次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の実証実験が相次ぎ、電機大手も開発状況を公表するようになっています。さらに注目が集まっているのでしょうか。
「将来は、最低でも1000億円単位のビジネスに成長すると思うし、材料の提供だけでも数百億円のビジネスにある程度の時期に到達することが見えている」。
と、パナソニックホールディングスの小川CTOが語ったといいます。
パナソニックG小川CTO、「ペロブスカイト太陽電池を4桁億円事業に」 | 日経クロステック(xTECH)
事業化にはまだ長い時間がかかるといわれていますが、小さい面積の屋内発電用なら3年以内で実用化できるとのことです。ただ課題が多い建材向けはもう少し時間を要するといいます。
パナソニックも本腰を入れて、ペロブスカイト太陽電池の事業化を進めるようです。
中国の動き
米中の対立が激化しています。中国は太陽光関連の製造技術の優位性を守るためソーラーウエハの輸出禁止措置を検討しているそうです。
米国などが太陽光発電関連のサプライチェーンを自前で構築することへの牽制の狙いもあるといいます。
それだけ太陽光発電の戦略的重要性が高まっているということでもあるのでしょうか。
中国、ソーラー製造巡り輸出禁止措置検討-外国の供給網構築けん制か - Bloomberg
記事によれば、輸出規制はまだ決定はされていないといいます。
これまで中国が太陽電池関連の先端テクノロジーを開発してきたことで、太陽光発電のコストを大幅に削減する上で大きな役割を果たし、今では極薄シリコンから作られるウエハーは、中国が世界生産の97%を占めているといいます。
もし仮に中国製先端ウエハーを使用できなくなると、太陽光パネルのコストに影響が及ぶ可能性があるそうです。
まち全体を発電所に
そんな中、横浜市が「ペロブスカイト太陽電池」の実証実験を実施すると発表しました。
横浜市、次世代太陽電池で実証実験 桐蔭学園・東急と: 日本経済新聞
記事によれば、東急田園都市線青葉台駅の改札前自由通路に東芝製の約700平方センチメートルの大型の新型電池を設置するそうです。
この新型電池は製造コストが安価で、曲げられるほど薄く、雨天など弱い光でも発電できるのが特徴といいます。
今回の実証実験では、直射日光が当たらず人の往来の多い駅改札前に設置し、日常生活の空間の中で発電性能などを確認するそうです。
今後は、この実証に参加する東急や東急電鉄、桐蔭学園、横浜市などが保有する既存建物、駅、車両、高架橋などの資産への設置を検討し、将来の活用に活かすといいます。
記者会見した横浜市の山中市長は「まち全体が発電所になりうる横浜発の新技術。普及を促したい」と話したといいます。
脱エネルギー危機
多くの大企業がカーボンニュートラルを宣言するようになり、再生可能エネルギーの活用を積極的に進めるようになっています。
東芝、大規模な太陽光発電設備 大分の半導体拠点に: 日本経済新聞
また、街中でもいたるところで小規模ながらも太陽光発電が進むのなら、これまでのような大規模発電の需要は徐々に低下していくことはないのでしょうか。
もしそうすることができ、脱化石燃料が進めることができるのなら、エネルギー安全保障にも貢献し、なおかつ原発の新増設も不要になっていくのかもしれません。
「参考文書」
ペロブスカイト太陽電池の先行実証実験の実験資材提供について | ニュースリリース | 東芝エネルギーシステムズ