Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

気候テック、新たな成長分野から生まれるユニコーン

 気候テックに関心が集まるようになったのでしょうか。世界最大の投資会社米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは「次の1千社のユニコーン企業は、検索エンジンでもメディアでもなく、グリーンな水素や農業、製鉄、セメントを開発するビジネスだ」と述べているといいます。

「産業革命以来、最大の変革」 国内外で気候テックが注目される理由 [気候変動を考える]:朝日新聞デジタル

気候テック」とは、温暖化問題の解決につながるテクノロジーのことで、原因となる温室効果ガスの排出を減らす技術だけでなく、温暖化への適応策を進めたり、気候変動への理解を深めたりする技術やサービスも含まれると記事は解説しています。

 既に今年1月時点で、気候テックで評価額10億ドル以上の未上場企業「ユニコーン」は米国や中国を中心に世界で83社にのぼっているそうです。

 

 

エネルギー、産業、農業、モビリティー、自然保護など、すべての分野での大転換が求められることになり、これを実現するためには巨大な金と人が動く。(出所:朝日新聞

 これらに必要な資金は約8千兆円といわれ、気候テック企業は、これをビジネスチャンスとして見逃していないようです。

テクノロジーの罠

 何においても周回遅れとなり、この分野においても同様なのでしょうか。今はまだデジタルやAIのみが関心の的のようですが、その影からやがて気候テックが芽吹いてくるのでしょうか。

テクノロジーの発展が経済成長につながらない訳 逝去した「欧州最強の知性」による最後の問い | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン

 さしたる経済効果と成長が期待できそうにないテクノロジー分野に夢中になり、実はそれより遥かに経済効果と成長が期待でき、なおかつ社会貢献できるこの分野が蔑ろにされているようなら目も当てられません。もうそろそろ目を覚まさないとならないのでしょう。

ハワイ 再エネの島へ

 米国ハワイ カウアイ島では、太陽光発電所に揚水式水力発電、大規模蓄電池を組み合わせた再エネ ハイブリッドシステムを2026年までに稼働させるプロジェクトが始まっているそうです。 

米ハワイ州、「メガソーラー+揚水+蓄電池」の複合発電所を計画 | 日経クロステック(xTECH)

天候によって上下する太陽光の出力を、長周期変動については揚水、短周期変動については蓄電池が吸収することで、島内に安定した電力を供給する。(出所:日経クロステック)

 ハワイ州は日本同様、化石燃料に依存していたそうですが、そこから脱却するため、早くから再エネを推進し、「2045年までに再エネ100%」という目標を設定していたといいます。カウアイ島は、それよりも早い2033年までに電力需要の100% を再エネで賄うという目標を立て、それを推進しているそうです。

 

 

動き出す素材産業の脱炭素

 日本の近代化を支え、高度成長期を担ってきた素材産業で脱炭素化の取り組みが加速し始めているようです。新たな設備投資で着々と準備を進めているようです。

消えゆく八幡の高炉、増える「エリートツリー」 素材産業、脱炭素化への現在地【けいざい百景】 :時事ドットコム

 古い設備が大規模に一新され。モノが動けば、それを起点に経済成長にもよい影響を及ぼすのではないでしょうか。

 また、日本製鉄は鉄鋼生産によって生じるスラグを使って「磯焼け」を行い、海藻を育て、二酸化炭素を吸収する「ブルーカーボン」の取り組みに力を入れるといいます。脱炭素にも寄与、またそれで地域社会へ貢献できるのなら、積極的に事業化してもよさそうです。

 こうした大企業の取り組むに負けないよう事業がスタートアップから次々と生まれてくれば、経済も活性化していきそうです。

 

「参考文書」

日本製鉄、鉄鋼スラグで脱炭素 北海道でブルーカーボン - 日本経済新聞

神戸製鋼・機械事業部門/売上高3000億円への道筋/竹内正道副社長/今期経常益最高へ、カーボンニュートラルで新規需要/コベルコ科研と連携、新事業を創出 | 日刊鉄鋼新聞 Japan Metal Daily