Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

再エネの進化、日本は競争力をとり戻すことができるのだろうか

 

 総合商社が手のひら返しのように、再生可能エネルギーに精を出すようになった。三井物産が、インドの最大手の再生可能エネルギー事業者 ReNew Power Private Limitedが推進する大型再生可能エネルギー事業の開発に参画するという。

 インド国内に風力発電所 3か所と太陽光発電所 1か所を新設するという。太陽光には最大10万kWhの蓄電システムを併設するそうだ。2023年8月に商業運転を開始する予定という。

リリース | インド大型再生可能エネルギー事業に出資参画 - 三井物産株式会社

 三井物産によると、従来の再生可能エネルギーの弱点である、風況、日照量などにより発電量が変動し、安定的な電力の供給が難しいことを克服し、24時間安定的に再生可能エネルギー発電所から電力供給を行うそうだ。

(写真:三井物産

 インドは、2070年迄にGHG温室効果ガスの排出量ネットゼロを表明し、非化石燃料による発電容量を2030年までに500GWに引き上げる方針を発表している。こうした日本企業の取り組みが国際貢献につながり、また、インドの国内のエネルギー事情の改善になり、無電力地域の解消にも役立てばいいのかもしれない。

 可能であれば、こうしたプロジェクトに日本製設備が積極的に使用されるようになって欲しいものだ。

 

 

グリーンメタルのサーキュラー・エコノミー

 三井物産のインドのプロジェクトでも蓄電池が活用されるが、この先、これら脱炭素機器に必要なリチウムやレアアースが供給不足になる懸念がある。

 欧州もしかり、これらの不足が深刻化すると予想されるとロイターが報じる。ただ、こうした脱炭素化に必要な「グリーンメタル」、リチウムやレアアースなどの需給ギャップを2040年以降はリサイクルにより埋められる可能性があるという。

脱炭素に伴う欧州のグリーンメタル不足、再利用で解消へ=調査 | ロイター

欧州各国が今投資を拡大してボトルネックを解消すれば、50年までに欧州のクリーンエネルギー用金属需要の40─75%をリサイクルにより賄えるという。(出所:ロイター)

 日本も同様な措置を取るが見込み算定は完了しているのだろうか。必要十分な「グリーンメタル」の供給がなければ、なんとか競争力を維持している蓄電池産業が衰退しかねない。産業を衰退させるばかりの愚行を続けるべきではない。ここが踏ん張りどころなのだろう。

早くも始まるか次世代太陽電池のシェア争い

 急速に世界各地で設置が進む太陽光発電も、それを構成する太陽電池が次世代品へと切り替わりが加速するかもしれない。次世代太陽電池の世界市場と開発動向の調査結果をニュースイッチが報じる。

「ペロブスカイト」けん引、次世代太陽電池市場が22倍の8000億円に|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社

 それによると、2035年の世界市場は、21年比22.6倍の8300億円となる見通しという。既存の太陽電池との併用や代替によるペロブスカイト太陽電池(PSC)が伸長し、大幅に拡大する予測になっているという。

 

 

 既存の太陽電池からの屋外用途の代替需要は潜在的に高いという。従来の結晶シリコン太陽電池の上にPSCを載せ、太陽光の波長の吸収できる幅を広げることで発電効率を向上させたタンデム型や建材一体型太陽電池などが有力で、量産化により市場が大きく成長する予測という。本格的な量産が22年以降に開始となるようだ。

 シリコン系太陽電池では早々に市場シェアを失ってしまった。同じ失態を繰り返してはならないのだろう。国際競争力を有する産業を数多く産みださなければ、国力が低下するばかりだ。不退転の決意で臨み、バリューチェーン:価値連鎖を見直し、新しさを追求しなければならないのだろう。業界の垣根を超えた協力が必要なときなのかもしれない。