Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

満額回答相次ぐ今年の春闘、持続的な賃上げの今後、株価上昇の行方

 春闘集中回答日だった13日、大手企業を中心に満額回答が相次ぎ、賃上げムードいっぱいだったようです。

 トヨタ自動車労働組合に満額回答し、また労使の主要テーマであった生産性の過度な追求をやめる現場の「余力作り」施策も打ち出したといいます。

トヨタ、「余力作り」へ大幅賃上げ 生産性追求も見直し - 日本経済新聞

 グループ内で相次いだ不正に対する対策でもあるようです。報酬と働く環境の両面で従業員に報い、製造業で課題となっている人手不足や採用難などにも対応するといいます。

 

 

 日本製鉄は労働組合要求の月3万円を上回る月3万5000円の賃上げを実施するそうです。定期昇給などを含めた賃上げ率は14.2%になるといいます。

春闘 日本製鉄 組合の要求額上回る月額3万5000円の賃上げ回答 | NHK | 春闘

 今回の賃上げで、日本製鉄の処遇水準は国内の製造業のトップクラスになりそうだといいます。「従業員には一流の水準にふさわしい一流の実力をつけて、生産性向上などに最大限発揮することを強く望んでいる」と経営幹部は述べたそうです。

 長年続けた構造改革が実を結び、その成果でもあるのでしょうか。それに報い、もう一段高みを目指して欲しいということのようにも受け取れます。

 橋下社長の強引さが目立ち、どうなのかと疑い目で見ていましたが、トップクラスの賃上げができるまでに体力が回復し、きちんと従業員に報いることができるようになったのであれば、その改革は成功だったといっていいのでしょう。

 

 

 日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新しました。期待先行の株高といわれ、投資家は企業の改革に期待を寄せているようです。東京証券取引所も23年3月に上場企業にPBR(株価純資産倍率)1倍超への改善を要請したこともその背景にあるようです。

 1倍超の企業は、不断の事業改革や投資家への訴求が奏功し、株価を上げ、1倍未満の企業は、市場変化への対応が遅く構造改革が先送りとなっている傾向があるといいます。

東証のPBR改善要請から1年 1倍割れと突破で経営者の評価二分:日経ビジネス電子版

 これからはPBR1倍が、経営者の新たな評価軸となっていくこともあるのかもしれないといいます。国内運用大手の三菱UFJアセットマネジメントは、ROE自己資本利益率)が過去3期連続で8%を下回り、PBRが1倍未満の企業に対し、株主総会で社長などの代表取締役の再任に反対するなどして、株価を意識した経営を要請するといいます。こうした動きがさらに広がれば、上場企業の経営改革が一段と進む可能性があるといいます。

 また、構造改革に伴う雇用の流動化し始めているそうです。持続的な賃上げが求められる中、企業は事業収益に合わせて雇用人員を適正化する動きがみられ、資生堂など大手企業が大規模な早期退職に動いているといいます。

 

 

 業種における利益トップ企業が入れ替わっているそうです。2024年3月期の予想純利益を5年前と比べると、電機や食品など半数の16業種で首位が交代する見通しといいます。

利益トップ企業半数交代 32業種集計、値上げ・改革効果 - 日本経済新聞

インフレなど経営環境が変わるなか、値上げを浸透させた企業や事業構造改革を進めた企業が順位を上げている。(出所:日本経済新聞

 不断の構造改革があって企業経営の健全性が保たれ、それによって経済全体も健全に、そして持続的に成長していくのではないでしょうか。今あるこの動きを継続できるようなっていけば、持続的な賃上げも実現でき、また株価もまた持続的に上昇していくことになっていきそうな気がします。こうして社会全体にも余裕が生まれていくようになれば、新しいことも萌芽することもあるのかもしれません。

 

「参考文書」

春闘満額回答相次ぐ、トヨタは最高水準 全体の賃上げ率4%超えか | ロイター

日本製鉄、賃上げ率14% 要求上回る3万5000円で回答 - 日本経済新聞

「全員が勘違いしていた」 日本製鉄・橋本社長が覚えた違和感:日経ビジネス電子版

「いずれ我々を苦しめる」 日本製鉄の次期社長が恐れていた綻び:日経ビジネス電子版

運用大手2社、PBR1倍割れ企業の「社長」再任に反対 - 日本経済新聞

 

