Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

熱狂のAIブーム、牽引するエヌビディア、AI半導体競争の幕開け

「AI 人工知能」が大ブームとなり、米半導体大手のエヌビディアが絶好調のようです。これを端にして日米欧の株価が爆上がりする熱狂ぶりです。

コラム:終わらないエヌビディア成長神話、企業価値さらに倍増も | ロイター

 AI関連市場の75%を握り、エヌビディアはこのブームに乗じる上で最も有利な立場にあるといいます。

エヌビディアの成長ストーリーは本物と言える。同社は売上高の11%を研究開発に振り向けて盤石な足場を維持しようとしているし、76%という粗利益率からは価格決定力の相当な強さがうかがえる。さらに配当さえ支払っており、創業者のジェンセン・フアン氏が慎重に資本を配分している様子が分かる。これらの優位性は非常に大きい。(出所:ロイター)

 

 

 こうしたブームにあやかろうと競争相手は必死に追いすがろうとするだろう。

 ソフトバンクグループの孫氏もその一人のようです。エヌビディア同様AIに不可欠な半導体を供給しようと検討を始めているそうです。

孫氏がAI半導体ベンチャー設立目指す、1000億ドル規模-関係者 - Bloomberg

 詳細はまだ明らかにされていませんが、その投資額は、最大1000億ドル 約15兆円で、マイクロソフトによるオープンAIへの投資額100億ドル余りを優にしのぐ規模といいます。

 グーグルにメタ、アマゾンなど米IT企業もAI半導体の自社開発しようとしています。マイクロソフトも同様に自社開発を進め、その製造には米半導体大手インテルが協力するようです。

マイクロソフト、自社設計半導体の生産でインテルの技術使用へ - Bloomberg

 こんな競争環境で、ソフトバンクGに勝ち筋はあるのでしょうか。一般的には先頭を走らなければ、この種の業界で生き残るは難しいといわれます。傘下のアームをうまく活用し、他社をあっと驚かせるようなイノベーションの仕掛けでもあるのでしょうか。もっと早くハードウェアの重要性に気づき、エヌビディアのようなAIアクセラレータ技術を独自に磨きかければよかったのかもしれません。今回の「イザナギ」プロジェクトもムダな骨折りにならなければよいのですが。

 

 

「生成AIでは、利益を生むよう開発を急ぐことと、人類を脅かすような開発を抑制することのバランスが問われている」と、米セールスフォース マーク・ベニオフCEOが訴えているそうです。

AI、暴走前にまずルールを 物言うCEOの訴え - 日本経済新聞

 生成AIなどAIの利用価値は高く、仕事も大きく変化していくことになりそうです。仕事の効率化が一段進み、生産性向上に役立ち、その結果、社会に大きな影響となっていくのでしょうか。現実、米国では雇用状況も変わりつつあるともいいます。

 こうしたことでかつて夢見た「週15時間も働けば食っていけるような社会」が実現すればいいのかもしれません。しかし、人は暇にに耐えきれず、余計なことをしでかすのではないかとの危惧もあるそうです。そうして、どうでもいい仕事を生み出すようになれば、ドットコムバブルの再来となりかねないのかもしれません。それもまた人ということなのかもしれませんが。

 

「参考文書」

エヌビディア売上高見通し、3.6兆円前後と予想上回る-株価11%上昇 - Bloomberg

メタ、AI半導体を独自開発 Googleなどに追随 - 日本経済新聞

ルネサス、AI半導体の処理性能16倍に 消費電力も削減 - 日本経済新聞

「生産性が上がっても、人間はなぜか暇にならない」 ベストセラー『読書大全』著者が読み解く、現代社会の課題 - ログミーBiz

 

かさむ平和維持のコスト、防衛力強化、絶好調な三菱重工

 もう間もなくロシアがウクライナに軍事侵攻から2年経ちました。しかし戦況は膠着し、なかなか出口を見いだせないままです。互いに引くに引けない状況になっていそうです。一方で、支援疲れとの言葉も聞かれるようになっています。

ウクライナ支援疲れの代償 断念なら「天文学的負担」 - 日本経済新聞

 これまでの欧米の支援額は26兆円を超え、平和を維持するコストの重みを世界に印象づけているといいます。侵攻されたウクライナを支援することは道義に適うのかもしれませんが、横暴なプーチンに振り回され、遠い異国での戦線を維持するために、負担は重くなり、自国内にも犠牲が強いられるようになれば、支援継続に逆風が吹くのもまた自然な成り行きということなのでしょう。

