Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【COP27がまもなく開幕】優先されがちな端々の議論、脱炭素社会への移行はどこまで進んだのか

 

  いよいよCOP27 国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議がエジプト東部のシャルムエルシェイクで始まるといいます。クリーンエネルギー移行のための資金調達から森林保護まで、幅広い議題が話し合われるといいます。

情報BOX:COP27、揺らぐ石炭削減や資金負担にスポット | ロイター

 顕在化する恐ろしいほどの異常気象、エネルギー危機、世界各国で進むインフレと景気後退の危惧、こんな状況からすれば、世界が一致して対応が進みそうですが、なかなか厳しそうな会議になりそうです。

 日本政府は来年広島で開催となるG7サミットに向け「種まきの場」とのスタンスでいるといいます。この分野でリーダーシップを発揮しようとの意思はあるのでしょうか。

 

 

 政府の税制調査会自動車税制の見直しに着手、ガソリン税の減収が続く中、道路の維持費を賄う代替財源の確保に向け、走行距離に応じた課税などを検討しているといいます。今後のEV 電気自動車の普及を見据えてことのようです。

EVに対する走行距離課税は「一つの考え方」=鈴木財務相 | ロイター

 賛否両論、早速物議を醸しているようです。今後、どのような議論になっていくのでしょうか。

 政府がほんとうに脱炭素社会への移行を目指すのなら、この後変わることになるであろうライフスタイルを鑑みて、税制の全体を見直すべきのような気もします。

 それに加えて、放漫財政のツケをいずれどこかで解消せねばならず、健全な財政計画を立て、「入るを量りて出ずるを為す」のもと、公平で適正な税負担の確立を念頭に置くべきなのでしょう。

 一方で、今後、再生可能エネルギーが拡大し、EVが普及していくと、昼夜の電気料金が逆転し、夜間の電気料金が高くなるのではないかという意見もあるようです。

アマゾンらが直面する「配送車のEV化」の課題と水素燃料の利点 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

スタンフォード大学の最近の研究では、カリフォルニア州のように、EVが走行中の車の約6%を占める州では、オフピーク時の夜間に充電しておくための送電網の容量は十分にあると推定されている。しかし、EVのシェアが30%程度になるであろう10年後には、夜間料金が今ほど安価ではなくなるため、太陽光発電のピークとなる日中の時間など、他の時間帯の充電に移行する必要がある。(出所:Forbes)

「こうした課題に対する答えのひとつが、水素という別の道を歩むことなのかもしれない」と記事は述べています。米国のケースを指摘していますが、いずれ日本も同じ道を辿ることになるのでしょうか。

 

 

 兎角、政府は税制を優先して議論したがるようですが、脱炭素社会への移行でどんな変化が生じ、将来の暮らしがこう変わっていくということがイメージできるような政策作りが求められているように思えてなりません。また、そこではSDGsの精神をもとにした包摂的な社会ということも忘れてはならないのでしょう。

 政府施策が寛容なものになっていけば、支持を得ることはできるはずです。また、そうなれば将来不安も和らいでいくのかもしれません。

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 しかし現実とは常に理想とは真逆にあるのでしょう。経済産業省電力需給に応じて遠隔から出力を変えられるエアコンや温水器の普及策を検討しているといいます。

電力不足時にエアコン遠隔制御 経産省が普及策検討: 日本経済新聞

電気が不足しそうな場合、エアコンを弱めるといった遠隔制御機能を持たせるよう機器メーカーに求める。出力が気候に左右される再生可能エネルギーの導入が進むなか、電力需給の安定を狙う。(出所:日本経済新聞

 国民に負担を求めることはやりやすいのでしょうか。

 

 

 脱炭素化に向けて再生エネの拡大が求められますが、出力変動調整の難しさが伴います。そのためには、蓄電池の活用などが求められています。

 ただ現実には九州のように、晴天時に電力余剰が生じ再生エネの出力調整を行っているケースがたびたび起きるようになりました。こうした時間帯に電気自動車を充電させたり、給湯器を稼働させたりして需要を増やせば、再生エネの無駄を減らせ、電力不足にも備えられるといいます。

 今、何を優先して為すべきなのでしょうか。端々から手を付けるのではなく、適宜現状を分析して、あるべき姿を指し示し、それに向けて進めるしかないのでしょう。

 

「参考文書」

EV化で減るガソリン税をどう補填する? 米国で試行錯誤される走行課税制度の難しさ | WIRED.jp

風力・太陽光・蓄電池で新規電源の8割、米国は再エネと蓄電の時代に | 日経クロステック(xTECH)