遅れそうなEVシフト、アップルEV撤退、遠退くサステナブルな未来

 米アップルがEV 電気自動車の開発を中止するそうです。「究極のモバイルデバイス」を販売するという夢をあきらめることになるといいます。

アップル、EV開発計画を白紙に-10年がかりのプロジェクト断念 - Bloomberg

 日の目を見ないかもしれないプロジェクトに巨額の投資を続けることを憂慮し、利幅確保に懸念があっての決断のようです。

 鮮明となったEVシフトの失速の影響もあったのでしょうか。テスラの販売台数に翳りが見え、GM、フォードも生産台数目標を引き下げ、利益予想の下方修正を余儀なくされているといいます。

 

 

 バッテリーコストが思いのほかかさみ、その上、サプライチェーンの維持にも様々な懸念もありそうです。

 一方、競合としてBYDなど中国メーカが躍進し台頭してきています。その価格に打ち勝ち魅力的な商品を提供し、長期利益を確保するというストーリーを描きにくくなったということでしょうか。

今後のEVシフト

 EVシフトの行方が気になります。米国の高金利政策が足枷とも言われますが、それが転じれば消費者意識に変化がおこり、再びEVシフトが加速していくことはあるのでしょうか。

テスラ、EV販売世界一から陥落か-中国BYD台頭で勢力図に変化 - Bloomberg

 しかし、それ以上に競争環境が悪化していそう感じもします。中国のEVメーカ BYD 比亜迪がその圧倒的な価格優位性で、テスラを追い抜き、世界一の座に上り詰めました。

重要なのはもはやメーカーの規模やレガシーではなく、イノベーション(技術革新)と進化のスピードだ。BYDはずっと前から、誰もが可能と考えた以上のペースでこれを実現できるよう準備を始めており、今や業界の他の企業は急いで追い付かざるを得ない。(出所:ブルームバーグ

 BYDの急伸長は、世界の自動車業界における中国の影響力拡大のさらなる裏付けとなるといいます。しかし、中国国内で大きな成功を収めるBYDが、そのまま海外でも大成功を収めるのは容易ではないともいいます。欧米では中国製EVに高関税を課す動きがあるようです。

 

 

マグニフィセント・セブン

 S&P500の上昇をけん引している大手ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」。テスラはそのオリジナルメンバーですが、株価の下落トレンドで、M7の資格があるのかという疑問の声が出ているそうです。 

テスラに「マグニフィセント7」の資格あるか、市場で強まる疑念 - Bloomberg

 AIブームでエヌビディアが爆騰し、それに比すればテスラの勢いが貧弱に見えます。完全自動運転の実現が間近に迫っているというような朗報があれば、マスク氏がいうテスラもAI関連銘柄ということも説得力が増しそうですが、アップルのEV撤退話からして、どうにも疑問符をつけざるを得ない状況になってきているとも思えます。

 それでもテスラ株の強気派は、大規模なEV専業メーカーで収益力もあるテスラの唯一無二な立ち位置が、マグニフィセント・セブンに入る十分な理由だと主張し、需要は短期的には落ち込むが、EVがいずれ自動車業界を支配するようになると専門家は予想しているといいます。果たしてその思惑通りにEVシフトは進むのでしょうか。

「未来」を先取りした思えたテスラの「マスタープラン」も、未来でしか実現しないことということなのかもしれません。そのためには乗り越えなければならない壁、解決しなければならない問題が多々あるということなのでしょう。地政学リスク然り、その要因である政治も然り。これらの解決があって「未来」がやってくるということではないでしょうか。

 

 

