Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

著名投資家 ウォーレン・バフェットはなぜ日本の総合商社を評価するのか

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏が、食品からエネルギーまで幅広い事業を手掛ける日本の総合商社への投資について、「非常に満足している」と改めて評価したといいます。

商社投資「非常に満足」 アップル株は追加売却―バフェット氏:時事ドットコム

 そのバフェット氏の評価通りなのか、5大総合商社の業績は好調で、株価は上昇傾向で、上場来高値を更新しているといいます。   

 

 商社が躍進を続ける理由には、身銭を切った「血の情報」による事業投資があるそうです。「ブラッディインフォメーション(血の情報)」、業界の商流にどっぷりつかることで得られる生々しい情報のことをいうそうです。

三井物産は利益1兆円超え 商社パーソンに学ぶ地球規模の「稼ぎ方」 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

 商社マンと定期的に交流していたことを思い出します。彼らがもつ業界情報を得るため、また新たなソースや実のある商流提案も求めたものでした。

「スケール感ある商い精神」「商社パーソンはスーパーゼネラリスト」「地球上のフットワーク」、これらが商社マンに求められる力、スキルだそうです。

 戦前三井物産の社長を務め、戦後国鉄総裁になった石田禮助も「日本の人口問題、食糧問題解決のためには外貨がいる」「商社の仕事は口銭だけではだめ、スペキュレイション(投機)も含め、新しく創り出すものが加わって大きな稼ぎができる」と語っていることからして(参考:「粗にして野がだが卑ではない」)、そうなのかもしれません。

 石田は、シアトル、ボンベイ、大連、カルカッタ、ニューヨークの支店長を歴任し、大連では大豆の取引で巨利を得て、また、ニューヨーク支店長時代には、錫の取引でも成功したといいます。さすがに社長まで上り詰めるだけにを半端ない大きな商いを行っていたようです。

 

 

モラルあってのソロバンである。正々堂々と働き、正々堂々と生きよ。(引用:「粗にして野がだが卑ではない」)

 成長を続ける総合商社の姿勢を、ぜひ見倣って欲しい.......、それが小粒終わるスタートアップ、積極拡大を目指さない中小企業との歴然とした差だ、Forbesはそう指摘しています。

 生成AI「ChatGPT」が大流行りです。しかし、商社が扱うような「血の情報」はAIで見つけることはできないだろうといいます。最高の収益機会を求め、日本中、世界中を駆け回り、人と会ってこそ得られるものがあるそうです。円安に苦しみ今の日本にあって求められていることがここにあるのではないかといいます。そうなのかもしれませんし、そうできるよう心掛けべきなのかもしれません。

 一方の石田禮助三井物産退職後、国鉄総裁に転身し、経営合理化を積極推進、様々な業績上げたそうです。「公職は奉仕すべきもの、したがって総裁報酬は返上する」と宣言し、国民の支持を得たそうです。鶴見事故が発生すると、当初は月10万円だけ貰って報酬を受け取らずに、1年あたり洋酒1本に変えたそうです。

 また、国会質疑でも数々のエピソードを残し、初登院した国会では経営に苦しむ国鉄について、議員たちに向かって「今日の様な状態になったのは、諸君たちにも責任がある」と痛烈かつ率直に発言し、議員たちを驚かせたようです。議員に向かって「諸君」といったことも相当に怒りを買ったようですが。

 裏金事件が起き、企業献金が問題視され、政財界の癒着も未だにあるのではないかと疑われます。現代の国会も石田存命当時のようなものに変わっていけば、日本が抱える様々な問題も解決に向かって行くような気もします。

 

「参考文書」

総合商社、資本効率改善を加速-バフェットら投資家の目意識 - Bloomberg