Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

話題の昆虫食を調べてみる コオロギとハエの幼虫

 

 食したことが無いわけではないが、昆虫食と聞くと、まだ抵抗感がある。イナゴに蜂の子、サソリなど口にしたことはあるが、昆虫を食することに何らかの偏見があるのかもしれない。

 昆虫食のニュースも増え、ブームと聞くと、少しばかり興味も沸く。

 「話題の昆虫食、コオロギ粉末でせんべい 味はえびせんべい、香ばしく」と伝える岐阜新聞の記事が目についた。

 記事は、岐阜県大垣市のキャナリィ21という会社がコオロギせんべいを今日8日から販売を始めることを伝える。

昆虫食が進んでいるタイから食用コオロギを輸入。国内で検査して粉末にしたものを使うことで、見た目でコオロギを使っていると分からなくした。製造はえびせんべいメーカーに委託しており、味はえびせんべいに似て香ばしい。1袋で35匹程度のコオロギを使う。

 コオロギはカルシウムが牛乳の約2倍あり、タンパク質も牛肉の約4倍と栄養価が高い。また育てやすくて環境負荷が小さく、味も癖がない。 (出所:岐阜新聞

www.gifu-np.co.jp

 無印良品のコオロギせんべいが人気とのニュースを目にしていたが、いよいよ地方企業でも商品発売するようになったかと思うと、少しばかり調べてみようかとの気持ちも沸く。 

 

 

 そのタイのコオロギ飼育について紹介する西日本新聞の古い記事(2016年)がある。それによれば、タイ国内にはコオロギ飼育場が2万カ所以上あり、年間生産量は約1500トンとある。

 「周辺の環境に悪影響を与えず、コストも手間もかからない」、水不足に苦しむ東北部などの稲作農家が、コオロギ飼育に乗り換えるケースも多く、大学も指導を始めているとその記事にはある。

www.nishinippon.co.jp

 国連食糧農業機関が2013年、世界の食糧難に対処するために「昆虫食」を勧めたことがタイでの普及を後押ししたと記事は説明する。

アフリカや中東から視察団がタイを訪問。唐揚げ用などのほか、栄養食品などに使用するパウダーに製品化され欧州連合(EU)や米国に輸出されることも増えた。

タイ政府は国産昆虫の信頼性を高めるため、コンケン大などと連携して年内をめどに食品としての安全基準を策定中。 (出所:西日本新聞

 「家族経営が多い飼育場の産業化を進めれば、世界の生産拠点になり得る」と話す大学教授の言葉を記事は紹介する。

 国外では昆虫食も食品産業化し、食としての安全にも配慮しているのかと納得できれば、機会があればコオロギにも挑戦してみようかとの気持ちも沸く。

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 ハエの幼虫を養鶏の餌にする、そんな事業を行なう「Better Origin」という英国の会社が300万ドル(約3億2000万円)の資金を調達したとTechcrunchが伝える。

 輸送用コンテナを使い、食品廃棄物を餌にしてハエの幼虫を飼育し、その幼虫を今度は鶏のエサにするという。

jp.techcrunch.com

 Techcrunchによれば、このプロセスには2つの効果があるという。

 飼料に使う大豆の使用を抑制することで、ブラジルのような国々で森林破壊や生息地の減少に関係することや、食糧と飼料の生産を分散化させ、食糧サプライチェーン食糧安保を守ることにあるという。

欧米経済は年間生産される食糧の約3分の1を廃棄しているが、平均すると、人口の増加に伴い、食糧の生産量を70%増やす必要がある。また、食糧廃棄物は、米国、中国に次いで、温室効果ガス(GHG)の排出量にすると第3位の原因でもある。 (出所:Techcrunch)

 

 

  調べてみれば、それなりの理由があって昆虫食の産業化が進む。単にタンパク質代替と思うと、ハードルの高さを感じてしまうが、食糧と飼料の分散化と聞くと納得感を得るところもある。

 姿形が見るとまだ遠慮したくなるが、せんべいなどで手軽にタンパク質補給ができると思えばいいのかもしれない。

 

forbesjapan.com

 

加速しそうな「気候変動」対策、200兆円規模の米国経済対策成立へ 残される課題はないか

 

 米上院で、1兆9000億ドル(約206兆円)規模の追加経済対策法案が可決、大統領の署名を経て、来週には成立するそうだ。バイデン大統領が公約に掲げた成長戦略の実現に向け、大規模インフラや環境対策への投資などがいよいよ動き出すことになるのだろう。

www.jiji.com

 今では「脱炭素」がすっかり世界の常識になり、「気候変動」がビジネスの俎上に載るようになった。

 米国でその動きがさらに加速しそうだ。それで景気が回復し、新たな雇用が生まれれば、それはそれでいいことなのだろう。

 

