Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

深刻な気候変動、オリーブオイル、カカオ豆高騰、長引く円安の悪影響も

 気候変動の影響が深刻化しているのでしょうか。世界各地で起こる異常気象が私たちの生活に影響を及ぼすようになってきそうです。

 ヨーロッパでは一昨年から去年に起きた記録的な干ばつなどで、スペイン産やイタリア産のオリーブの実が2年続いて不作になっているといいます。この影響で、オリーブオイルがことし5月から値上げとなるそうです。

オリーブオイル値上がり「過去に例を見ないほど」ことし5月から一斉に値上げへ 欧州で不作続く | NHK | 物価高騰

世界的な在庫不足の状態となっており、降雨不足の影響でオリーブオイル生産量が回復する見通しがつかないという。(出所:ロイター)

 日清オイリオグループは、5月納入分から家庭用で23 - 64%、業務用で60 - 80%値上げするそうです。

 

 

チョコ原料カカオも

 アフリカでは、チョコレート原料のカカオ豆の主産地であるコートジボワールやガーナが天候不順に見舞われ、深刻な不作になっているといいます。この影響でカカオ豆の先物価格の高騰に歯止めがかからない状態だといいます。

カカオ豆、初の1万ドル台 ハーシーはチョコ値上げ―米:時事ドットコム

 影響は世界的に広がり、日本でもチョコレート製品の価格改定の動きが出るなどしているといいます。

 生産量は前年度比11%減と大きく落ち込む見通しで、「来年も需要が生産を上回る」との観測もあり、チョコの一層の値上げは避けられそうにないそうです。

パナマ運河で水不足、通行制限

  中米パナマでも記録的な干ばつに襲われ深刻な水不足で、パナマ運河の通行に支障がでるほどの事態になっているそうです。水不足に加え、高温が続きで水源となる湖での蒸散量も増加、水位低下に拍車をかけているといいます。

アングル:水不足で通航制限のパナマ運河、飲料水供給との均衡も課題 | ロイター

 スエズ運河もイエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海での攻撃の影響を受けています。船舶各社はルート変更を迫られ、世界の海運貿易は再編の必要に迫られているといいます。この影響で、何千隻もの船舶がこれまでより長いルートを航行しなければならず、輸送コストの増加に加え、気候変動を悪化させる二酸化炭素の排出量が増える事態になりかねないといいます。 

 

コロナ禍明けの世界的インフレや戦争の影響で「輸入価格ショック」で物価が高騰しましたが、今度は気候変動の影響が重くのしかかることになるのでしょうか。それに加え、円安も長引いています。物価高騰が続けば、せっかくの賃上げもその効果が薄れ、実質賃金の改善が進まないことになりそうです。

 一方、政府自民党は裏金事件に翻弄され続け、デフレからの脱却はまだ見通せないといいます。それなのに防衛費増額、子ども対策で費用負担を求められるばかりで、歳出改革は一向に進みそうになく、画期的に税収増となりそうな景気浮揚策もなそうです。そればかり相変わらずの放漫財政で、費用対効果を見ないで湯水のようように散財を続ているようです。

国産旅客機、官民連携で再挑戦 35年以降事業化へ工程表―経産省:時事ドットコム

 三菱重工業が国産小型ジェット旅客機「スペースジェット」の開発に失敗しましたが、これを教訓にし、再び今後10年で官民で4兆円規模の投資を行い、国産旅客機の開発に挑戦するそうです。次期戦闘機、ロケット、脱炭素用発電機ばかりでなく、また三菱重工です。大丈夫なのでしょうか。

 政策に行き詰まっているように感じます。そろそろこういう政治を終わらせるときなのでしょう。

 

「参考文書」

日清オイリオ、オリーブオイルを値上げ 欧州の記録的不作で最大80% | ロイター

国産旅客機開発に米欧支配の壁 三菱重工は1兆円費やす - 日本経済新聞

 

 

反トラスト法で提訴されたアップル、巨大テックの功罪、遅れたままの日本

 欧米の規制当局がアップルなど巨大テクノロジー企業に厳しい目を向けているそうです。先日も米司法省が反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでアップルを提訴しています。

アップル、時価総額1130億ドル失う-米欧で訴訟や全面調査の動き - Bloomberg

  巨大テックが長年にわたり、支配的地位を利用して競合企業の動きを阻害し、利益を拡大してきたといいます。一方で、アップル製品の人気は世界のどこにあっても高く、日常生活の一部としての地位を確立し、それによってテックが有することに力に規制当局が一段と警戒心を強めているといいます。そして、今、国家と巨大テックの全面対決が始まろうとしているようだといいます。

 

 

 インターネットとコンピューティングの発展とともに成長、巨大化したテクノロジー企業によってもたらされた様々な新しいサービスによって、利便性は驚くほどに向上しました。しかし一方で、富の独占などの弊害も確認されています。また、急成長する生成AIにおいては著作権法の侵害などの問題も取り沙汰されています。

 ディープフェイクやデマがネット上に拡散され、クリックさせるための虚偽・誇大な表現「クリックベイト」も問題となっています。こうしたこともテック企業のビジネスモデルの弊害との指摘もあります。

AIが生み出す富をスター経営者に独占させない方法:日経ビジネス電子版

さらに大手テック企業は、検索機能やメールなどの「無料」サービスを通してユーザーから個人データや著作権保護対象の素材を採取し、これらを使ってAIモデルを訓練することで、莫大な利益とそれに伴う市場支配力を得ている。同業他社によるチェック機能が欠如する中、こうしたサービスの質は徐々に低下している。(出所:日経ビジネス

 生成AIなどの活用によって、これから始まるであろうシステミックな変革には個人の努力以上のものが必要になるといいます。

 しかし、圧倒的な力を持つ巨大テック企業が市場を独占し続けてしまえば、利益もまた独占され続けることになってしまいます。そうではなく、その利益が適正に労働者にも消費者にもフェアに公平に分配されるよう、政府が介入を進めるべきときが来ているといいます。欧米の政治家らが、巨大テック企業が労働市場に与える影響の検証に集中しているのは正しいことだが、こうした取り組みだけでは不十分ではないといいます。

 

 

 市場経済の繁栄には、政府と民間セクターによる市場の共同運営が不可欠になっているといいます。しかし、未だに巨大テック企業は、税負担を最小限にするためにさまざまな法の抜け穴を利用し、見方次第なのかもしれませんがサービスの質を悪化させ、それに加え著作権法違反の疑いも生じさせています。ビジネス優先で本来あるはずの暗黙の合意を弱体化させてきているとの指摘もあります。今こそ、変革の可能性を秘めた技術をすべての人に恩恵をもたらすために、効果的な制度的構造を確立すべきといいます。対決するのではなく、介入し規制が必要になっているのでしょう。

分断される世界

今、僕たちは情報過多の時代に生きています。インターネットの発達により、容易に世界中の情報に触れることも、発信もできるようになりました。しかし、その一方で、特にSNSの普及により、自分の興味や意見と近い人々だけをフォローすることで、情報が偏ってしまう、いわゆる「エコーチェンバー」「フィルターバブル」などはすでに広く認識されている問題ともなっています。

エコーチェンバーとは、自分と似た考えを持つ人々だけで固まることで、まるで洞窟の中で自分の声が反響するように、同じような意見ばかりが響き渡る状態を表す言葉です。SNSのタイムラインには、自分の興味関心に沿った情報ばかりが流れてくるため、知らず知らずのうちに自分の世界が狭くなってしまう。異なる意見や考え方に触れる機会が減り、多様性が失われていく。そんな中で、人と人との断絶が生まれ、社会の分断が進んでいるのではないでしょうか。

さらに、AI技術の発達によるレコメンデーションシステムの浸透も、この問題に拍車をかけています。AmazonNetflixなどのサービスは、ユーザーの行動履歴から興味関心を予測し、似たような商品やコンテンツを次々と提案してきます。確かに便利ではあるのですが、気づかないうちに自分の趣味嗜好に閉じこもってしまう危険性もはらんでいるのです。(引用:「本棚が開くドア - ブクログの原点と20年家入一真

 

 

 他方、プライバシーやセキュリティなどについては、テック企業に頼っている現実もありそうです。そこに国家がどこまで介入し、規制していくのかと問題があるのでしょう。それらをひっくるめて独禁法との関係も明確にしていくことが求められているということでもあるのでしょう。

 周回遅れの日本はこの問題にどう対処していくのでしょうか。今の政治では到底対応できそうにありませんし、かと言って、それに対応できるテック企業も存在しないように思います。まだまだデジタル後進国なのでしょうか。ある意味規制が強化されることによって、次の技術革新イノベーションや進歩がありそうな気がします。

 

「参考文書」

国家vs巨大テック、全面対決へ Apple独禁法違反の疑い - 日本経済新聞

米司法当局、独禁法違反でアップル提訴 スマホ巡り、巨大ITに逆風:時事ドットコム

本棚が開くドア - ブクログの原点と20年|家入 一真

 

アマゾンのふるさと納税参入、問われる既存サイトの存在意義

 アマゾンが、ふるさと納税の仲介事業に参入する方向で準備を進めているそうです。「アマゾンふるさと」の名称で仲介サイトを立ち上げ、仲介手数料を一定期間引き下げるプランを用意しているといいます。

アマゾンがふるさと納税仲介事業 25年3月にも参入へ | 共同通信

 初期手数料250万円、仲介手数料は約2年間3.8%の好条件。自治体にとってはアマゾンの高い集客力や独自の配送網が魅力で、寄付する側も利便性が増すといいます。サービスや手数料を巡って他のふるさと納税サイトとの競争が激化しそうといいます。

 

 

 アマゾンの参入について、賛否が分かれるようです。「日本の税金に関わることを外資企業にやらせていいのか」、自治体に納められる税金の一部が、外資系企業に手数料として流れることを懸念する声もあるそうです。

「外資にやらせていいのか」ふるさと納税、アマゾン参入に懸念の声 | Business Insider Japan

「運送網を武器に、従来よりも低い手数料を設定するとなれば、既存のポータルサイトの手数料に関してはこれまで以上に厳しい目が向けられる可能性がある」と、ポータルサイト関係者は警戒し、アマゾン参入で「ふるさと納税という制度が、ECでほしい商品を選ぶような傾向がさらに強まってしまうのではないか」と話すふるさと納税の関係者はいるそうです。

  一方、既存のポータルサイト側は10%程度を手数料として寄付先の自治体から徴収してているといいます。単純比較すれば、多額の手数料を得ていることになります。

 それを原資にして、広告合戦したりしていないでしょうか。顧客争奪戦なのかもしれませんが、どうなのでしょうか。原資が自治体が納める手数料=税金であるなら、要らぬところに過剰に使っているようにも感じます。

 これまでもふるさと納税を巡っては、返礼品競争が批判されてきました。ポータルサイトが、お得な返礼品の自治体をアピールするような掲載をしたりして助長してきた面があるともいわれます。アマゾン参入でそんな風潮が見直される契機になればいいのかもしれません。

 

 

 ECが日本に定着したのもアマゾンの存在があってのことではないでしょうか。「置き配」や「独自物流網構築」、こうしたこともアマゾンが先陣を切り、道を拓いてくれたおかげなのかもしれません。また「置き配」については、アマゾンがロビー活動を展開してくれたおかげで社会に定着するようになったそうです。

「置き配」を生んだアマゾン ロビイスト─その極秘任務、政界との交接点 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

渡辺氏は物流政策上、省エネルギー政策上の観点から、宅配便の再配達率削減は政府にとっても重要課題だったことを活用して国土交通省経済産業省を味方につけ、「置き配」の法令規定を提案、実現したのだ。(出所:Forbes)

「置き配」の他にも、「アンチ巨大IT」の逆風下、アマゾンがロビー活動で政界に働きかけることによって、岩盤規制を打ち砕いたりしてきたといいます。

既存の国内ポータルサイトは、アマゾンに手数料などの競争面で優位に立つのは難しい面があり、よりその存在意義が問われることになる。既存サービスは『人口減による財政難に苦しむ地方の自治体を救う』という制度本来の目的に沿ったサービス訴求できるかどうか、その点も重要になるのではないか」(出所:Business Insider Japan)

 国の制度に乗っかり利用して、金儲けするためのビジネスを考えるのではなく、その制度の趣旨に合致するよう既存のポータルサイトの努力が欠かせないのでしょう。時にはアマゾンとタッグを組み、国を上手に動かし、使いこなせるようにしていくのもよいのかもしれません。いつまでも競争原理ばかりで語っているようであれば、ふるさと納税の趣旨からさらに外れていくように思えてなりません。

 

「参考文書」

ふるさと納税大手、アマゾン参入に“異例”対応。専門家「既存サービスの存在意義が問われる」 | Business Insider Japan

 

満額回答相次ぐ今年の春闘、持続的な賃上げの今後、株価上昇の行方

 春闘集中回答日だった13日、大手企業を中心に満額回答が相次ぎ、賃上げムードいっぱいだったようです。

 トヨタ自動車労働組合に満額回答し、また労使の主要テーマであった生産性の過度な追求をやめる現場の「余力作り」施策も打ち出したといいます。

トヨタ、「余力作り」へ大幅賃上げ 生産性追求も見直し - 日本経済新聞

 グループ内で相次いだ不正に対する対策でもあるようです。報酬と働く環境の両面で従業員に報い、製造業で課題となっている人手不足や採用難などにも対応するといいます。

 

 

 日本製鉄は労働組合要求の月3万円を上回る月3万5000円の賃上げを実施するそうです。定期昇給などを含めた賃上げ率は14.2%になるといいます。

春闘 日本製鉄 組合の要求額上回る月額3万5000円の賃上げ回答 | NHK | 春闘

 今回の賃上げで、日本製鉄の処遇水準は国内の製造業のトップクラスになりそうだといいます。「従業員には一流の水準にふさわしい一流の実力をつけて、生産性向上などに最大限発揮することを強く望んでいる」と経営幹部は述べたそうです。

 長年続けた構造改革が実を結び、その成果でもあるのでしょうか。それに報い、もう一段高みを目指して欲しいということのようにも受け取れます。

 橋下社長の強引さが目立ち、どうなのかと疑い目で見ていましたが、トップクラスの賃上げができるまでに体力が回復し、きちんと従業員に報いることができるようになったのであれば、その改革は成功だったといっていいのでしょう。

 

 

 日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新しました。期待先行の株高といわれ、投資家は企業の改革に期待を寄せているようです。東京証券取引所も23年3月に上場企業にPBR(株価純資産倍率)1倍超への改善を要請したこともその背景にあるようです。

 1倍超の企業は、不断の事業改革や投資家への訴求が奏功し、株価を上げ、1倍未満の企業は、市場変化への対応が遅く構造改革が先送りとなっている傾向があるといいます。

東証のPBR改善要請から1年 1倍割れと突破で経営者の評価二分:日経ビジネス電子版

 これからはPBR1倍が、経営者の新たな評価軸となっていくこともあるのかもしれないといいます。国内運用大手の三菱UFJアセットマネジメントは、ROE自己資本利益率)が過去3期連続で8%を下回り、PBRが1倍未満の企業に対し、株主総会で社長などの代表取締役の再任に反対するなどして、株価を意識した経営を要請するといいます。こうした動きがさらに広がれば、上場企業の経営改革が一段と進む可能性があるといいます。

 また、構造改革に伴う雇用の流動化し始めているそうです。持続的な賃上げが求められる中、企業は事業収益に合わせて雇用人員を適正化する動きがみられ、資生堂など大手企業が大規模な早期退職に動いているといいます。

 

 

 業種における利益トップ企業が入れ替わっているそうです。2024年3月期の予想純利益を5年前と比べると、電機や食品など半数の16業種で首位が交代する見通しといいます。

利益トップ企業半数交代 32業種集計、値上げ・改革効果 - 日本経済新聞

インフレなど経営環境が変わるなか、値上げを浸透させた企業や事業構造改革を進めた企業が順位を上げている。(出所:日本経済新聞

 不断の構造改革があって企業経営の健全性が保たれ、それによって経済全体も健全に、そして持続的に成長していくのではないでしょうか。今あるこの動きを継続できるようなっていけば、持続的な賃上げも実現でき、また株価もまた持続的に上昇していくことになっていきそうな気がします。こうして社会全体にも余裕が生まれていくようになれば、新しいことも萌芽することもあるのかもしれません。

 

「参考文書」

春闘満額回答相次ぐ、トヨタは最高水準 全体の賃上げ率4%超えか | ロイター

日本製鉄、賃上げ率14% 要求上回る3万5000円で回答 - 日本経済新聞

「全員が勘違いしていた」 日本製鉄・橋本社長が覚えた違和感:日経ビジネス電子版

「いずれ我々を苦しめる」 日本製鉄の次期社長が恐れていた綻び:日経ビジネス電子版

運用大手2社、PBR1倍割れ企業の「社長」再任に反対 - 日本経済新聞

 