 11月の米国大統領選、もしもウクライナ支援に後ろ向きなトランプ大統領が当選するようことになれば、どんな事態へと進むことになるのでしょうか。

 

 

 政府が決定した防衛力の抜本的強化との方針に関する有識者会議が初めて開かれたといいます。この会議において、座長を務める榊原経団連名誉会長は5年間で43兆円を投じる防衛費について、円安や物価高騰を踏まえた増額も視野に入れた議論を提起したそうです。

防衛費43兆円の増額、官民の技術開発を検討 有識者会合 - 日本経済新聞

「43兆円の枠のなかで求められる防衛力・装備の強化を本当にできるのか、現実的な視点で見直す必要がある」と述べ、「見直しをタブーとせず、より実効的な水準や国民負担のあり方、普遍的な財源を改めて議論すべきだ」と訴えたといいます。

 また、榊原氏は防衛産業の育成を通じた「安全保障と経済成長の好循環」に触れ、「官民一体で技術開発を強化し、民需に積極的にスピンオフして経済成長につなげることが必要だ」と強調したそうです。

 ドローンが戦線が活躍するようになっています。今後はますますロボットやAIの活用も進むともいわれています。過去もそうであったように、最新のテクノロジーによって戦い方が大きく変わっていくのかもしれません。こうしたトレンドを取り込んでいくことは必要なことである一方で、「日本を守る」という言葉が大義であるかのよう独り歩きして、野放図な軍拡とならないようにしていかなければならないのでしょう。そのためには高度な戦略・戦術により効率的に装備し、最小化する創意工夫を忘れてはならないはずです。またそれと同等、それ以上に外交を駆使していくことも求められるはずです。理想はいつの時代でも「戦わずにして勝つ」という孫子の教えなのでしょうから。

「兵は国の大事。死生の地、存亡の道なり、察せずるを可からず」、まことに兵は大事であるが、生命の喪失はどうしようもない。国の存亡にかかわる。戦争をするかどうかはよくよく考えなければならない。まずは戦わずして勝つ方法を考えなければならない。目的は勝つことで、戦うことは手段にすぎない。勝つことさえできれば、何も損害を出してまで戦う必要はない。(参考:「孫子の兵法」大橋武夫

 この有識者会議で28年度以降の「ポスト43兆円」の防衛政策についても検討する考えを示したそうです。どうなのでしょうか。規模ありきになっているような気もします。

 

 

絶好調、三菱重工

 三菱重工の業績が絶好調のようです。通期の売上高・事業利益・純利益でも最高を更新する見通しといいます。国家プロジェクトである新型主力ロケット「H3」の打ち上げに成功、宇宙事業の拡大にも弾みがついているといいます。

【株価2倍】三菱重工を浮上させた意外すぎる事業

 昨年は、国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退など悪いニュースが続き株価が低迷していましたが、その後の防衛予算の増額によって成長期待が高まり、この1年で株価は2.2倍に跳ね上がったといいます。

 稼ぎ頭は利益の4割を占めるエナジー部門で、火力発電向けの高効率ガスタービンが売れているそうです。国の脱炭素政策と相まっての事業拡大ということでしょうか。

 これだけ国と一体化していれば、株価が伸びるのも当然なのかもしれません。不公平感を感じなくもないですが、何かワケあってのことなのでしょうか。

 東京株式市場では日経平均株価がバブル期に記録した史上最高値を更新し、3万9千円台をつけたといいます。業界は大騒ぎになっているようです。日本経済が健全化していけばよいのでしょうが、さてさてどうなることやらです。

 

大企業病なのか、5年連続赤字の楽天、色あせる経済圏

 楽天グループが、5年連続の最終赤字となり、23年ぶりに無配となったそうです。赤字幅は縮小したものの、最終損益は3394億円の赤字だったといいます。携帯電話事業の設備投資が重荷となっての巨額な赤字が続いています。先行きが心配になります。