 

 それでも、まだ解決されていない社会課題がたくさん残っているのだろう。

 森発言に端を発したジェンダー平等問題は解決に向かうのだろうか。ビジネスの俎上に載らないと、そのスピードが上がることはないのかもしれない。

 飲料メーカによるペットボトルの水平リサイクルは進展をみせているようだが、それだから言って、海洋ごみが減ったというニュースは聞かない。

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 ロイターによれば、売れ残り衣料品は世界全体で1400 - 1600億ユーロ(約17兆8000億 - 20兆3000億円)相当になり通常の2倍を超えているという。春物の発注を減らさざるを得ず、サプライチェーンを管理する商社は代金回収ができず、バングラデシュの縫製工場も苦境に立たされていると指摘する。

 そのしわ寄せは末端の途上国のワーカーまでに及ぶ。

jp.reuters.com

北米や欧州の小売店などを取引先としているダッカのある工場オーナーは「注文は普通3カ月前に届くが、今年はまだ3月の注文が何もない。工場の稼働率は25%だ。幾つかの注文で2月までは操業できるものの、その後どうなるかは分からない。われわれが生き延びる方法はこうだと言うのは難しい」とため息をつく。 (出所:ロイター)

 「本来ならこの時期は少なくとも3月まで工場がフル稼働し、秋/冬物の注文が大量に舞い込んでいるはずなのに」とこぼす関係者の声をロイターが紹介する。

 衣料品産業に異変が起きているのだろうか。

 

 

 ロイターの指摘を裏付けるように、社長交代になった国内アパレル大手のTSIホールディングスは、「今後もコロナ前に比べれば3割程度抑える」という。

 「作り過ぎからの脱却だ」と語るのは、そのTSIの下地新社長。WWD Japanが下地社長にインタビューし、その言葉を紹介する。

まずはそれぞれのブランドが売り場のスペースを埋める発想ではなく、商品構成を絞って面白さが煮詰まった状態にする。もしスペースが余ってしまうのであれば、いろいろな企業と協業する場所にすればよい。本だったり食器だったり、あるいはデジタルのサービス拠点だったり、ブランドとのシナジーが見込める異業種はたくさんあるはず。

リアル店舗の商品量を減らす分、ECをはじめとしたデジタル部門を強化して、新しいお客さまとの接点を広げて購買に結びつける。 (出所:WWD Japan) 

www.wwdjapan.com

 作り過ぎが減れば、それだけ廃棄処分も減りそうだ。

 それに加え、下地社長は「まだ私の構想段階だが、リサイクルセンターを作りたい」と言っているそうだ。

米沢と宮崎の自社工場を活用して、作りっぱなしではなく回収・再生して次世代に服のバトンをつなげる拠点にする。店頭のお客さまから回収した古着、それに当社の旧品を廃棄しないでリサイクルセンターに持っていき、アップサイクルして新しい価値を付加したり、あるいは素材として再利用できるものはそちらに回す。こういったことは当社のような大手が率先すべき。実現できる背景を持っているのだから。 (出所:WWD Japan)  

 それはそれでいいことなのだろう。

 しかし、生産量を減らすことで、影響を受ける人たちは他にいないのだろうか。弱い立場の人たちが影響を受けたりはしていないだろうか。

 

 

 衣料品産業における「過剰生産」「大量廃棄」もようやくビジネスの俎上に載り始めたのかもしれない。取り組むプレイヤーが増えれば、新たなビジネスが基盤も出来上がるのかもしれない。

 ただ社会課題は単独で存在している訳ではない。

 「あちらを立てればこちらが立たず」、「両方立てれば身が立たぬ」ということになるのかもしれないが、その矛盾を解決していくことが求められているのかもしれない。

 それこそが「サスティナビリティ」であろうし、「SDGs」で求められていることだったりする。

どこまで同時並行に問題を解決に導いていくことができるのだろうか。そこにSDGsに取り組む本来の意義があるような気がする。

 

www.bloomberg.co.jp

 

「三方よし」で突き進む伊藤忠商事 統合報告書で紐解くそのスゴさ

 

 GPIF 年金積立金管理運用独立行政法人が、国内株式運用機関が選定した「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」をそれぞれ発表した。

 「優れた統合報告書」には、6機関から評価を受けた伊藤忠商事の他、日立製作所キリンホールディングス、不二製油グループ本社、三井化学三菱ケミカルホールディングス花王オムロン、リコー、丸井グループが選ばれている。