投資家心理

 肥満症治療の米イーライ・リリーの株価が上昇しているそうです。一時的にテスラの時価総額を上回ったといいます。

投資家はEVから「やせ薬」に心移り-時価総額でリリーがテスラ抜く - Bloomberg

リリーが時価総額でテスラを最近抜いた企業の一つであることは、市場の投資意欲の変化を示している。かつてのように投資家がEVの大量普及を期待してEVメーカー・サプライヤー銘柄を買うことはなくなった。代わりに減量関連銘柄が人気を集めている。(出所:ブルームバーグ

 肥満症も社会課題であるのは間違いなのでしょうから、そこに目が向くのは自然な流れなのでしょう。ましてEVシフトより、もしかして緊急性があるのかもしれません。しかし、それにしても投資家は薄情なものだと感じますが、そういうものなのでしょう。

 

 


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「参考文書」

テスラ買収も浮上、「アップルEV開発」コケた背景 10年間でスター幹部が次々と率いたが… | The New York Times | 東洋経済オンライン

アップルカー撤退 Appleも屈したEVの壁、中国利する南風 - 日本経済新聞

EVがこれほど期待外れになった経緯とは - CNN.co.jp

アングル:中国当局がEVの過剰生産懸念、テスラの上海工場増強に暗雲 | ロイター

中国でプラグインハイブリッド車人気、EV減速-テスラなどに課題 - Bloomberg

米超大型株「M7」の勢いに陰り、テスラ株は年初から20%下落 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 

熱狂のAIブーム、牽引するエヌビディア、AI半導体競争の幕開け

「AI 人工知能」が大ブームとなり、米半導体大手のエヌビディアが絶好調のようです。これを端にして日米欧の株価が爆上がりする熱狂ぶりです。

コラム:終わらないエヌビディア成長神話、企業価値さらに倍増も | ロイター

 AI関連市場の75%を握り、エヌビディアはこのブームに乗じる上で最も有利な立場にあるといいます。

エヌビディアの成長ストーリーは本物と言える。同社は売上高の11%を研究開発に振り向けて盤石な足場を維持しようとしているし、76%という粗利益率からは価格決定力の相当な強さがうかがえる。さらに配当さえ支払っており、創業者のジェンセン・フアン氏が慎重に資本を配分している様子が分かる。これらの優位性は非常に大きい。(出所:ロイター)

 

 

 こうしたブームにあやかろうと競争相手は必死に追いすがろうとするだろう。

 ソフトバンクグループの孫氏もその一人のようです。エヌビディア同様AIに不可欠な半導体を供給しようと検討を始めているそうです。

孫氏がAI半導体ベンチャー設立目指す、1000億ドル規模-関係者 - Bloomberg

 詳細はまだ明らかにされていませんが、その投資額は、最大1000億ドル 約15兆円で、マイクロソフトによるオープンAIへの投資額100億ドル余りを優にしのぐ規模といいます。

 グーグルにメタ、アマゾンなど米IT企業もAI半導体の自社開発しようとしています。マイクロソフトも同様に自社開発を進め、その製造には米半導体大手インテルが協力するようです。

マイクロソフト、自社設計半導体の生産でインテルの技術使用へ - Bloomberg

 こんな競争環境で、ソフトバンクGに勝ち筋はあるのでしょうか。一般的には先頭を走らなければ、この種の業界で生き残るは難しいといわれます。傘下のアームをうまく活用し、他社をあっと驚かせるようなイノベーションの仕掛けでもあるのでしょうか。もっと早くハードウェアの重要性に気づき、エヌビディアのようなAIアクセラレータ技術を独自に磨きかければよかったのかもしれません。今回の「イザナギ」プロジェクトもムダな骨折りにならなければよいのですが。

 

 

「生成AIでは、利益を生むよう開発を急ぐことと、人類を脅かすような開発を抑制することのバランスが問われている」と、米セールスフォース マーク・ベニオフCEOが訴えているそうです。

AI、暴走前にまずルールを 物言うCEOの訴え - 日本経済新聞

 生成AIなどAIの利用価値は高く、仕事も大きく変化していくことになりそうです。仕事の効率化が一段進み、生産性向上に役立ち、その結果、社会に大きな影響となっていくのでしょうか。現実、米国では雇用状況も変わりつつあるともいいます。

