気候変動の問題と地球の未来について不安を抱いている若者が世界では9割以上になるとの調査がまとまったという。調査を行ったのは英バース大、米国、英国、インド、フィリピンなど世界10カ国、16~25歳の若者1万人が対象。
若者9割超が気候変動不安 「未来怖い」75%、政府批判も―10カ国調査:時事ドットコム
JIJI.COMによれば、各国政府の取り組みが不十分との見方も多数を占め、若者たちにいら立ちが広がっている実態が浮き彫りとなったという。
気候変動とその影響が「心配」と答えたのは95%。このうち、「とても心配」は32%、「極めて心配」は27%だった。また、45%以上が「気候変動問題への不安が日常生活に否定的な影響を及ぼしている」と回答した。さらに75%は「未来が怖い」と感じ、「環境危機への不安から将来子供を持つことにためらいを覚える」と答えた人も約4割いた。 (出所:JIJI.COM)
意識するしないにかかわらず、多くの人たちが将来に不安を感じたり、心配しているのではなかろうか。それは漠然としたものなのかもしれない。
政府が2050年のカーボンニュートラル達成を目標にすると、産業界が一斉にそれに向かって動き出したが、なかなか実感が伴わない。30年先のことを想像することは難しいし、絵空事のように聞こえてしまうのかもしれない。
水素の活用というけれど、FCV燃料電池車、エネファームはどれだけ普及しているのだろうか。それよりは、再生可能エネルギーの利用拡大で価格が下がったというような話があれば、もっと現実味を帯びるのかもしれないが、そうならない。世界の多くの国で、太陽光や風力、無償のエネルギー利用で電気料金が下がっているというのに、まだ石炭や石油より高いというのだから、矛盾を感じずにはいられない。
企業の一部からも同様に、再生エネコストが「非常に高い」との声が上がり、世界がカーボンニュートラルを目指す中で、国内生産を維持できなく恐れがあるという。
ローム社長、半導体生産の海外移転「検討の余地」-再生エネ負担 - Bloomberg
ロームでは現在、前工程の半導体を国内拠点で生産している。工場は原則24時間稼働で、再生エネコストの安い電力の安定的な確保が利益率なども左右する。ブルームバーグNEFのリポートによると、例えば日本の太陽光発電コストはドイツや米国、中国より2-4倍高い。 (出所:ブルームバーグ)
東電が、福島第一原子力発電所事故に伴う廃炉など約16兆円の関連費用を捻出するため、経営改善に取り組んでいるというが難航しているという。
柏崎刈羽原発での相次ぐ不祥事で、柱になるはずの原発再稼働見通しが立たない。こうした状況下、再エネ事業の拡大で活路を見いだそうとしているという。
東電HDの再エネ子会社、環境債の継続発行や他社との連携推進へ - Bloomberg
ブルームバーグによれば、風力発電など再エネ事業開発で2030年度までに1兆円程度の投資が必要になるという
自民党の総裁選が始まった。各候補がそれぞれの主張を繰り広げる。地球温暖化の抑制に極めて大きな影響を及ぶすエネルギー政策においてもその違いが現れている。
小型モジュール原子炉や地熱発電の利用を説く人がいる。今、ここにある現実を直視ているのだろうか。もう現実的に考えなければならないときのはずだ。新たな技術開発を伴うことを持ち出して、はぐらかし、問題を先延ばしてはならない。
再生可能エネルギーの利用拡大と脱原発の問題を避けて、もう前に進むことはできないはずだ。