 また、「改善度の高い統合報告書」には、日本ペイントホールディングスの他、大東建託、 味の素、みずほフィナンシャルグループなども選出された。

www.bloomberg.co.jp

 GPIFによれば、「優れた統合報告書」に選ばれた伊藤忠商事は、「CEO メッセージが印象的な統合報告書で、コロナ禍における問題意識、サステナビリティの考え方がよくわかる内容だ」という。

 また、グループ企業理念を「三方よし」に改訂したことを指摘し、財務・非財務のあらゆる分野に企業理念を密接に関連付け、独自の切り口で短期・中長期の成長に向けた道筋が明確に示されているという。

 

 

 早速、その伊藤忠商事の「統合報告書」を確認し、CEOメッセージを読んでみた。

 伊藤忠商事のCEOを務めるのは岡藤正広氏。そのメッセージは昨年2020年4月、新入社員を出迎えた話から始まる。

 昨年の緊急事態宣言下で、在宅勤務に移行したことに話が移り、宣言解除後、原則全社員を出社に変えたことに触れ、その理由を語る。

伊藤忠商事商人である」との信念があったからだという。

 危険と隣り合わせで人々に生活必需品を届けるお客様がいる。マスクをつけたままでも笑顔がお客様に伝わるようにと練習する人もいたという。

 そうした人がいる中で、伊藤忠商事の社員だけが自宅で仕事することが、商人の「あるべき姿」だとは思えなかったという。

 6ページにおよぶ岡藤CEOのメッセージは、ここ最近の業績の好調さを如実に現していると感じる。

www.itochu.co.jp

 

 「統合報告書」には、非財務情報を開示し、それが将来の財務的価値をどのように生み出すのかを投資家に理解してもらう意味があるという。

 

 

 

 繊研新聞社によれば、伊藤忠商事の足元の業績はコロナ禍でも順調で、第3四半期までの純利益は3643億円、通期では4000億円を見込むという。

 岡藤CEOは2月19日、大阪で記者会見を開き、こう話したという。

他商社が苦戦する中、断トツの純利益を稼ぎ出すが、「油断せず今の時代に合わせないといけない。今の商売で5年後残る事業がどれだけあるか。ひょっとすると半分はなくなっているかもしれない」と強烈な危機感を示した。 (出所:出所:繊研新聞社

senken.co.jp

  繊維カンパニー出身の岡藤氏は、「繊維は残さないといけない。そのためには頑張ってくれなあかん」と繊維カンパニーに対してゲキを飛ばしたという。

 さらに、「消費関連ビジネスを看板に掲げる限り、食品だけでは駄目で衣、食、住が必要。繊維には宝がたくさんある。それらを磨けば収益性は高まる」と話し、200~300億円の安定した純利益を求めたという。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

 その伊藤忠商事が、独自ブランドの蓄電池「スマートスター3」を5月から販売を開始しそれに合わせ新しいサービスも始めるという。

 日本経済新聞によれば、一般家庭が参加できる「二酸化炭素の排出枠取引」の仕組みを構築するそうだ。

 AI人工知能で管理する蓄電池を5月から家庭に販売、太陽光パネルで発電した電気で自家消費した分をCO2の排出削減分とみなし、その分を排出枠が必要な企業に提供するという。

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(写真:伊藤忠商事

家庭は従来の売電に加え、自家消費した電力をCO2削減分として企業に提供し、見返りにポイントを得られる仕組みを伊藤忠が仲介する。

伊藤忠が家庭に提供するのは独自ポイントである「グリッドシェアポイント」。

アマゾン・ドット・コム楽天などが提供するポイントと交換可能だ。さらに今夏にも企業と家庭が直接取引し、その企業が展開しているポイントを得られる仕組みも始める。伊藤忠子会社のファミリーマートが参加を検討している。 (出所:日本経済新聞) 

www.nikkei.com

 

 一般家庭が排出枠取引に参加できるとは驚きのサービスだ。まさに「三方よし」というのことなのかもしれない。これこそが、あるべき現代の「商人」の姿なのかもしれない。

 

 

 

