Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

実用化が待たれるペロブスカイト太陽電池、脱炭素の街づくり、さらなる再エネの普及

 

 自宅庭にダイソーで買った100円のソーラー庭園灯がある。場所を問わずに設置できるし、100円の太陽光発電でもありがたみを感じる。こうしたものが100円で作れるようになっているのだから、低価格を進めれば、太陽光発電ももっと普及が加速していくのだろうか。

 築年数がかさんだ家では太陽光発電の設置は無理かなと思ってしまう。家の耐荷重の問題や、屋根の上に重量物を設置して地震に耐え得るかと考える。

 新たな「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」は軽量、薄型、フレキシブルが特長だという。もし実用化されれば、こうした悩みも解消するのかもしれない。

軽量で折り曲げ可能、東芝のフィルム型太陽電池がCEATEC 2021 経済産業大臣賞を受賞【CEATEC 2021 ONLINE】 - INTERNET Watch

 この太陽電池を開発する東芝は、都市部を中心に、従来のシリコン太陽電池では設置が困難だった、耐荷重の小さい工場の屋根や、ビルの壁面・窓など、多様な場所への太陽電池の利用の拡大を可能にする技術と説明する。

 Internet Watchによれば、製造コストは従来の多結晶シリコン太陽電池よりも低くなる見込みで、目標製造コストは15円/Wだという。また、想定する実用化サイズは、受光部で900cm2 だという。

 諦めていた太陽光パネルの設置も可能になるのかもしれない。

 

 

 再生可能エネルギーの拡大が求められる中、来年4月には新たなFIP(=Feed-in Premium フィードインプレミアム)制度が加わるという。家庭用というよりは事業者向けの制度なのだろうか。

 資源エネルギー庁によれば、この制度では、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進するものだという。

f:id:dsupplying:20211025110715p:plain

(資料:資源エネルギー庁

 新たな制度が生まれれば、それをビジネスチャンスに変えて、新たなサービスが生まれる。

 伊藤忠商事が、こうした社会的な要求に応えようと、アグリゲーションビジネスの実証を始めるという。市場連動型のFIP制度導入を見据え、再生可能エネルギーの普及と安定化に貢献するのが目的だという。

再生可能エネルギーの主力電源化に向けたアグリゲーションビジネスの実証開始|プレスリリース|伊藤忠商事株式会社

 伊藤忠商事によれば、この実証実験を今年8月から九州エリアの複数の太陽光発電所を対象に始めているという。

 アグリゲーション・ビジネスとは、VPP(=バーチャルパワープラント)やDR(デマンドレスポンス)を用いて、一般送配電事業者・小売電気事業者・需要家・再エネ発電事業者といった取引先に対し、調整力・インバランス回避・電力料金削減・出力抑制回避等の各種サービスを提供する事業のことをいう。

 

 

 こうしたサービスと「ペロブスカイト太陽電池」が普及、定着すれば、街中でもっと太陽光発電ができるようになっていくのかもしれない。

脱炭素社会の街づくり 再エネ普及カギに: 日本経済新聞

再エネが普及すると、電源は日本各地に分散し、ネットワーク化され、それぞれの地域内で電力の需給が一致するように制御される。そのための技術もサービスもすでに存在していて、ドイツでは産業になっている。日本も(太陽光パネルなどを備えた)ビルや住宅は分散型電力システムの拠点になり、街づくりに分散型の考え方を取り込む地域は今後、競争力を増す。 (出所:日本経済新聞

 再エネの普及が、脱炭素社会の街づくりにつながっていくと言ってもいいのだろう。

二酸化炭素の排出量が少ないビルは企業に選ばれ、分散型電源を備えた街は災害に強くなる」と記事は指摘し、「こうした街づくりには、企業と自治体による事業主体が必要」という。ようやく、自治体主体の新電力の必要性が説かれ始めたのだろうか。

f:id:dsupplying:20211025113952j:plain

 地域のインフラ整備、エネルギーの調達、専門人材の育成を一貫して追求する事業体が地域産業の発展や雇用の確保、税収増という好循環をもたらす核になっていく。そんな構想を持った街づくりが重要だ。 (出所:日本経済新聞

 分散した点が結ばれていけば、災害時にあっても、より大きな回復力 レジリエンスを有することになるのかもしれない。ためらうことなく、こうした動きを加速していかなければならない。

 そして、余裕があるのなら、電力事情が改善されていない国々でも展開ができればいいのだろう。そこに成長の余地があり、人々にも貢献ができるのだから。