Up Cycle Circular’s diary

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そごう西武労組のストライキの意義を問うとき、米国では労働組合活動で大幅な賃上げを実現

 そごう西武労組が実施したストライキはそれなりにインパクトがあったようです。経団連の十倉会長もこの件に言及したようです。

「そごう・西武」労組の姿勢に感銘 経団連会長

 労働組合の委員長が「地元住民ないしはお客様に迷惑を掛けるのは本当につらい」と述べていたことが印象に残っていると語り、「重要なステークホルダー(利害関係者)に『客』と『地域社会』がある」「組合当事者の方々がそういう思いを持っていることに非常に感銘を受けた」と述べたといいます。

 経済界のトップは組合に対して、何か偏見なようなものをお持ちになっていたのでしょうか。

 

 

 今回のストライキがきっかけとなり、労働条件とか、企業経営を再考するようになればいいのかもしれません。

 優先すべきは株主だけではなく、ステークホルダーと企業経営者は気づくべきなのでしょう。あらゆるステークホルダーの意見を聞き、それを企業価値向上に活かしていく時代になったということなのでしょう。

大幅な賃上げに合意する米企業

 米国では、大幅な賃上げを認める動きが相次いでいるそうです。背景には深刻な物価高があり、それに配慮したとみられるそうです。

米企業、大幅賃上げ相次ぐ 物価高に配慮、5割増も:時事ドットコム

 また、賃上げはさまざまな業界に広がっているといいます。労働組合が経営側と交渉、4割増など大幅な賃上げを勝ち取っているそうです。

 ただ、給与増は労働者にとって喜ばしい半面、サービスや商品の価格に跳ね返るリスクがあり、金融市場関係者は、相次ぐ賃上げは「FRBが望んでいるものではない」と指摘したそうですが。

労組の活動を後押しするバイデン政権

 米国の財務省が、労働組合の活動によって組合員の賃金が10~15%押し上げられるとの調査報告書をまとめたそうです。

労組の活動で賃金15%増加 米財務省が調査報告書 | 共同通信

この報告書では「中間層の労働者は組織化によって大きな利益を得る」と指摘、賃上げのほか、退職金や医療手当などの増額、柔軟なスケジュール設定といった労働条件の改善につながると分析しているといいます。

 非組合員へも波及効果があり、中間層を中心とした経済成長や企業の生産性向上にもつながると分析。経済格差の是正に向けて、労働者の組織化による処遇改善や職場環境の是正を促した。(出所:共同通信

 バイデン政権は労組を支持母体としており、労組の加入促進や最低賃金の引き上げといった政策を推進しているそうです。

 

 

 何事においても、同盟国 米国を模倣したがる日本政府ですが、こればかりはそうそうまねできないのでしょうか。野党が弱体化しているうちに、労組までも支持母体にしようとたくらむことはあるのでしょうか。

安すぎる日本人の給料

 日本人はそのまじめさや能力にふさわしい給料ももらっていないと、デービッド・アトキンソン氏が指摘しています。他国と比較し「20代の給料安すぎ」といいます。

日本を蝕む「20代の給料安すぎ問題」超残念な実態 「初任給引き上げ政策」がなければ経済成長なし | 国内経済 | 東洋経済オンライン

 政府が賃上げを呼び掛けるにしても、これといった有効な武器はなく、直接的に影響を与えることができるものは最低賃金しかないといいます。しかし、学校の先生、介護職など公務員の初任給を引き上げて、民間の賃金に圧力をかける方法があるといいます。

 日本でもストライキを含め労組活動が活発化することはあるのでしょうか。今の政権にとっては好ましいことではないかもしれませんが。

 

 

「参考文書」

そごう・西武労組「一方的な売却完了は遺憾」 - 日本経済新聞

米ダートマス大学アルジェンティ教授「正しい行動こそ企業責任」:日経ビジネス電子版