楽天グループ最終赤字5年連続 2023年12月期無配、携帯が足枷 - 日本経済新聞

 5年連続、少々長過ぎるような気がします。黒字回復とまでは言わないまでも、V字回復の兆しでもあれば印象は異なるものになるのでしょう。

 競争市場に後発で参入し、これといって差別的優位性もなく、ただコスト勝負で、レッドオーシャンに飛び込んでいったのが最悪の選択だったということになりかねません。抜本的な戦略の見直しが求められていそうです。

 

 

 米国では、ビッグテック IT大手が好調のようで、株式市場は過去最高を更新が続く熱狂ぶりです。各社ともAI 人工知能技術の導入を加速させ、それが業績の追い風となっているようです。また人員削減などのコスト削減による効果もあるそうです。

米テック大手5社、増益際立つ 生成AI「幅広く活用する段階に」:朝日新聞デジタル

世界のテクノロジー産業に大きな影響力を持つ巨大IT企業の主戦場がスマホからAIに移り変わったと認識すべきだ。(出所:日本経済新聞

 日本では、ソフトバンクが、米エヌビディアなどと携帯電話の基地局にAI 人工知能を搭載してデータ処理を分散させる技術の実用化に向け業界団体を設立するといいます。

ソフトバンク、NVIDIAと連携 携帯電話のAI基地局で業界団体設立 - 日本経済新聞

 AIを活用して特定の基地局に通信量が集中するのを防ぐほか、電力削減につなげる技術の実用化を目指すそうです。

楽天経済圏を挑むKDDIとローソン

 同じく通信事業者のKDDIは、ローソンの株式を買い取り、三菱商事との共同経営を目指すそうです。

KDDI、ローソンにTOB 4971億円、三菱商事と共同出資―「未来のコンビニ」目標:時事ドットコム

『未来のコンビニ』、KDDIの通信とDXを活用して、その実現を目指すことになるようです。店舗運営の効率化やドローンを活用した遠隔地配送なども進めるといいます。また、楽天に比し、出遅れ感が否めない「Pontaポイント」経済圏をどう巻き返すかも課題になるようです。

 少子化で縮小していく国内市場で、競合同士によるシェアの奪い合いが激化しそうです。その中で、楽天のアクションが物足りないような気もします。

 

 

 楽天がなかなか苦しい状況から脱せないうちに、さらに競争環境が厳しくなっているようにも見えます。

 そんな楽天だからなのかもしれませんが、KDDI楽天も買収したらとのたらればも記事になるようです。

KDDIが楽天を買収したらアマゾン超えも夢じゃない?ローソンTOBの「先」を予測してみた | 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 | ダイヤモンド・オンライン

 楽天経済圏、その囲い込み戦略も色褪せ、レッドオーシャンに引きずり込まれてしまった感が否めないような気もします。楽天発のイノベーションが待たれますが、かつての電機業界のように大企業に陥ってしまったのでしょうか。

 それらに変わる新たな戦略があってもよさそうです。もうそろそろトップの交代があってもいいのかもしれません。世代交代が起きれば、新しい風が吹くような気もします。

 

 

「参考文書」

米S&P500、初の5000超え 「AIブーム」がけん引 - 日本経済新聞

Googleなど米IT、1月1万人削減 組織スリム化でAI集中 - 日本経済新聞

KDDIとローソン、楽天経済圏追う ポンタポイントは「絶対強化」 - 日本経済新聞

[社説]AI時代の競争に入った米巨大IT企業 - 日本経済新聞

長谷川眞理子氏「人間は他人を助ける生き物、共感する力が社会規範をつくる」:日経ビジネス電子版

 



好調な日経平均株価、それなのに進みそうにない実質賃金の上昇

 日経平均株価が好調のようです。3万7千円台を回復、少しずつバブル期の過去最高に近づいてきました。不祥事や不正に負けず日本株も、過去最高を更新し続ける米国株のように好調さを維持できるのでしょうか。

 新NISAも始まり多額の資金が投資信託などに流入するようになっているようです。

1月末の投信残高、「オルカン」が2兆円突破 - 日本経済新聞

 人気の投信は日本株というより、米国など海外を対象にしたものが人気上位を占めています。好調な株価を受けてもう少し日本株の人気が高まってもよさそうな気がしますが、信用されていないということなのでしょうか。

 

 