 気になるニュースがあった。伊藤忠商事ではなく、資生堂に関するものだ。

資生堂の迷走、在庫余剰の高級化粧品を“叩き売り”…販売店が猛反発、異例のお詫び文」との記事をビジネスジャーナルが出す。

 それによれば、コロナ渦でインバウンド需要が蒸発し、その渦中に資生堂が失態を演じたという。自社ECサイト「ワタシプラス」で起きた騒動で、主力ブランドの商品を定価よりも6160円も安く販売したという。

biz-journal.jp

 化粧品専門店(リアル店舗)がこれに激しく反発した。

総合スーパーやドラッグストアの安値攻勢に神経を尖らせている状況に、メーカーまでが値引き競争に加速するのであれば、まさに死活問題だ。

「定価で売っている我々がバカをみる」と抗議した。11月30日に値引き販売を停止。魚谷社長が専門店に「お詫び文」を出した。 (出所:ビジネスジャーナル) 

「インバウンドバブルの崩壊で、訪日客に人気があった高級化粧品「SHISEIDO」が大量在庫になったため、在庫を減らすために値引き販売したわけだ。目先の利益にとらわれてブランドイメージを自ら傷つけたことになる」とビジネスジャーナルは解説する。

 

 

 資生堂の「統合報告書」を確認してみた。そのものの発行はなく、財務関連の報告書とサスティナビリティレポートの発行という形態だった。

 CEOメッセージを読んでみる。少しばかり意識の差を感じた。

corp.shiseido.com

 

 資生堂が始めたサステナブルプロジェクト「SBAS」で少しばかり疑問を感じたことを思い出した。 

dsupplying.hatenablog.com

 

 CEOの差なのだろうか。資生堂には何か社会課題を解決しようとの意識はあるのだろうか。少しばかり心配になった。 

 

dsupplying.hatenablog.com

 dsupplying.hatenablog.com

 

「参考文書」

www.itochu.co.jp

魔訶不思議は起こる、ユニクロとウーバーの場合 下落する価格と報酬

 

 日経平均株価が昨日大きく値を下げた。米国での金利上昇を嫌気しての下落と言われるが、「ファーストリテイリング」が1銘柄で日経平均を約200円押し下げる要因となったとロイターはいう。

ユニクロが9%値下げへ

  その背景には、ファーストリテイリングが、ユニクロやGUの商品を3月12日から約9%値下げするとしたことがあるようだ。 

 

 

 ロイターによれば、小売業は4月から消費税を含む価格を明示するよう義務付けられるが、ユニクロやGUは税抜き価格で表示している値札を変えず、本体価格自体の変更で対応するという。

business.nikkei.com

「強気の値下げを決めた背景には、コロナ禍で広がる景気や雇用の先行き不安がある」と日経ビジネスは指摘、コロナ渦にあっても好調な業績を追い風に、値下げすることでさらなる取り込みを図る狙いがあるようだという。

 顧客にとってありがたく、さらなる拡大も期待できそうなのに、これを手掛かりにして株価は値を下げるというのだから不思議なものだ。

 どんな感情が投資家を支配しているのだろうか。 

 

 

報酬下がる = ウーバーイーツ

 このコロナ渦で、ウーバーイーツもサービスを拡大させ、全国の大都市圏で利用にできるようになったという。その一方で、「ギグワーカー」と言われる労働者が増加、ウーバーイーツだけでも10万人を抱えるほどになったそうだ。

 そのウーバーが今月から福岡県と京都府で新たな報酬体系の運用を開始したと共同通信が報じ、他の地域にも広がる可能性があると指摘する。

配送距離などに応じて算出する基本料の水準を下げ、報酬総額は平均で約3割下落したとみられる。新型コロナウイルス流行に伴う解雇や雇い止めの影響で配達員の成り手が増える中、労働環境の悪化が懸念されている。 (出所:共同通信

this.kiji.is

従業員との判断 = イギリスのウーバー

 イギリスでは、最高裁がウーバー(Uber)の運転手らを「契約者」ではなく「従業員」として扱われるべきだとする判断を示したという。ウーバー側も、同裁の判断を尊重すると表明したとAFPが報じる。

 「ギグエコノミー」にも広く影響し得ると指摘する。

www.afpbb.com

 英国では「従業員とすべき」とした判断が示され、国内では労働環境の悪化の懸念が浮上する。英国では判決を支持したウーバーの対応に疑問を感じたりする。この差はどこから生じるのだろうか。

 

 