遅れそうなEVシフト、アップルEV撤退、遠退くサステナブルな未来

 米アップルがEV 電気自動車の開発を中止するそうです。「究極のモバイルデバイス」を販売するという夢をあきらめることになるといいます。

アップル、EV開発計画を白紙に-10年がかりのプロジェクト断念 - Bloomberg

 日の目を見ないかもしれないプロジェクトに巨額の投資を続けることを憂慮し、利幅確保に懸念があっての決断のようです。

 鮮明となったEVシフトの失速の影響もあったのでしょうか。テスラの販売台数に翳りが見え、GM、フォードも生産台数目標を引き下げ、利益予想の下方修正を余儀なくされているといいます。

 

 

 バッテリーコストが思いのほかかさみ、その上、サプライチェーンの維持にも様々な懸念もありそうです。

 一方、競合としてBYDなど中国メーカが躍進し台頭してきています。その価格に打ち勝ち魅力的な商品を提供し、長期利益を確保するというストーリーを描きにくくなったということでしょうか。

今後のEVシフト

 EVシフトの行方が気になります。米国の高金利政策が足枷とも言われますが、それが転じれば消費者意識に変化がおこり、再びEVシフトが加速していくことはあるのでしょうか。

テスラ、EV販売世界一から陥落か-中国BYD台頭で勢力図に変化 - Bloomberg

 しかし、それ以上に競争環境が悪化していそう感じもします。中国のEVメーカ BYD 比亜迪がその圧倒的な価格優位性で、テスラを追い抜き、世界一の座に上り詰めました。

重要なのはもはやメーカーの規模やレガシーではなく、イノベーション(技術革新)と進化のスピードだ。BYDはずっと前から、誰もが可能と考えた以上のペースでこれを実現できるよう準備を始めており、今や業界の他の企業は急いで追い付かざるを得ない。(出所:ブルームバーグ

 BYDの急伸長は、世界の自動車業界における中国の影響力拡大のさらなる裏付けとなるといいます。しかし、中国国内で大きな成功を収めるBYDが、そのまま海外でも大成功を収めるのは容易ではないともいいます。欧米では中国製EVに高関税を課す動きがあるようです。

 

 

マグニフィセント・セブン

 S&P500の上昇をけん引している大手ハイテク7社「マグニフィセント・セブン」。テスラはそのオリジナルメンバーですが、株価の下落トレンドで、M7の資格があるのかという疑問の声が出ているそうです。 

テスラに「マグニフィセント7」の資格あるか、市場で強まる疑念 - Bloomberg

 AIブームでエヌビディアが爆騰し、それに比すればテスラの勢いが貧弱に見えます。完全自動運転の実現が間近に迫っているというような朗報があれば、マスク氏がいうテスラもAI関連銘柄ということも説得力が増しそうですが、アップルのEV撤退話からして、どうにも疑問符をつけざるを得ない状況になってきているとも思えます。

 それでもテスラ株の強気派は、大規模なEV専業メーカーで収益力もあるテスラの唯一無二な立ち位置が、マグニフィセント・セブンに入る十分な理由だと主張し、需要は短期的には落ち込むが、EVがいずれ自動車業界を支配するようになると専門家は予想しているといいます。果たしてその思惑通りにEVシフトは進むのでしょうか。

「未来」を先取りした思えたテスラの「マスタープラン」も、未来でしか実現しないことということなのかもしれません。そのためには乗り越えなければならない壁、解決しなければならない問題が多々あるということなのでしょう。地政学リスク然り、その要因である政治も然り。これらの解決があって「未来」がやってくるということではないでしょうか。

 

 

投資家心理

 肥満症治療の米イーライ・リリーの株価が上昇しているそうです。一時的にテスラの時価総額を上回ったといいます。

投資家はEVから「やせ薬」に心移り-時価総額でリリーがテスラ抜く - Bloomberg

リリーが時価総額でテスラを最近抜いた企業の一つであることは、市場の投資意欲の変化を示している。かつてのように投資家がEVの大量普及を期待してEVメーカー・サプライヤー銘柄を買うことはなくなった。代わりに減量関連銘柄が人気を集めている。(出所:ブルームバーグ

 肥満症も社会課題であるのは間違いなのでしょうから、そこに目が向くのは自然な流れなのでしょう。ましてEVシフトより、もしかして緊急性があるのかもしれません。しかし、それにしても投資家は薄情なものだと感じますが、そういうものなのでしょう。