 株価好調とは裏腹に、賃上げの進行は今ひとつ力強さが欠けているのでしょうか。現金給与総額は伸びるものの、なかなか物価上昇を上回ることはなく、依然実質賃金はマイナス圏のままです。企業に対して賃上げを求めたいところですが、政府や世論が無理な賃上げを求めると、一時的には実質賃金は上昇しても、それによって企業収益は圧迫され、いずれ企業が雇用や賃金を抑制することになり、結局は実質賃金の持続的な上昇を妨げかねないといいます。

 なかなかうまくいくことはないようです。企業業績が改善し続け、株価もそれに伴って上昇を維持し、なおかつそれによって、実質賃金も上昇していくことがいいのでしょうが、そんなことはいつになったら実現するのでしょうか。

実質賃金の上昇にはインフレ率のさらなる低下が必要(12月毎月勤労統計):政府は賃上げ要請よりも持続的に実質賃金を高める成長戦略の推進を|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 持続的な実質賃金の上昇、その実現には、少子化対策労働市場改革、インバウンド戦略、大都市一極集中の是正、外国人労働力の活用などの成長戦略を進めていくことが、政府に求められると専門家は指摘します。

それらが成果をあげ、先行きの成長率見通しが高まれば、企業は設備投資を活発化し、それが労働生産性上昇率を高めるだろう。(出所: 野村総合研究所

 政府は目先の成果にこだわっているようで、足元での賃上げに力を注ぎます。しかし、それでは経済環境を好転させることはできないだろうといいます。

 

 

 ここ最近における政治の混乱が気がかりです。自民党の腐敗が深刻のようで、こんな状態では、進めるべき適切な経済対策も実行不可能なように思われます。急ぎ政治改革を断行しない限り、厳しい状況がまだまだ続くことになるということなのでしょうか。

 

 

「参考文書」

中国とバフェットが高笑いし、労働者があえぐ国ニッポン | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

結局、新NISA活用の外貨投資はいつ、どれくらい円安を進めるのか | Business Insider Japan

東証がPBR改善宣言1115社公開 投資家「経営者に同調圧力かける」:日経ビジネス電子版

悔しさにじむ退任会見、パーパス経営のSOMPO櫻田CEOの挫折

 ビッグモーターによる保険金不正請求問題をめぐって、SOMPOホールディングス桜田謙悟会長兼グループCEOが責任を取って3月末で退任することになったといいます。

なぜ俺の責任に…SOMPOのドン、追い込まれた「桜田ファミリア」:朝日新聞デジタル

「痛恨の極みであり、深く反省している」、「大きな汚点を残した可能性があることを考えれば、現実にグループの最高責任者である私が責任なしとはありえない」.....

 悔しさが滲み会見だったようです。

 

 

記者から引責辞任なのか問われると桜田氏は「皆さんの判断に任せたい」と明言を避けつつ「現時点のCEOとして私に一切の責任がないはずはなく、反論するつもりはない」と話した。(出所:日本経済新聞

「売り上げ重視の企業文化。顧客をないがしろにする風土を刷新できなければ、失墜した信頼は取り戻せない」、業務改善命令を出した金融庁はそう指摘し、顧客の利益よりも収益を重視する企業文化の是正を求めたそうです。

売り上げ重視、顧客ないがしろ トップ引責―SOMPO・損保ジャパン:時事ドットコム

「グループ経営に重大な影響を及ぼし、お客さまの信頼を失う危機的な事案に発展する可能性があるとの認識を持てなかった」と、櫻田氏は会見で釈明したそうです。

「グループ全体に欠陥があったとは思いたくない」、トップとしての在任が長くなり、物言いづらい企業風土、雰囲気があったのではないかと問われた桜田氏は金融庁の改善命令で「あなたがいたからだと言われてビックリしたが、僕がいなくなることで物言える文化となるならそれに越したことはない」、「言いづらかったと言われれば、不徳のいたすところ」と述べたともいいます。

 会見の様子は「改革派」として損害保険業界のみならず、経済界に名をはせてきた櫻田氏のイメージと大きくかけ離れたものだったといいます。

SOMPO桜田CEO、在任13年に幕引き パーパスだけで企業文化変えられず:日経ビジネス電子版

2010年7月に旧損保ジャパンの社長に就任。「損保3メガ体制の中で勝ち組になる」との目標を掲げ、次々と手を打った。旧日本興亜損保との合併を主導し、14年に実現させた。人口減で市場が縮む国内損保ビジネスを補うため、海外事業も強化。介護にも参入するなど多角化を進めた....(中略)....先進的な企業統治を採り入れ、企業が存在する目的である「パーパス」の追求でも、SOMPOは知られるようになる。(出所:朝日新聞

