Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

エルニーニョなのになぜ猛暑? — 深刻さ増す気候の崩壊と迷走する言論空間のギャップ

「エルニーニョ現象が発生すれば、日本は冷夏になる」 かつて、気象の常識として語られてきたこの定説が、今や通用しないフェーズに入っているようです。

今夏は、エルニーニョの発生が予想されているのですが、なぜか「猛暑」になるともいわれています。

エルニーニョ発生でも日本は猛暑? 「冷夏」の通説に反する予想 - 日本経済新聞

通常なら太平洋高気圧の張り出しが弱まり、曇りや雨の日が増えるはずですが、今夏は真逆の予報です。その背景には、地球規模で蓄積された熱の「暴走」があるようです。 現在、インド洋の海水温が上昇する「負のインド洋ダイポール現象」の兆候が見られ、北ではチベット高気圧が強まります。太平洋高気圧とチベット高気圧、2つの高気圧が日本上空で重なることが予想され、二枚の分厚い「熱い布団」に挟まれた日本列島は、熱の逃げ場を失い、今年も猛暑になるというストーリーのようです。

水不足、山火事、深刻さます「気候崩壊」

気候の崩壊が確実に進行しているのでしょうか。私たちの生活と経済を浸食し始めているようです。

このゴールデンウィーク、各地の観光地を直撃しているのは「水不足」です。 ダムの貯水率低下により、風物詩である遊覧船が運休に追い込まれ、温泉地では源泉の維持や営業時間の短縮を余儀なくされる事態が報じられています。

水不足、連休観光地直撃 遊覧船運休や温泉営業減―事業者らから不安の声:時事ドットコム

私たちが享受してきた「日本の四季の恵み」というインフラが、足元から崩れ始めています。

目を海外に向ければ、欧州では世界の大陸で最も速いペースで温暖化が進み、深刻な山火事が常態化しています。

欧州の温暖化は世界の大陸で最速 国際機関分析、山火事の被害深刻に - 日本経済新聞

かつては環境活動家のスローガンに聞こえた「気候危機」という言葉は、今や「水が飲めない」「観光ができない」「故郷が燃える」という、生々しい生存と生活の危機として、日本においてに直接牙を剥いています。

生命、生存圏の危機を無視した政治の空疎さ

本来であれば、国家の最優先アジェンダは、この気候危機、物理的危機にいかに適応し、国民の生命、生存圏を守り抜くかにあるはずではないでしょうか。しかし、今の世論を占拠しているのは、地政学的なパワーゲームや憲法改正の議論ばかり。そこにある種の空虚さを感じずにはいられません。

その「空虚さ」を象徴するのが、今週報じられた文春のスクープです。高市早苗陣営が野党幹部を標的とした「誹謗中傷動画」を作成・拡散していたという疑惑。

高市早苗陣営が作成・拡散した野党「誹謗中傷動画」《枝野幸男氏、岡田克也氏らが標的に…》 | 週刊文春

もしこれが事実であれば、政策の優劣を競うべき政治のリソースが、単なるアテンション(注目)の奪い合いと、相手を貶めるための工作に費やされていることになります。

気候が牙を剥き、生活の基盤が揺らいでいる最中に、政治の主戦場が「いかに効率的に敵を叩くか」という矮小な地点にまで堕ちている。このあまりにも大きなギャップに、ただただ「なんだかな」と溜息を漏らすしかありません。

 

「物理的な崩壊」と「言論の腐敗」の同時進行

私たちは今、極めて危ういフェーズにいます。 一方で、私たちが依って立つ物理的な世界が気候によって崩壊し始め、もう一方で、それを食い止めるための「知性」や「対話」を司る言論空間(政治)が、誹謗中傷と分断によって腐敗している。この二つの崩壊が同時に進行しているのです。

多くの人が、SNS上のスキャンダルや敵味方の論争に目を奪われている裏で、実は着実に、そして残酷に進行している事実があります。それは、水、食料、エネルギーといった私たちの「生存コスト」が、かつてない勢いで跳ね上がっているという現実です。

「誰が悪いか」をネット上で罵り合っている間にも、足元の床板は腐り落ち、私たちの生を蝕んでいきます。いつまで続くのでしょうか。いつになったら目覚め、現実を直視できるようになるのでしょうか。いつになったら生存のための対話を始められるのでしょうか。その猶予は、もうそれほど残されていないのかもしれません。

 

「参考文書」

「『冷夏要因』があるのに今年の夏も高温に!」森田正光気象予報士が解説|調査情報デジタル

国に本気を求めるからこそ「気候正義訴訟」で問う 地球温暖化による異変は次々に…増える原告、世界も動く:東京新聞デジタル