ウーバーイーツ配達員に多額の寄付 = 米国

 アメリカのウーバーイーツで働く1人の男性が、泣きながらその苦労を訴える動画に反響が集まっているとFRONTROWが伝える。

組織に縛られない、時間がフレキシブルに使える、副業として気軽に始められるというメリットがある一方で、「ギグワーカー」は企業の従業員ではないため、最低賃金や有給休暇の対象にならない。そういったことが労働者の搾取に繋がるとして、現在議論が進められている。 (出所:FROONTROW) 

front-row.jp

 チップ制度がアメリカ文化の一部となっているが、彼が動画で主張した「配達員にチップを払うべきだという意見」に多くの賛同が寄せられ、予想外の出来事が起きたという。

 それは、多くの人からの寄付だったという。

「なんと、彼の元には、約5万5,000ドル(約605万円)もの寄付が集まったという」。

 摩訶不思議な世界。チップをケチ人々がいる一方で、多額の寄付が集まる。

 

 

 感情と真実

 2017年にノーベル文学賞を受賞した小説家のカズオ・イシグロ氏の東洋経済オンラインのインタビュー記事が気になった。

よりネガティブな、センセーショナルな情報が注目を集める中、私たちはこうしたコントロールできない世界とどう折り合いをつけていくのかに苦慮しています。

それでも私たちは、真実がきちんと伝わるすべをなんとか考えなければいけません。

それがセンセーショナルだから、とか、目立つから、とか、怒りに満ちているからという理由ではなく、尊敬の念から注目を集めるものが必要です。

私たちは何とかしてもっと思慮深いものを作っていかなければならないと思います。 (出所:東洋経済オンライン) 

toyokeizai.net

 そんなイシグロ氏の言葉に納得する。

 さらに、「俗に言うリベラルアーツ系、あるいはインテリ系の人々は、実はとても狭い世界の中で暮らしています」と指摘し、「東京からパリ、ロサンゼルスなどを飛び回ってあたかも国際的に暮らしていると思いがちですが、実はどこへ行っても自分と似たような人たちとしか会っていないのです」という。

 狭い世界に住むことに慣れてしまえば、違う世界に住む人々のことを忘れてしまうのかもしれない。

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 選別され過ぎた情報社会になったせいのだろうか。 

 他者の存在を一連のアルゴリズム、すなわちその人間が何を望み、何を買いたいと思い、何をおそれるのか、といったことを正確に予測できると仮定した世界において、それは他者に対する私の見方を変えるのか。

そういう世界においては、妻や娘など人間を愛するという概念や、その意味するところも変わり始めるのか。そして、これによって私たち人間の関係性が根本から変わるのか……。 (出所:東洋経済オンライン) 

 少し複雑な気持ちでイシグロ氏のインタビュー記事を読んだ。

 

「参考文書」

www.sankei.com

jp.reuters.com

「移動店舗」が新たなコミュニティに⁈ ハウスも始めたキッチンカー支援サービス

 

 あのLOUIS VUITTONルイ・ヴィトン)が米カリフォルニア州で、店舗のように作られた専用のキャンピングトレーラーで顧客の自宅などを訪問するサービスを始めたという。

www.wwdjapan.com

 コロナ渦、色々なサービスが生まれるものだ。このサービスは、この先も継続になるのだろうか。

 

 

 国内にも同様な動きがあるようだ。三井不動産が昨年2020年9月から「移動商業店舗」プロジェクトを始め、今後さらに拡大を目指すという。 

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(写真:三井不動産) 

 新型コロナの影響で、人が多く集まる店などに行く頻度が減り、密になりにくい、地域密着型の移動店舗で「買い物を楽しむ」というニーズがあったようだと、”リテール大革命”がこのサービスを紹介する。

客にとっては、買い物場所が「いつも同じ光景」ではなくなる。曜日や時間帯に合わせて提案される商品やサービスに触れることができる。

また、それに加えて、商品やサービスと“思いがけない出会い”をする機会を得られる。(出所:リテール大革命) 

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(資料:三井不動産

例えば、平日の朝の時間帯なら、住宅地にはパン屋や靴磨きのニーズがあり、オフィスビルならコーヒースタンドのニーズがある。休日の住宅地ではクリーニングやマッサージなどの需要を想定できる。店舗の業態によって変わるピークタイムに合わせて出店場所を移動させれば、効率的な販売が可能だ。(出所:リテール大革命) 

www.itmedia.co.jp

 ポストコロナの新たな消費のパターンになるのだろうか。

 

 

 一方で、繁華街のコロナによる影響は深刻なのだろうか。

 Forbesによれば、アパレル大手のGAPは、2021年夏までに英国、フランス、アイルランド、イタリアで運営している直営店をすべて閉鎖する可能性があるといい、もしそうなれば、有名ブランドがまたひとつ、大都市の商業地域から消えることになるという。

