困難な社会課題も様々な利害対立はあるが世界で協力しさえすれば、乗り越えていくことができるのではないかと、昨年のCOP26における気候変動対策で垣間見えることができた。もしかしたら世界は良い方向に進むのではないかと思ったものだが、そんな雰囲気を一個人の野心が打ち壊し、足下では様々な危機が顕在化していくのではないかと心配される。
小麦など穀類の一大供給地があったウクライナが戦争に巻き込まれたことで、食糧危機が加速するのではないかという危惧があるという。
他の紛争地で食べられてきたウクライナ小麦 世界の飢餓、悪化危惧 | 毎日新聞
毎日によれば、WFP世界食糧計画は、世界で飢餓に苦しむ約1億人に食料支援を実施し、小麦の半分以上をウクライナからの調達に頼っているという。しかし、この戦争で状況が変わり、逆に他国で調達された食料が、ウクライナに届けられているという。
ウクライナ産小麦は中東やアフリカに運ばれているという。しかし、この戦争で南部の港湾都市オデッサや黒海が封鎖されると、輸出の経路が遮断される可能性があるそうだ。侵攻の影響で長引けば、今年春の作付面積が大幅に減る可能性もあるという。
食糧危機という現実と戦争
昨年10月の世界食料デーを前に、WEPは国際社会が緊急の行動をとらなければ、気候危機に起因する飢餓が急増すると警告していた。
現実に既に、マダガスカル、ホンジュラス、バングラデシュなど地球上の広い範囲で気候危機の影響により、食料危機を助長されているという。それが何百万人もの人びとにとっての日常的な現実となっているという。
気候危機による未曾有の飢餓:世界食料デーに国連WFPが緊急の行動を要請|国連WFPのプレスリリース
紛争の影響を受けた地域で起こる異常気象は、家族が利用できるわずかな資源を破壊し、人道支援をコミュニティに届けるのを妨げることさえあるとWEPは指摘し、実際、アフガニスタンでは、紛争や経済的苦難と結びついた深刻な干ばつにより、人口の3分の1が飢餓に苦しんでいるという。
これまでも充分でなかった食糧危機への対応が、その枠組みを含め、この戦争によって壊されては、被害を拡大させ、人々を絶望へと誘ってしまう。
自国を優先し、一時的に小麦、砂糖の輸出を止めるロシア
世界最大の小麦の輸出国でもあるロシアが、ベラルーシやカザフスタンなどの近隣諸国への小麦など穀物の輸出を一時的に制限することを決めたという。国内の食糧自給に万全を期すのが狙いという。
ロシア、小麦輸出を制限 ベラルーシなど近隣向け: 日本経済新聞
ロシアの輸出制限は、旧ソ連諸国からなるユーラシア経済連合(EAEU)の加盟国が対象で、アルメニアとキルギスも含まれるという。
ただ、既に許可を得ている業者による輸出は、輸出枠の範囲内で認められるという。ロシアの小麦は、主にエジプトやトルコに輸出されているという。
また、ロシアのアブラムチェンコ副首相は、国内で食料が不足するリスクはないとし、消費者に買いだめに走らないよう呼び掛けているという。
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戦争とは何とムダなことなのだろうか。もしプーチン大統領が戦争を仕掛けなければ、迷惑を被ることもなく、支援、協力が進んでいたのかもしれない。平和な世界をとり戻していかなければならない。
「参考文書」