 

 


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「参考文書」

テスラ買収も浮上、「アップルEV開発」コケた背景 10年間でスター幹部が次々と率いたが… | The New York Times | 東洋経済オンライン

アップルカー撤退 Appleも屈したEVの壁、中国利する南風 - 日本経済新聞

EVがこれほど期待外れになった経緯とは - CNN.co.jp

アングル:中国当局がEVの過剰生産懸念、テスラの上海工場増強に暗雲 | ロイター

中国でプラグインハイブリッド車人気、EV減速-テスラなどに課題 - Bloomberg

米超大型株「M7」の勢いに陰り、テスラ株は年初から20%下落 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 

 

熱狂のAIブーム、牽引するエヌビディア、AI半導体競争の幕開け

「AI 人工知能」が大ブームとなり、米半導体大手のエヌビディアが絶好調のようです。これを端にして日米欧の株価が爆上がりする熱狂ぶりです。

コラム:終わらないエヌビディア成長神話、企業価値さらに倍増も | ロイター

 AI関連市場の75%を握り、エヌビディアはこのブームに乗じる上で最も有利な立場にあるといいます。

エヌビディアの成長ストーリーは本物と言える。同社は売上高の11%を研究開発に振り向けて盤石な足場を維持しようとしているし、76%という粗利益率からは価格決定力の相当な強さがうかがえる。さらに配当さえ支払っており、創業者のジェンセン・フアン氏が慎重に資本を配分している様子が分かる。これらの優位性は非常に大きい。(出所:ロイター)

 

 

 こうしたブームにあやかろうと競争相手は必死に追いすがろうとするだろう。

 ソフトバンクグループの孫氏もその一人のようです。エヌビディア同様AIに不可欠な半導体を供給しようと検討を始めているそうです。

孫氏がAI半導体ベンチャー設立目指す、1000億ドル規模-関係者 - Bloomberg

 詳細はまだ明らかにされていませんが、その投資額は、最大1000億ドル 約15兆円で、マイクロソフトによるオープンAIへの投資額100億ドル余りを優にしのぐ規模といいます。

 グーグルにメタ、アマゾンなど米IT企業もAI半導体の自社開発しようとしています。マイクロソフトも同様に自社開発を進め、その製造には米半導体大手インテルが協力するようです。

マイクロソフト、自社設計半導体の生産でインテルの技術使用へ - Bloomberg

 こんな競争環境で、ソフトバンクGに勝ち筋はあるのでしょうか。一般的には先頭を走らなければ、この種の業界で生き残るは難しいといわれます。傘下のアームをうまく活用し、他社をあっと驚かせるようなイノベーションの仕掛けでもあるのでしょうか。もっと早くハードウェアの重要性に気づき、エヌビディアのようなAIアクセラレータ技術を独自に磨きかければよかったのかもしれません。今回の「イザナギ」プロジェクトもムダな骨折りにならなければよいのですが。

 

 

「生成AIでは、利益を生むよう開発を急ぐことと、人類を脅かすような開発を抑制することのバランスが問われている」と、米セールスフォース マーク・ベニオフCEOが訴えているそうです。

AI、暴走前にまずルールを 物言うCEOの訴え - 日本経済新聞

 生成AIなどAIの利用価値は高く、仕事も大きく変化していくことになりそうです。仕事の効率化が一段進み、生産性向上に役立ち、その結果、社会に大きな影響となっていくのでしょうか。現実、米国では雇用状況も変わりつつあるともいいます。

 こうしたことでかつて夢見た「週15時間も働けば食っていけるような社会」が実現すればいいのかもしれません。しかし、人は暇にに耐えきれず、余計なことをしでかすのではないかとの危惧もあるそうです。そうして、どうでもいい仕事を生み出すようになれば、ドットコムバブルの再来となりかねないのかもしれません。それもまた人ということなのかもしれませんが。

 

「参考文書」

エヌビディア売上高見通し、3.6兆円前後と予想上回る-株価11%上昇 - Bloomberg

メタ、AI半導体を独自開発 Googleなどに追随 - 日本経済新聞

ルネサス、AI半導体の処理性能16倍に 消費電力も削減 - 日本経済新聞

「生産性が上がっても、人間はなぜか暇にならない」 ベストセラー『読書大全』著者が読み解く、現代社会の課題 - ログミーBiz

 