英タイムズ紙の報道によると、いかにも米国的な「ジーンズとスウェットシャツ」のブランドであるGAPは、英国内にある95の実店舗をすべて閉鎖し、オンライン販売専業になる可能性があるという。 (出所:Forbes)  

forbesjapan.com

 「英国 全土の繁華街やショッピングセンターですでに生じていた変化を、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がさらに加速させたのは間違いない」とForbes記事筆者はいう。

繁華街や都市や街の中心部は、コミュニティの結束を高める触媒の役割も果たしてきた。特に、メンタルヘルス面でのケアや人々の幸福感を支える場所という意味で、その役割は大きい。 (出所:Forbes) 

 そうなのかもしれない。こうした街の役割を懐かしむことはノスタルジアのようなものだろうか。

 

 

 地方を中心に百貨店が苦境にあえぐという。その百貨店の再生策を議論するため、有識者や業界関係者らによる研究会が経済産業省で開催されたとJIJI.COMが伝える。

百貨店は、高度成長期を通じて豊かになった日本の消費文化を支えたと評価される一方、1990年代のバブル崩壊を機に売り上げの減少傾向が続く。

近年は郊外の大型商業施設やインターネット通信販売の台頭に、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛が三重苦となり、閉店ラッシュの波が地方から都市圏に及び始めている。 (出所:JIJI.COM) 

www.jiji.com

 

「移動店舗」は解決策なるのだろうか。集客という発想を変えることはできるのだろうか。

 ハウス食品グループが、飲食店向けにキッチンカーの導入を支援するサービスを始めたという。

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(写真:ハウス食品グループ

ハウスが車両や販売場所、メニューの仕込み場所などを用意し、希望する飲食店に貸し出す。新型コロナウイルスの流行で飲食店の経営は厳しい。キッチンカーを活用した飲食店の支援を新規事業に育てる考えだ。 (出所:日本経済新聞

www.nikkei.com

 家の近くのドラッグストアの駐車場に時々キッチンカーがやって来るようになった。最初の頃はうれしかったが、慣れてしまうと飽きも来る。もっと選択肢が増えれば、思いがけない出会いも増えるのかもしれない。

 ポストコロナでは、どんな街の風景になっているのだろうか。 

 

「参考文書」

www.mitsuifudosan.co.jp

 

ポストコロナはどんな経済社会か その姿がおぼろげに見え始める

 

 首都圏の緊急事態宣言は延長となるのだろうか。

 1都3県が、政府に宣言を2週間延長することを要請する方向で調整との報道を目にする。一方、加藤官房長官は2日午前の会見で、解除や延長の判断は知事の要請を尊重するといったそうだ。

jp.reuters.com

 気分的には重苦しい緊急事態宣言を早く解除して欲しいと思うが、足元の情勢からすれば、延長やむなしというところであろうか。

 

 

 

回復しそうな米国経済とインフレ懸念

 米国に目を向けてみれば、長期金利が上昇し始め、それを受けて株価が動揺する。

 政権が替わりワクチン接種を進め、その効果が表れ経済が回復してくると、次の課題として、もう金融・財政政策の出口戦略の問題があがるという。

 ロイターによれば、その背景にはインフレ懸念があるという。原油など商品市況が上がり、世界的に製造業が活況になってきたことで、インフレ圧力が生じているという。実体経済が過熱し、積極財政と過剰流動性を放置すれば、さらにインフレ懸念が強まる。FRBはまだ出口戦略を描き切れていないというが、2021年度中には新しい方針の設定をすることになるだろうという。

jp.reuters.com

 経済構造自体が異なるということなのかもしれないが、そのスピード感の違いをまざまざと感じる。

 

 

減少したCO2排出はつかの間 回復しそうな石油需要 

 エネルギー業界の国際会議が開催され、参加した大手石油会社幹部が、今後10年間に原油需要は上昇すると予想しているという。

 再生可能エネルギーが注目を集めたとしても、化石燃料がエネルギー構成の主要部を担う構図は変わらないとの見方を示しているとロイターが伝える。

jp.reuters.com

 航空燃料需要は2021年下期には平常に近い水準に戻り、この会議に参加した米ユナイテッド航空はビジネス旅行の回復を見越しているそうだ。 

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 一方、2020年のエネルギー起源の二酸化炭素の排出量は前年から5.8%減ったという。

 IEA国際エネルギー機関によれば、減少幅は第2次世界大戦後で最大で、19年から20億トン減り、20年の世界の排出量は315億トンになったそうだ。コロナ禍で人やモノの移動が鈍り、運輸部門の排出が14%大きく減ったのが主因だという。これにより、石油の消費量が大きく落ち込んだと日本経済新聞は指摘する。

www.nikkei.com

 コロナ渦も過ぎれてみれば、元に戻ってしまうのだろうか。

 日本経済新聞によれば、昨年4月に15%減を記録したCO2の排出も、経済活動の再開とロックダウンの緩和などを受け、その後は増加に転じ、12月には2%の増加を記録したという。