 こうしたことでかつて夢見た「週15時間も働けば食っていけるような社会」が実現すればいいのかもしれません。しかし、人は暇にに耐えきれず、余計なことをしでかすのではないかとの危惧もあるそうです。そうして、どうでもいい仕事を生み出すようになれば、ドットコムバブルの再来となりかねないのかもしれません。それもまた人ということなのかもしれませんが。

 

「参考文書」

エヌビディア売上高見通し、3.6兆円前後と予想上回る-株価11%上昇 - Bloomberg

メタ、AI半導体を独自開発 Googleなどに追随 - 日本経済新聞

ルネサス、AI半導体の処理性能16倍に 消費電力も削減 - 日本経済新聞

「生産性が上がっても、人間はなぜか暇にならない」 ベストセラー『読書大全』著者が読み解く、現代社会の課題 - ログミーBiz

 

かさむ平和維持のコスト、防衛力強化、絶好調な三菱重工

 もう間もなくロシアがウクライナに軍事侵攻から2年経ちました。しかし戦況は膠着し、なかなか出口を見いだせないままです。互いに引くに引けない状況になっていそうです。一方で、支援疲れとの言葉も聞かれるようになっています。

ウクライナ支援疲れの代償 断念なら「天文学的負担」 - 日本経済新聞

 これまでの欧米の支援額は26兆円を超え、平和を維持するコストの重みを世界に印象づけているといいます。侵攻されたウクライナを支援することは道義に適うのかもしれませんが、横暴なプーチンに振り回され、遠い異国での戦線を維持するために、負担は重くなり、自国内にも犠牲が強いられるようになれば、支援継続に逆風が吹くのもまた自然な成り行きということなのでしょう。

 11月の米国大統領選、もしもウクライナ支援に後ろ向きなトランプ大統領が当選するようことになれば、どんな事態へと進むことになるのでしょうか。

 

 

 政府が決定した防衛力の抜本的強化との方針に関する有識者会議が初めて開かれたといいます。この会議において、座長を務める榊原経団連名誉会長は5年間で43兆円を投じる防衛費について、円安や物価高騰を踏まえた増額も視野に入れた議論を提起したそうです。

防衛費43兆円の増額、官民の技術開発を検討 有識者会合 - 日本経済新聞

「43兆円の枠のなかで求められる防衛力・装備の強化を本当にできるのか、現実的な視点で見直す必要がある」と述べ、「見直しをタブーとせず、より実効的な水準や国民負担のあり方、普遍的な財源を改めて議論すべきだ」と訴えたといいます。

 また、榊原氏は防衛産業の育成を通じた「安全保障と経済成長の好循環」に触れ、「官民一体で技術開発を強化し、民需に積極的にスピンオフして経済成長につなげることが必要だ」と強調したそうです。

 ドローンが戦線が活躍するようになっています。今後はますますロボットやAIの活用も進むともいわれています。過去もそうであったように、最新のテクノロジーによって戦い方が大きく変わっていくのかもしれません。こうしたトレンドを取り込んでいくことは必要なことである一方で、「日本を守る」という言葉が大義であるかのよう独り歩きして、野放図な軍拡とならないようにしていかなければならないのでしょう。そのためには高度な戦略・戦術により効率的に装備し、最小化する創意工夫を忘れてはならないはずです。またそれと同等、それ以上に外交を駆使していくことも求められるはずです。理想はいつの時代でも「戦わずにして勝つ」という孫子の教えなのでしょうから。

「兵は国の大事。死生の地、存亡の道なり、察せずるを可からず」、まことに兵は大事であるが、生命の喪失はどうしようもない。国の存亡にかかわる。戦争をするかどうかはよくよく考えなければならない。まずは戦わずして勝つ方法を考えなければならない。目的は勝つことで、戦うことは手段にすぎない。勝つことさえできれば、何も損害を出してまで戦う必要はない。(参考:「孫子の兵法」大橋武夫

 この有識者会議で28年度以降の「ポスト43兆円」の防衛政策についても検討する考えを示したそうです。どうなのでしょうか。規模ありきになっているような気もします。

 