 桜田氏は、強いリーダーシップと経営手腕で、損保ジャパンを中核とするSOMPOグループを大きく成長させてきたそうです。

 

 

「パーパス経営」、どんなに優れた最新の手法であっても、結局、それは目的に対する手段に過ぎず、どんな時、どんな場合でも、ほんとうに求められているのは経営トップの正しい哲理、そして組織を貫く共通理解なのでしょう。どんなに経営者が高い意欲で推し進めようにも、それに呼応する企業文化が育まれたいなければ、改革が期待通りに進むことはないのでしょう。そこでは、常に人間の存在を無視できず、結局、人間的考察が求められることになるはずです。

 櫻田氏の後任CEOには、奥村COOが昇格し、損保ジャパンの白川社長の後任に石川副社長が昇格するそうです。「不退転の覚悟で企業風土の改革に取り組んでいく」と奥村氏は語り、石川氏は人事や評価制度を改め、「営業を優先する企業風土やカルチャーをすべて変えたい」と、企業文化の変革を担う専門の部署を設ける意向を明らかにしたそうです。

 さて新たな経営体制で進むことになるSOMPOではどんな企業文化が形成されていくのでしょうか。

 卓越した顧客サービス、社会的責任、株主価値、誠実さ、チームワーク、優秀さ、そんな要素が含まれていればいいのかもしれません。

 

「参考文書」

損保ジャパン親会社 経営陣刷新を発表 ビッグモーター問題で | NHK | 金融

SOMPO、桜田CEO退任発表「監督・執行に関与しない」 - 日本経済新聞

 

政治腐敗、企業不正、揺らぐ経済大国

 GDP 国内総生産がドイツに抜かれるのがほぼ確実になったそうです。3位から4位へ。このままでは、インドにも抜かれるのも時間の問題で、ランキングは5位へと下落が続きそうだといいます。

日独逆転、GDP4位に転落 「経済大国=豊か」という幻想の先へ:朝日新聞デジタル

 先進国の窓際、衰退途上国、かすむ経済大国、そんな言葉を聞くようになりました。企業は不正を繰り返し、腐敗政治が改まらないのですから、当然のことのようにも思えます。そんな中、かろうじて株価は改革期待で好調のようですが、改革を進めることができなければ、そのしっぺ返しが心配になります。

 

 

「日本を、取り戻す。」安倍自民党が掲げた掛け声、キャッチフレーズだったといいます。情感のあるキャッチフレーズです。

 GDPで中国に追い抜かれ、2位から転落したショックの反動で国民受けしたのではないかといわれます。それなりに説得力があったのかもしれません。

 その後、安倍政権が誕生しアベノミクスが始まることになります。株価は上昇し、キャッチフレーズがさらに信認を得ることになったのかもしれません。政府政策を無批判に信奉し、同質性が強化され、経済大国復権との夢へと邁進していったのかもしれません。多くの人々が経済を口に出し、活気ある経済、経済を回すためには消費、そんな言葉が語られるようになっていったと感じます。

 しかし、現実は残酷なものです。結果は出ないまま、逆にランキングを落とすことになりました。その上、膨れ上がった政府債務など弊害が増えることになります。政治は一強多弱となって、まるで一党支配のようになり、陰では政治腐敗が進んでいたようです。

 

 

 停滞した賃上げ、これもその弊害のひとつなのでしょう。その「賃上げ」が国是になっています。政府、労働界、経済界代表による「政労使会議」が首相官邸で開催され、首相は「昨年を上回る水準の賃上げ」と掛け声をかけ、達成のカギを握る中小企業の賃上げについて、労務費の価格転嫁対策に「全力で取り組む」と表明したそうです。

政労使、持続的賃上げ確認 岸田首相「昨年上回る水準を」―春闘前、中小波及へ異例開催:時事ドットコム

 懲りずにまた国が掛け声をかけて、主導的な立場で進めようとするのでしょうか。また同じことの繰り返しになりそうです。国に頼るばかりでは、同質性から解放されずに、主体的な改革が実行できようはずもありません。気合いで賃上げしたところで、持続的なものにならず、疲弊していくことになりかねません。

