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【原油とナフサ】政府発表と止まり始める工場ライン — Xに投稿するばかりで会見しない高市首相

高市首相がSNS(X)に「ナフサ在庫は4ヶ月分以上、実質半年分確保されている」と投稿しました。

高市首相、「少なくとも4カ月分のナフサ」確保していると投稿:ブルームバーグ

これに対し、産業界からは安堵の声ではなく、困惑と不信が噴出しています。物理的な「ストック」の数字を並べるだけで、市場の「フロー」と「コスト」の目詰まりを無視する姿勢は、まさに実務を軽視した発言と言わざるを得ません。

「半年もつ」の数字のトリック

高市首相が示した在庫の内訳には、産業現場の実感と致命的なズレがあります。

  • 「川中製品」を在庫に算入する危うさ: 首相はポリエチレンなどの中間製品(川中製品)の2ヶ月分も「ナフサ在庫」にカウントしていますが、これらは既に形状を変えた「製品」です。これを原料在庫として語るのは、食糧危機において「パン屋の店頭にあるサンドイッチ」を「小麦の備蓄」として強弁するようなものです。

  • 物理的在庫 vs 経済的入手可能性: たとえ国内にナフサがあっても、中東以外からの代替調達コストが倍増していれば、中小企業にとっては「高すぎて買えない=存在しない」のと同じです。価格転嫁が追いつかない製造業では、既に設備の停止や供給制限が始まっており、政府の「半年もつ」は現場には届かない空論と化しています。

「X」での反論と「中東歴訪」の埋めがたい差

危機の最中にあって、一国の首脳がどのような「行動」を選択するか。イタリアのメローニ首相との対比は、あまりに無慈悲な現実を突きつけています。

イタリアのメローニ首相が中東3カ国歴訪 エネルギー供給を協議 - 産経ニュース

  • メローニ首相の「生存外交」: 戦火広がる中東へ電撃的に乗り込み、サウジやカタールの首脳と直接交渉。ガス需要の10%、石油の15%を確保するという具体的な「実利」を、自らの足で掴み取りました。

  • 高市首相の「SNS防衛」: 一方で日本の首相は、官邸に籠り、報道に対する「事実誤認」の反論をXに投稿するばかりです。記者会見で仔細なデータを提示し、国民の不安に直接向き合う実務を回避し、一方的な発信に終始する姿は、外交の主導権を放棄した「内向きの政治」そのものです。

「優先供給」が暴露する本質的な欠乏

政府が石油元売り各社に要請した「医療・公共交通への直接販売(優先供給)」は、皮肉にも「在庫は十分」という発表が虚飾であることを自ら証明してしまいました。

病院や交通向け燃料、石油元売りが直接販売 政府が要請へ - 日本経済新聞

  • 配給制への序曲: 本当に半年分もの余裕があるならば、市場メカニズムを歪める「優先枠」など不要なはずです。この指示は、政府が「市場全体に行き渡る量は確保できていない」と事実上認めたに等しく、それが産業界の買い急ぎと、不信感に拍車をかけています。


考察: 「炭鉱のカナリア」が死に絶える前に

ナフサ不足は、サプライチェーン全体に毒が回るのを告げる「炭鉱のカナリア」です。食品包装から医療用具まで、現代社会のOSそのものがナフサ(プラスチック原料)に依存しています。

原油不足、政府内にGW明けの節約要請案が浮上 根強い慎重論も | 毎日新聞

SNSでの巧みな言葉と、数字を飾る「半年分」という強弁。しかし、そこには国民が直面している「高騰」と「目詰まり」という苦しみに寄り添う誠実さが欠けています。

メローニ首相が中東で掴み取った「確信」に対し、日本の首相がスマホの画面上で発信する「数字の羅列」がいかに空疎であることか。

政治の不作為といっても過言ではないのでしょう。スマホの中の在庫に、私たちの生活を預けるわけにはいかないのです。

 

「参考文書」

首相の原油不足対応、無党派層63%「不十分」 共同通信世論調査 - 日本経済新聞

高市首相、取材対応は少なく 歴代と比べ、Xでは連日発信 | NEWSjp

原油不足「カウントダウンに入っている」 船主協会会長の危機感 | 毎日新聞