 

絶好調、三菱重工

 三菱重工の業績が絶好調のようです。通期の売上高・事業利益・純利益でも最高を更新する見通しといいます。国家プロジェクトである新型主力ロケット「H3」の打ち上げに成功、宇宙事業の拡大にも弾みがついているといいます。

【株価2倍】三菱重工を浮上させた意外すぎる事業

 昨年は、国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退など悪いニュースが続き株価が低迷していましたが、その後の防衛予算の増額によって成長期待が高まり、この1年で株価は2.2倍に跳ね上がったといいます。

 稼ぎ頭は利益の4割を占めるエナジー部門で、火力発電向けの高効率ガスタービンが売れているそうです。国の脱炭素政策と相まっての事業拡大ということでしょうか。

 これだけ国と一体化していれば、株価が伸びるのも当然なのかもしれません。不公平感を感じなくもないですが、何かワケあってのことなのでしょうか。

 東京株式市場では日経平均株価がバブル期に記録した史上最高値を更新し、3万9千円台をつけたといいます。業界は大騒ぎになっているようです。日本経済が健全化していけばよいのでしょうが、さてさてどうなることやらです。

 

大企業病なのか、5年連続赤字の楽天、色あせる経済圏

 楽天グループが、5年連続の最終赤字となり、23年ぶりに無配となったそうです。赤字幅は縮小したものの、最終損益は3394億円の赤字だったといいます。携帯電話事業の設備投資が重荷となっての巨額な赤字が続いています。先行きが心配になります。

楽天グループ最終赤字5年連続 2023年12月期無配、携帯が足枷 - 日本経済新聞

 5年連続、少々長過ぎるような気がします。黒字回復とまでは言わないまでも、V字回復の兆しでもあれば印象は異なるものになるのでしょう。

 競争市場に後発で参入し、これといって差別的優位性もなく、ただコスト勝負で、レッドオーシャンに飛び込んでいったのが最悪の選択だったということになりかねません。抜本的な戦略の見直しが求められていそうです。

 

 

 米国では、ビッグテック IT大手が好調のようで、株式市場は過去最高を更新が続く熱狂ぶりです。各社ともAI 人工知能技術の導入を加速させ、それが業績の追い風となっているようです。また人員削減などのコスト削減による効果もあるそうです。

米テック大手5社、増益際立つ 生成AI「幅広く活用する段階に」:朝日新聞デジタル

世界のテクノロジー産業に大きな影響力を持つ巨大IT企業の主戦場がスマホからAIに移り変わったと認識すべきだ。(出所:日本経済新聞

 日本では、ソフトバンクが、米エヌビディアなどと携帯電話の基地局にAI 人工知能を搭載してデータ処理を分散させる技術の実用化に向け業界団体を設立するといいます。

ソフトバンク、NVIDIAと連携 携帯電話のAI基地局で業界団体設立 - 日本経済新聞

 AIを活用して特定の基地局に通信量が集中するのを防ぐほか、電力削減につなげる技術の実用化を目指すそうです。

楽天経済圏を挑むKDDIとローソン

 同じく通信事業者のKDDIは、ローソンの株式を買い取り、三菱商事との共同経営を目指すそうです。

KDDI、ローソンにTOB 4971億円、三菱商事と共同出資―「未来のコンビニ」目標:時事ドットコム

『未来のコンビニ』、KDDIの通信とDXを活用して、その実現を目指すことになるようです。店舗運営の効率化やドローンを活用した遠隔地配送なども進めるといいます。また、楽天に比し、出遅れ感が否めない「Pontaポイント」経済圏をどう巻き返すかも課題になるようです。

 少子化で縮小していく国内市場で、競合同士によるシェアの奪い合いが激化しそうです。その中で、楽天のアクションが物足りないような気もします。

 

 

 楽天がなかなか苦しい状況から脱せないうちに、さらに競争環境が厳しくなっているようにも見えます。

 そんな楽天だからなのかもしれませんが、KDDI楽天も買収したらとのたらればも記事になるようです。

KDDIが楽天を買収したらアマゾン超えも夢じゃない?ローソンTOBの「先」を予測してみた | 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 | ダイヤモンド・オンライン