 国は政治改革を進め、企業とのもたれ合い構造を壊していく。企業は企業で改革を進める。専門家が様々に、賃上げへの処方箋を提言しています。どれがもっとも効果的かは不明ですが、その中でもっと適合しそうなもの参考に、目標を定めて改革を進めなければならないはずです。

 

賃上げの研究 ~どうすれば実質賃金を上げられるか~ | 熊野 英生 | 第一生命経済研究所

 

「参考文書」

日本企業に蔓延る忖度・調整・決まらぬ会議 JTCを大解剖 - 日本経済新聞

「会計責任者が勝手に」政治家の釈明、専門家は「あり得ない」と指摘:朝日新聞デジタル

春闘に先立ち政労使が意見交換、賃上げ機運醸成へ | ロイター

 

 

資産運用する自分、働く自分、その2つの接合点

 連騰していた日経平均株価が反落したようです。過熱感から反動で利益確定売りが優勢となったといいます。ただ下値は押し目買いも入り、下落幅は限定的だったといいます。月末には製造業を中心に決算発表が始まるので、再び上昇基調になりやすいそうです。また、東京証券取引所が、資本効率を改善するための事業計画を策定した企業のリストを発表し、この改革の進行次第では株価の持続的な上昇につながる可能性もあるといいます。

 外部からの圧力でPBR(株価純資産倍率)の改善が促され、それで株価が上がるのは如何なものなのかと感じます。企業が「愛される企業」にみずから改革できれば、おのずと株価はあがるように思えます。

 

 

「株主かステークホルダーか」という二元論がいまだに存在しているそうです。「愛される企業」が、より優れた財務実績を達成しているにも関わらずといいます。「愛される企業」は、すべてのステークホルダーにとっての価値創造を意識的に行なおうとするそうです。これこそが株主価値を長期的に生み出す最善の方法ではないかといいます。

 数字だけ見て企業を判断する金融アナリストたちは、「投資家の利益を奪う取るに足りない従業員を甘やかして給与を払い過ぎるようになるはけしからん」と考えたりするそうです。

 こうした視点で、 例えば「コストコ」を分析すれば、福利厚生は手厚すぎ、未公開会社のような経営をしている企業となるといいます。そして、公開会社は株主のことを第一に考える必要があると主張するそうです。

コストコの高利益率を生み出す、従業員への「手厚すぎる待遇」:日経ビジネス電子版

コストコは同業他社と比べて給与水準がかなり高く、しかも福利厚生なども充実している。直接競合する企業よりかなり多く支払っていながら、従業員ひとりあたりの売上も利益もかなり大きい。まるで錬金術のようだが、圧倒的な効率のよさと、非常に低い離職率のおかげなのだ。より高い賃金でより満足して働いているから、モチベーションも生産性も高い。さらに、一般的な小売業とくらべて愛社精神も強いため、生産性をさらに高める新たなアイデアを従業員が次々と提案しているにちがいない。(出所:日経ビジネス

 他の愛される企業もコストコ同様に、従業員の給与が高く、投資家をしっかり儲けさせ、顧客とサプライヤーを十分満足させ、また地域コミュニティからも歓迎されることが多く、それが特長になっているといいます。

 

 

 日本の企業も、「二元論」に陥ることなく、コストコのような企業となっていけばいいのでしょう。賃上げが国是となり、また一方で投資が国によって推奨されているのだから。ましてウェルビーイングや人的資本経営、ESG経営、そんな文言も流行りとなっています。

デイトレーダーその他の解約率の高い投機家は考慮に入れていない。一時的な価値を「奪いとる」だけで、長期的な価値創造には投資していないからだ。実際、短期投資というのは矛盾した表現であり、真の投資はすべて長期的なものなのだ。ステークホルダー関係管理の経済エコシステム[生態系]においては、長期的価値を生み出すステークホルダーだけが、長期的な意味をなす。(出所:日経ビジネス

 ちょっと考えさせられる文言です。短期的な利益を求めて資産運用、投資するのか、それとも長期投資で持続的な利益を求めていくのか。資産運用する自分と働く自分を上手に接合できると、思わぬ効用がどちらにおいても出てきそうな気もします。

 

「参考文書」

午前の日経平均は反落、6連騰の反動で利益確定 下値は堅い | ロイター

PBRの改革策開示4割に 企業経営、株価重視へ転換 - 日本経済新聞