Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

ミニマルへの憧憬

 

 8.12は山の日。昔の山屋としてはついつい山に思いを馳せてしまいます。登山歴15年くらい。もう山から離れた時間の方が長くなってしまいました。

 

 山に登っていた頃は、山小屋は基本使わずテント派でした。いかに装備、荷物を軽量、コンパクトにするかが計画段階でいつも頭を悩ます問題でした。

 「山での食事は犠牲にしたくない」、「山から降りてきて太っているくらいじゃないとだめ」との山仲間のこだわりがあって、それがひとつの原因でもありました。

 何せ、山で天ぷらを揚げたり、手作り餃子を作ったりするんですから。乾燥食品、レトルトなどはもってのほかでした。

 

 夏は1週間かけて本格的な縦走するのが恒例になっていて、どうしても荷物がかさばることになります。でも、荷物を入れるザックの大きさは決まっている。だけど、食料を大胆に削ることはできない。結局は個人の持ち物をいかに少なくするか、収納で工夫するようになりました。

 

 いつしか、そんなことが習慣になったようです。長い海外出張や旅行でも、不要なものは持たずにいつも荷物を軽量コンパクトにまとめることができ、日々の暮らしにも役立っているような気がします。 

 

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 そんなことを考えながら、冒険家の植村直己さん、女性初でエベレストに登られた田部井淳子さんのことを思い出したりもしていました。

 

 田部井さん、もう亡くなられていますが、登山家、そして、女性として素敵な生き方をされた人だったと思います。

旅行会社が企画する登山ツアーやTV、雑誌の登山企画の出演によって謝礼は得ているものの、自分が求める登山ではスポンサーなどによる資金を得ずに自身でお金を支払っていること、ガイド資格などを所持していないことから「登山家が自分の仕事かと言うと、そうではないと思う」とインタビューで答えている。

エベレスト後の登山では一切スポンサーをつけていない。

 (出所:Wikipedia) 

 

『未知を楽しむ それが登山 そして人生』 登山家 田部井 淳子 ─ くらし塾 きんゆう塾 ~インタビュー~ ─|知るぽると

 

また山は日常生活への感謝も教えてくれる

山には電気や水道のようなライフラインがない。そこで過ごすことによって、当たり前と思っている便利な日常生活を別の目線で見ることができ、いつもの暮らしに喜びを感じることができる。

大切なのは山を体で感じることだと田部井さんは言う。

今や世界のさまざまな場所をテレビやインターネットで見ることができる。それは便利で素晴らしいことだろう。しかし、映像で疑似体験することと自分の足でそこに立ち、五感で経験することとはやはり違う。

自然を全身で実体験できる登山は、自らの人生の中でかけがえのない体験となると田部井さんは話す。

「そんな人生を豊かにしてくれる登山ですから、お金を惜しむことはありませんでした。だから登山の費用を捻出するため、おしゃれなどにはできるだけお金を使わないようにしてきました。洋服などには本当に無頓着で、ブランドなど知らないことだらけですよ(笑)

 

 

 最近、ミニマルということばをよく耳にする。

 「必要最小限」ということらしい。その語感に惹かれる。

 山と同じように気負わず、日々をミニマルに暮らしたいと思う。

 

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 田部井さんと植村直己さんの共通点は、世界5大陸最高峰を登られていること。

植村さんは単独での行動を追求して、田部井さんはスポンサーをつけずに自分のお金にこだわったようです。共通するところが多いように感じます。

 

 植村直己さんは生前、こう言われていたそうです。

「冒険で死んではいけない。生きて戻ってくるのが絶対、何よりの前提である」

とても深いことばと思います。 

 

 


(お二人の著作) 

エベレスト・ママさん―山登り半生記 (新潮文庫)

エベレスト・ママさん―山登り半生記 (新潮文庫)

 

 

新装版 青春を山に賭けて (文春文庫)

新装版 青春を山に賭けて (文春文庫)

 

 

 

 最後までお読みいただきありがとうございます。