コロナ以前に戻ることはないとは言われていたが、どうなのだろうか。

 

 

2025年、変わる価値観

 「2025年には価値観が大転換して気候変動の問題も解決に向かいますよ

と、ユーグレナの出雲社長がいう。その理由をPHPオンライン衆知に寄稿する。

2025年にミレニアル世代が過半数になると、一気に社会の価値観が変わり、これまでの常識がことごとく覆されることになるでしょう」と指摘する。

民主主義社会においては、この「過半数」が非常に重要になります。(中略)過半数が重要になるのは選挙だけではありません。

生命科学やエコシステムなどにおいても、過半数と同様の重要なポイントがあります。

物理ではそれを「臨界点」、数学なら「偏極」と言いますが、あるところで激変するポイントがあるのです。 (出所:PHPオンライン衆知)

shuchi.php.co.jp

 2011年の東日本大震災と2008年のリーマンショックという大きな出来事があった。こうしたことが、多くの人の心理に影響を与えている。特にミレニアル世代に与えた影響を出雲氏はこう指摘する。

科学の力によって100%何でも解決できると信じていましたが、自然は予測不可能であるという事実が、目の前に突きつけられたのです。

自然というものがいかに偉大であり、ときに恐ろしいか。

世の中はそんなにシンプルではなく、もっと複雑なものだということ、私たちが忘れていた自然に対する謙虚さを、東日本大震災原子力発電所の事故が思い出させてくれたのです。

科学によって世の中の問題は100%解決できるというのは、あまりに楽観的、かつ傲慢な捉え方だったのではないかと、反省したのです。(中略)

少なくとも、これまでの金融資本主義を推し進めていけば、明るい未来が訪れるという神話は、日本では3・11のときに崩壊したと私は思っています。 (出所:PHPオンライン衆知)

 私たちは、このコロナ渦からどんな「学び」を得るのだろうか。

 

 

 

またも不正発覚

 ジェネリック医薬品大手の「日医工」が、国が承認していない工程で医薬品を製造していたとして、業務停止命令を受け、処分されるとNHKが報じる。

 それによれば、ジェネリック医薬品の需要が高まった平成26年ごろから生産を急増させたが、人員や設備を確保しないまま過剰な生産計画を立て、試験で不適合となった製品を廃棄しなくて済むよう再試験などを行っていたという。

 医薬品を製造販売する企業として、あるまじき行為にただ驚愕する。こうした行為の動機は何であったのだろうか。

 こうした由々しき行為に対する粛清も、次のステージに向かうためには通らねばならない道なのだろう。

 

倫理的な企業

 「世界で最も倫理的な企業」リスト最新(2021年)版の発表があったとBusiness Insiderが伝える。

 それによれば、日本企業で選ばれたのは、15年連続の花王、3年連続のソニーの2社だという。この他、キャノンのアメリカ法人が自主応募して選出されているそうだ。

 リスト選出企業は、

「企業倫理とコンプライアンスに関する取り組み」

「企業市民としての責任ある行動」

「倫理的企業文化」

コーポレートガバナンス

「リーダーシップ・社会からの評価」

の5項目を柱とする独自の手法で評価されているという。

 受賞企業には、スターバックスやロレアルなどの名があがる。

www.businessinsider.jp

あと4年

 2025年がやってきたとき、どれだけ「倫理的な企業」としてリストアップされる企業は増えているのだろうか。期待をしたいが、まだ不安も感じている。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

「シロアリ」と化す ITゼネコン、倫理なきデータ収集に危惧を示すアップル

 

 ECサイトなどによくあるおススメとか、リコメンデーション機能が好きになれない。顧客の好みを分析するマーケティングツールとしては有用なものかもしれないが、それでは新しいものを発見する喜びがなくなってしまうのではないか。

 ネット上で自分の行動が追跡され、機械学習され、そのパターンから提供される情報が偏ったものになることほどつまらないものはないと常々そう思っている。

 そんな気持ちを理解してくれているかのように、「常に監視されている状態を想像してほしいのです」とアップルのCEOティムクック氏が言ったという。

 「私の考えでは、プライバシーは今世紀最大の問題の一つです」とも、断言したという。

 

 

