Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

解消されていない政治不信、見直されるGX推進戦略、エネルギー基本計画

 これだけ世界各地で異常気象が頻発しても、気候変動対策で国際社会が一致することが難しいのでしょうか。

世界の熱波、今月50億人に影響 気候変動で発生確率3倍―米研究機関:時事ドットコム

 さらに今年は選挙イヤーでその影響も受けることが想定されます。欧州議会選挙では右派勢力が伸長し、環境会派が大きく議席を減らしました。11月には米国で大統領選挙となります。その結果次第では米国の温暖化対策への影響は免れないといわれます。欧米での環境重視の結束が揺らいでいるといいます。

 

 

 地球温暖化抑止のために、世界全体でカーボンニュートラルを目指していくはずなのに、今ではこれが激しい貿易戦争の引き金になってしまったようです。各国が手段を選ばず競争を繰り広げるようになり、日本もその渦中に引きずり込まれているようです。

 日本政府は「GX グリーントランスフォーメーション推進戦略」を見直すそうです。AIが急速に普及し、想定よりも電力需要が増加するためだといいます。

政府が恐れる「デジタル敗戦」 脱炭素電源の不足に懸念 - 日本経済新聞

脱炭素電源の制約とそれに起因する『デジタル敗戦』は、産業基盤を根こそぎ毀損する危険性をはらんでいる。(出所:日本経済新聞

 低廉で安定的なエネルギー供給を産業界は求めます。それが経済の基盤だからなのでしょう。そして、原発再稼働を当然のように求めます。

原発

 原子力規制委員会青森県六ヶ所村に再処理工場の耐震性などを確認するため現地調査を行ったそうです。

 この再処理工場は1993年から建設をはじめ、いまだに完成していません。技術的なトラブルや審査書類の不備などからこれまで26回にわたり延期されてきたといいます。

31年たっても“建設中″ 六ヶ所村の「核燃料再処理工場」原子力規制委が耐震性など現地調査|日テレNEWS NNN

 核燃料再処理工場、日本の原子力政策、核燃料サイクルの要といいます。この施設が完成すれば年間最大800トン、原発約40基分の使用済み核燃料を処理できるそうです。しかし、完成しなければ、再稼働した原発から出た使用済み核燃料の貯蔵場所が問題となることは確実といわれています。再処理工場の稼働なしに再稼働がさらに進めば、その行き場確保がさらに大きな問題となるそうです。

 喫緊の課題の解決を求めて原発を推進しようとすれば、次の課題にぶち当たるようです。その上原発推進には住民理解が欠かせません。福島第一原発事故のトラウマは早々解消できるものではありません。まして大きな地震が起きるたびに原発で不手際が露呈すればなおさらです。そんな中、原発を推進しようとすれば必ず反発が生まれます。国と電力各社が態度を改め、謙虚にならない限り、反発が沈静化することはないのでしょう。

 

 

 不確実性が高まり、エネルギー政策におけるリスクは以前とは比べられないほど多岐にわたるようになっているといいます。何をゴールにどの道をたどっていけば、山積する問題がスムーズに解決されていくのでしょうか。様々なリスクや課題が制約条件となって、複雑性が増し、それに加えて業界の利害やしがらみが絡んできます。

 政府による強い誘導を求める声があるようです。政府は既得権益の調整を理路整然にすることはできるのでしょうか。

 一方で、政府はPB プライマリーバランス 国と地方の基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を閣議決定した骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針」に盛り込んでいます。この目標をないがしろにするようなことになれば、国の信用にかかわることになるといいます。このため野放図な財政支出はもう許されないといいます。

歳出改革、一貫性欠く 骨太の方針(日本経済新聞)

 しかし、不人気な首相は物価高対策として電気・ガス代の補助や年金世帯への給付金支給を表明しました。それは歳出改革を進めるという姿勢と矛盾し、一貫性を欠くとの指摘があります。

 

 

 そもそも堅実な政策が練られていれば、物価高や円安に苦しんだり、エネルギーの供給不安も避けることができていたのかもしれません。

 エネルギー基本計画の議論が始まっています。堅実で現実的な計画を作ることはできるのでしょうか。裏金事件を端にして、政治不信が続いています。不信を払しょくするような計画が求められいるはずです。

 

 

「参考文書」

アメリカでヒートドーム猛威 暑さ過去最高、50年死者6万人も - 日本経済新聞

大量の電力を消費する「AI」で世界はエネルギー危機に | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

エネルギー政策で世界から取り残される日本の産業界に未来はあるか? | クーリエ・ジャポン

分断下でも進む脱炭素 シェルが読む国家競争の現実 本社コメンテーター 松尾博文 - 日本経済新聞

日本の基礎的財政収支、来年度の目標未達の見通し=ムーディーズ | ロイター