 楽天経済圏、その囲い込み戦略も色褪せ、レッドオーシャンに引きずり込まれてしまった感が否めないような気もします。楽天発のイノベーションが待たれますが、かつての電機業界のように大企業に陥ってしまったのでしょうか。

 それらに変わる新たな戦略があってもよさそうです。もうそろそろトップの交代があってもいいのかもしれません。世代交代が起きれば、新しい風が吹くような気もします。

 

 

「参考文書」

米S&P500、初の5000超え 「AIブーム」がけん引 - 日本経済新聞

Googleなど米IT、1月1万人削減 組織スリム化でAI集中 - 日本経済新聞

KDDIとローソン、楽天経済圏追う ポンタポイントは「絶対強化」 - 日本経済新聞

[社説]AI時代の競争に入った米巨大IT企業 - 日本経済新聞

長谷川眞理子氏「人間は他人を助ける生き物、共感する力が社会規範をつくる」:日経ビジネス電子版

 



好調な日経平均株価、それなのに進みそうにない実質賃金の上昇

 日経平均株価が好調のようです。3万7千円台を回復、少しずつバブル期の過去最高に近づいてきました。不祥事や不正に負けず日本株も、過去最高を更新し続ける米国株のように好調さを維持できるのでしょうか。

 新NISAも始まり多額の資金が投資信託などに流入するようになっているようです。

1月末の投信残高、「オルカン」が2兆円突破 - 日本経済新聞

 人気の投信は日本株というより、米国など海外を対象にしたものが人気上位を占めています。好調な株価を受けてもう少し日本株の人気が高まってもよさそうな気がしますが、信用されていないということなのでしょうか。

 

 

 株価好調とは裏腹に、賃上げの進行は今ひとつ力強さが欠けているのでしょうか。現金給与総額は伸びるものの、なかなか物価上昇を上回ることはなく、依然実質賃金はマイナス圏のままです。企業に対して賃上げを求めたいところですが、政府や世論が無理な賃上げを求めると、一時的には実質賃金は上昇しても、それによって企業収益は圧迫され、いずれ企業が雇用や賃金を抑制することになり、結局は実質賃金の持続的な上昇を妨げかねないといいます。

 なかなかうまくいくことはないようです。企業業績が改善し続け、株価もそれに伴って上昇を維持し、なおかつそれによって、実質賃金も上昇していくことがいいのでしょうが、そんなことはいつになったら実現するのでしょうか。

実質賃金の上昇にはインフレ率のさらなる低下が必要(12月毎月勤労統計):政府は賃上げ要請よりも持続的に実質賃金を高める成長戦略の推進を|2024年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)

 持続的な実質賃金の上昇、その実現には、少子化対策労働市場改革、インバウンド戦略、大都市一極集中の是正、外国人労働力の活用などの成長戦略を進めていくことが、政府に求められると専門家は指摘します。

それらが成果をあげ、先行きの成長率見通しが高まれば、企業は設備投資を活発化し、それが労働生産性上昇率を高めるだろう。(出所: 野村総合研究所

 政府は目先の成果にこだわっているようで、足元での賃上げに力を注ぎます。しかし、それでは経済環境を好転させることはできないだろうといいます。

 

 

 ここ最近における政治の混乱が気がかりです。自民党の腐敗が深刻のようで、こんな状態では、進めるべき適切な経済対策も実行不可能なように思われます。急ぎ政治改革を断行しない限り、厳しい状況がまだまだ続くことになるということなのでしょうか。

 

 

「参考文書」

中国とバフェットが高笑いし、労働者があえぐ国ニッポン | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

結局、新NISA活用の外貨投資はいつ、どれくらい円安を進めるのか | Business Insider Japan

東証がPBR改善宣言1115社公開 投資家「経営者に同調圧力かける」:日経ビジネス電子版

悔しさにじむ退任会見、パーパス経営のSOMPO櫻田CEOの挫折

 ビッグモーターによる保険金不正請求問題をめぐって、SOMPOホールディングス桜田謙悟会長兼グループCEOが責任を取って3月末で退任することになったといいます。

なぜ俺の責任に…SOMPOのドン、追い込まれた「桜田ファミリア」:朝日新聞デジタル

「痛恨の極みであり、深く反省している」、「大きな汚点を残した可能性があることを考えれば、現実にグループの最高責任者である私が責任なしとはありえない」.....