かさむ平和維持のコスト、防衛力強化、絶好調な三菱重工

 もう間もなくロシアがウクライナに軍事侵攻から2年経ちました。しかし戦況は膠着し、なかなか出口を見いだせないままです。互いに引くに引けない状況になっていそうです。一方で、支援疲れとの言葉も聞かれるようになっています。

ウクライナ支援疲れの代償 断念なら「天文学的負担」 - 日本経済新聞

 これまでの欧米の支援額は26兆円を超え、平和を維持するコストの重みを世界に印象づけているといいます。侵攻されたウクライナを支援することは道義に適うのかもしれませんが、横暴なプーチンに振り回され、遠い異国での戦線を維持するために、負担は重くなり、自国内にも犠牲が強いられるようになれば、支援継続に逆風が吹くのもまた自然な成り行きということなのでしょう。

 11月の米国大統領選、もしもウクライナ支援に後ろ向きなトランプ大統領が当選するようことになれば、どんな事態へと進むことになるのでしょうか。

 

 

 政府が決定した防衛力の抜本的強化との方針に関する有識者会議が初めて開かれたといいます。この会議において、座長を務める榊原経団連名誉会長は5年間で43兆円を投じる防衛費について、円安や物価高騰を踏まえた増額も視野に入れた議論を提起したそうです。

防衛費43兆円の増額、官民の技術開発を検討 有識者会合 - 日本経済新聞

「43兆円の枠のなかで求められる防衛力・装備の強化を本当にできるのか、現実的な視点で見直す必要がある」と述べ、「見直しをタブーとせず、より実効的な水準や国民負担のあり方、普遍的な財源を改めて議論すべきだ」と訴えたといいます。

 また、榊原氏は防衛産業の育成を通じた「安全保障と経済成長の好循環」に触れ、「官民一体で技術開発を強化し、民需に積極的にスピンオフして経済成長につなげることが必要だ」と強調したそうです。

 ドローンが戦線が活躍するようになっています。今後はますますロボットやAIの活用も進むともいわれています。過去もそうであったように、最新のテクノロジーによって戦い方が大きく変わっていくのかもしれません。こうしたトレンドを取り込んでいくことは必要なことである一方で、「日本を守る」という言葉が大義であるかのよう独り歩きして、野放図な軍拡とならないようにしていかなければならないのでしょう。そのためには高度な戦略・戦術により効率的に装備し、最小化する創意工夫を忘れてはならないはずです。またそれと同等、それ以上に外交を駆使していくことも求められるはずです。理想はいつの時代でも「戦わずにして勝つ」という孫子の教えなのでしょうから。

「兵は国の大事。死生の地、存亡の道なり、察せずるを可からず」、まことに兵は大事であるが、生命の喪失はどうしようもない。国の存亡にかかわる。戦争をするかどうかはよくよく考えなければならない。まずは戦わずして勝つ方法を考えなければならない。目的は勝つことで、戦うことは手段にすぎない。勝つことさえできれば、何も損害を出してまで戦う必要はない。(参考:「孫子の兵法」大橋武夫

 この有識者会議で28年度以降の「ポスト43兆円」の防衛政策についても検討する考えを示したそうです。どうなのでしょうか。規模ありきになっているような気もします。

 

 

絶好調、三菱重工

 三菱重工の業績が絶好調のようです。通期の売上高・事業利益・純利益でも最高を更新する見通しといいます。国家プロジェクトである新型主力ロケット「H3」の打ち上げに成功、宇宙事業の拡大にも弾みがついているといいます。

【株価2倍】三菱重工を浮上させた意外すぎる事業

 昨年は、国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退など悪いニュースが続き株価が低迷していましたが、その後の防衛予算の増額によって成長期待が高まり、この1年で株価は2.2倍に跳ね上がったといいます。

 稼ぎ頭は利益の4割を占めるエナジー部門で、火力発電向けの高効率ガスタービンが売れているそうです。国の脱炭素政策と相まっての事業拡大ということでしょうか。

 これだけ国と一体化していれば、株価が伸びるのも当然なのかもしれません。不公平感を感じなくもないですが、何かワケあってのことなのでしょうか。

 東京株式市場では日経平均株価がバブル期に記録した史上最高値を更新し、3万9千円台をつけたといいます。業界は大騒ぎになっているようです。日本経済が健全化していけばよいのでしょうが、さてさてどうなることやらです。