプ氏が何をしようと、中東で何が起きようと揺るがない、日本独自の「循環と自給の土俵」を自らデザインすること。それだけが、私たちの生存戦略です。


まとめ:野性を解き放つ「土俵」を創れ

ソニー・ホンダの誤算も、スパイバーの苦闘も、すべては「戦うための土俵」がこの国に整っていなかったことに起因しているのではないでしょうか。

政治の役割は、特定の企業への「目利き」や「バラマキ」ではありません。企業がその「野性」を存分に発揮し、失敗しても何度でも立ち上がれる、そして石油がなくても回り続ける「強靭な制度とインフラ」を設計することです。今こそ、外部依存の鎖を断ち切り、自らの手で「新しい日本のOS」を書き換える時ではないでしょうか。

 

 

「参考文書」

AIがもたらす「増エネ」時代 日本のGXは成長戦略へと転換できるか | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

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