 悔しさが滲み会見だったようです。

 

 

記者から引責辞任なのか問われると桜田氏は「皆さんの判断に任せたい」と明言を避けつつ「現時点のCEOとして私に一切の責任がないはずはなく、反論するつもりはない」と話した。(出所:日本経済新聞

「売り上げ重視の企業文化。顧客をないがしろにする風土を刷新できなければ、失墜した信頼は取り戻せない」、業務改善命令を出した金融庁はそう指摘し、顧客の利益よりも収益を重視する企業文化の是正を求めたそうです。

売り上げ重視、顧客ないがしろ トップ引責―SOMPO・損保ジャパン:時事ドットコム

「グループ経営に重大な影響を及ぼし、お客さまの信頼を失う危機的な事案に発展する可能性があるとの認識を持てなかった」と、櫻田氏は会見で釈明したそうです。

「グループ全体に欠陥があったとは思いたくない」、トップとしての在任が長くなり、物言いづらい企業風土、雰囲気があったのではないかと問われた桜田氏は金融庁の改善命令で「あなたがいたからだと言われてビックリしたが、僕がいなくなることで物言える文化となるならそれに越したことはない」、「言いづらかったと言われれば、不徳のいたすところ」と述べたともいいます。

 会見の様子は「改革派」として損害保険業界のみならず、経済界に名をはせてきた櫻田氏のイメージと大きくかけ離れたものだったといいます。

SOMPO桜田CEO、在任13年に幕引き パーパスだけで企業文化変えられず:日経ビジネス電子版

2010年7月に旧損保ジャパンの社長に就任。「損保3メガ体制の中で勝ち組になる」との目標を掲げ、次々と手を打った。旧日本興亜損保との合併を主導し、14年に実現させた。人口減で市場が縮む国内損保ビジネスを補うため、海外事業も強化。介護にも参入するなど多角化を進めた....(中略)....先進的な企業統治を採り入れ、企業が存在する目的である「パーパス」の追求でも、SOMPOは知られるようになる。(出所:朝日新聞

 桜田氏は、強いリーダーシップと経営手腕で、損保ジャパンを中核とするSOMPOグループを大きく成長させてきたそうです。

 

 

「パーパス経営」、どんなに優れた最新の手法であっても、結局、それは目的に対する手段に過ぎず、どんな時、どんな場合でも、ほんとうに求められているのは経営トップの正しい哲理、そして組織を貫く共通理解なのでしょう。どんなに経営者が高い意欲で推し進めようにも、それに呼応する企業文化が育まれたいなければ、改革が期待通りに進むことはないのでしょう。そこでは、常に人間の存在を無視できず、結局、人間的考察が求められることになるはずです。

 櫻田氏の後任CEOには、奥村COOが昇格し、損保ジャパンの白川社長の後任に石川副社長が昇格するそうです。「不退転の覚悟で企業風土の改革に取り組んでいく」と奥村氏は語り、石川氏は人事や評価制度を改め、「営業を優先する企業風土やカルチャーをすべて変えたい」と、企業文化の変革を担う専門の部署を設ける意向を明らかにしたそうです。

 さて新たな経営体制で進むことになるSOMPOではどんな企業文化が形成されていくのでしょうか。

 卓越した顧客サービス、社会的責任、株主価値、誠実さ、チームワーク、優秀さ、そんな要素が含まれていればいいのかもしれません。

 

「参考文書」

損保ジャパン親会社 経営陣刷新を発表 ビッグモーター問題で | NHK | 金融

SOMPO、桜田CEO退任発表「監督・執行に関与しない」 - 日本経済新聞