 1月28日「データプライバシーの日」であるその日、コンピュータ、プライバシー、データ保護に関する国際会議「CPDP」が開催され、アップルのティム・クックCEOのスピーチがライブ配信されたという。その後、米国のビジネス誌が彼にインタビューしたとCurrier Japonが伝える。

あなたは自分の行動をどう変えますか。どのような行動を減らし、どのような行動をやめますか

ウェブにアクセスして何かを見たり、調べ物をしたりするたびに好奇心を抑え、自分の行動をどんどん抑制するようになるのではありませんか。そのような世界は誰も望んでいないはずです。

そうした世界では、ほとんどの人がすぐにこう考えるようになるでしょう。

『これとこれを検索しようと思ったが、見ていることを他の人に知られたくない。ちょっと興味があっただけだから』。

私が心配しているのは、こうした行動の変化です。これは、すべての人が憂慮すべきことです。 (出所:Currier Japon) 

courrier.jp

 Currier Japonによれば、「人工知能(AI)と、拡大するプライバシー侵害とでは、どちらの方がテクノロジーの脅威なのか」と尋ねられたクック氏は、「どちらも悪用でき、どちらもテクノロジーによって影響が拡大することは間違いありません」と答えたという。

言えることは、どちらに対処するかを選ぶ余裕はもうないということです。私たちは「倫理」にかなったデータプライバシーとデータ収集を実現する必要があり、同様に、「倫理」にかなったAIも実現しなければなりません。 (出所:Currier Japon) 

 

 

 常にテクノロジーが先行し、その後を追うように法規制が発動する。昔も今も変わりはない。

 公害問題が発生すれば、様々な規制が実行される。環境は一時の最悪状態からは脱却しつつあるが、ゴールには到達しない。そればかりか、今では地球温暖化の問題が顕在化し、海洋はプラごみがあふれることになった。

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 基本的には規制派ではないというクック氏。それでも、「プライバシー保護規制に関しては、世界中の政府を巻き込み、願わくは世界全体で統一された基準を策定する必要がある」と考えているという。

アップルはすでにプライバシーの保護に本気で取り組んでおり、「プライバシーの4つの柱」として、データ最小化、オンデバイス処理、透明性、セキュリティに注力している。

「このすべてを、新しい規制法案を書き上げられるくらい徹底的に考えていく必要があります。おそらく、企業が自主的にこの問題に取り組むことはないでしょうから」 (出所:Currier Japon) 

 様々な企業がデータを入手することに躍起になり、そうでなければ、企業に未来はないような語られ方をする。そんな中で、DXデジタルトランスフォーメーションなどと言い出されれば、多少なりとも不安は感じる。

 

 

 政府はデジタル庁を創設して、デジタル化、DXデジタルトランスフォーメーションを推進する。

 「デジタル庁を創設していくらお金をつぎ込んでも、ITベンダーにすべて吸い取られてしまいます」と危惧を示すのは中島聡氏。東洋経済オンラインが中島聡氏にインタビューし、その言葉を紹介する。

toyokeizai.net

 

「ITベンダーの側からすれば、全面書き直しにならないようなプロジェクトの受け方をする営業担当者は優秀ではないですからね。完成したプロジェクトが何年役立つかよりも、受注した仕事を何度も書き直して、予算をとるほうが重要になっています」と、中島氏は指摘する。

デジタル庁を立ち上げるとすれば、柱となる「プリンシパル(原則)」が必要になるでしょう。

ハンコをなくすといったことは結果の1つでしかなく、デジタル庁を通じて、何をしようとしているのかという「核」が必要になります。

私は、政府のお金を1円でも使ったソフトウェアは「オープンソース」にすることを決めた法律を作るべきだと思っています。

現在の政府や地方自治体の予算は、ITゼネコンと呼ばれる、IT業界のシロアリに食われまくっているような現状です。 (出所:東洋経済オンライン) 

 

 「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」の開発費用が、運用・保守もあわせ、総額73億円の予算とのことを思い出す。

 

dsupplying.hatenablog.com

 

  コロナ渦の中で、政権が変ったことで色々な膿が噴出してきているように思う今日この頃。それはそれでいいことなのかもしれない。

 政権誕生の際に掲げた理想とは、ずいぶんかけ離れているのが現実のようだ。

  

dsupplying.hatenablog.com

 

 就任当初の記者会見では、高額料金を貪る通信キャリアについて言及、「あたり前でないこと」が「当たり前」になっているとし、「何が当たり前なのか、そこをしっかりと見極めた上で、大胆に実行する」、「これが私の信念です」という話をしていた。

 「当たり前」とは何であろうか。

 「善行」が当たり前になる日は来るのだろうか。