Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

募る不信、めどが立たない経営再建、事故後事実上国有化された東電の実力

 処理水問題はいつになったら解決するのでしょうか。改めて中国との関係悪化と原発問題との関わりが意識され、問題を複雑化させていくように思えます。

 政府支援で「常磐もの」に注目が集まり、それで福島県の漁業の再興につながれば、それはそれでよいのでしょう。しかし、中国への輸出に依存していたホタテ業界は打撃を受け、政府支援を求め、それに政府は迅速に対応しようとしています。

 問題解決に奔走する政府、何かやっている感が醸し出されていますが、どうなのかなと感じなくもありません。政府対応が最善、最適なものであれば、このようなことを仕事にしなくても済んだのでしょうから。

 

 

 これを端にして、30年で廃炉にできるのだろうかと、廃炉問題が浮上します。根強く残る東京電力への不信の現れなのでしょうか。

東京電力、福島第一原発処理水放出も収益低迷 廃炉費用8兆円重く - 日本経済新聞

処理水の海洋放出を始め、2051年までの完了を掲げる廃炉作業はようやく前進した。23年度から本丸と位置づける溶融核燃料(デブリ)取り出し作業が始まる。8兆円に上る廃炉費用を捻出するだけの稼ぐ力はまだ弱く、経営再建への道筋を描けないでいる。(出所:日本経済新聞

 東電の経営再建には、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が欠かせませんが、こちらの再稼働がいつになるのか見通せない状況が続いています。仮に柏崎刈羽原発の6号機、7号機が動けば、1基あたり年約500億円の収益改善効果があるそうです。6号機、7号機が再稼働できれば、その後、1~5号機のうち1基がさらに動く皮算用を立ていたといいます。

柏崎刈羽原発

 再稼働が延びに延びて10年近く経過しています。原子力規制委員会は未だに再稼働へのお墨付きを与えず、地元の同意も得ておらず、いつになるのか見通せない状況といいます。これでは廃炉費用の捻出どころではなさそうです。

柏崎刈羽原発、年内の再稼働難しく 9月から調査へ - 日本経済新聞

 東電は柏崎刈羽原発7号機の10月再稼働をめざし、6月に電気料金を値上げした際はコスト計算の前提としてこの再稼働計画を織り込んでいたといいます。

柏崎刈羽原発はテロ対策の不備も問題となっている。21年にIDカードの不正使用や侵入検知装置の不具合といった核防護上のトラブルが相次いで発覚した。追加検査を実施しているが、終了時期は不透明だ。(出所:日本経済新聞

 6号機と7号機をあわせた発電能力は270万キロワットで、都内の需要の4〜5%に相当する規模といいます。もし再稼働できれば電力需給は改善するそうです。

 経産省幹部は、再稼働すれば、危機的な状況が改善し、高い電気代の解消にもつながると漏らしているといいます。

 

 

 しかし、原発の停止期間は10年を超え、再稼働に際しては取り出されている核燃料を再び装着するだけでなく、配管や送電線に至るまで性能を確かめる必要があるそうです。まだまだやらなければならないことが多々あるばかりだけではなく、規制委の処分が解除されないとできない検査も多いといいます。

 様々な問題が露呈し、自律的に改善を進めることができていない東電に、この原発を稼働させ、適正に維持できるのでしょうか。不安が残ります。

 あの福島での事故後、東京電力原子力損害賠償支援機構を通じて1兆円の公的資本を受け入れ、事実上国有化されました。それが不信に輪をかけているような気もします。

 ジャニーズ事務所ではないですが、解体的な出直しが必要なのかもしれません。その時、改めてこの国の原発問題をきちんと議論すべきなのでしょう。

 

「参考文書」

中国水産物禁輸で…8割依存の青森ホタテ苦境<廃炉と海> | 河北新報オンライン

東電が新再建計画を公表 変わらぬ柏崎刈羽原発頼み:朝日新聞デジタル

東電株主総会で実質国有化を承認、改革求めた都の提案は否決 | ロイター

ドイツ首相、原発再稼働説を一蹴「終わった話」 4月に脱原発完了 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル