Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

かさむ平和維持のコスト、防衛力強化、絶好調な三菱重工

 もう間もなくロシアがウクライナに軍事侵攻から2年経ちました。しかし戦況は膠着し、なかなか出口を見いだせないままです。互いに引くに引けない状況になっていそうです。一方で、支援疲れとの言葉も聞かれるようになっています。

ウクライナ支援疲れの代償 断念なら「天文学的負担」 - 日本経済新聞

 これまでの欧米の支援額は26兆円を超え、平和を維持するコストの重みを世界に印象づけているといいます。侵攻されたウクライナを支援することは道義に適うのかもしれませんが、横暴なプーチンに振り回され、遠い異国での戦線を維持するために、負担は重くなり、自国内にも犠牲が強いられるようになれば、支援継続に逆風が吹くのもまた自然な成り行きということなのでしょう。

 11月の米国大統領選、もしもウクライナ支援に後ろ向きなトランプ大統領が当選するようことになれば、どんな事態へと進むことになるのでしょうか。

 

 

 政府が決定した防衛力の抜本的強化との方針に関する有識者会議が初めて開かれたといいます。この会議において、座長を務める榊原経団連名誉会長は5年間で43兆円を投じる防衛費について、円安や物価高騰を踏まえた増額も視野に入れた議論を提起したそうです。

防衛費43兆円の増額、官民の技術開発を検討 有識者会合 - 日本経済新聞

「43兆円の枠のなかで求められる防衛力・装備の強化を本当にできるのか、現実的な視点で見直す必要がある」と述べ、「見直しをタブーとせず、より実効的な水準や国民負担のあり方、普遍的な財源を改めて議論すべきだ」と訴えたといいます。

 また、榊原氏は防衛産業の育成を通じた「安全保障と経済成長の好循環」に触れ、「官民一体で技術開発を強化し、民需に積極的にスピンオフして経済成長につなげることが必要だ」と強調したそうです。

 ドローンが戦線が活躍するようになっています。今後はますますロボットやAIの活用も進むともいわれています。過去もそうであったように、最新のテクノロジーによって戦い方が大きく変わっていくのかもしれません。こうしたトレンドを取り込んでいくことは必要なことである一方で、「日本を守る」という言葉が大義であるかのよう独り歩きして、野放図な軍拡とならないようにしていかなければならないのでしょう。そのためには高度な戦略・戦術により効率的に装備し、最小化する創意工夫を忘れてはならないはずです。またそれと同等、それ以上に外交を駆使していくことも求められるはずです。理想はいつの時代でも「戦わずにして勝つ」という孫子の教えなのでしょうから。

「兵は国の大事。死生の地、存亡の道なり、察せずるを可からず」、まことに兵は大事であるが、生命の喪失はどうしようもない。国の存亡にかかわる。戦争をするかどうかはよくよく考えなければならない。まずは戦わずして勝つ方法を考えなければならない。目的は勝つことで、戦うことは手段にすぎない。勝つことさえできれば、何も損害を出してまで戦う必要はない。(参考:「孫子の兵法」大橋武夫

 この有識者会議で28年度以降の「ポスト43兆円」の防衛政策についても検討する考えを示したそうです。どうなのでしょうか。規模ありきになっているような気もします。

 

 

絶好調、三菱重工

 三菱重工の業績が絶好調のようです。通期の売上高・事業利益・純利益でも最高を更新する見通しといいます。国家プロジェクトである新型主力ロケット「H3」の打ち上げに成功、宇宙事業の拡大にも弾みがついているといいます。

【株価2倍】三菱重工を浮上させた意外すぎる事業

 昨年は、国産初の小型ジェット旅客機「スペースジェット」からの撤退など悪いニュースが続き株価が低迷していましたが、その後の防衛予算の増額によって成長期待が高まり、この1年で株価は2.2倍に跳ね上がったといいます。

 稼ぎ頭は利益の4割を占めるエナジー部門で、火力発電向けの高効率ガスタービンが売れているそうです。国の脱炭素政策と相まっての事業拡大ということでしょうか。

 これだけ国と一体化していれば、株価が伸びるのも当然なのかもしれません。不公平感を感じなくもないですが、何かワケあってのことなのでしょうか。

 東京株式市場では日経平均株価がバブル期に記録した史上最高値を更新し、3万9千円台をつけたといいます。業界は大騒ぎになっているようです。日本経済が健全化していけばよいのでしょうが、さてさてどうなることやらです。