Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【エネルギー危機と脱炭素覇権】注目されるグリーン水素、水素社会は実現するのか

 

 エネルギー危機といわれています。電気代の高騰などを目の当たりにすると現実の問題であることが理解できます。

 今こうした危機にあって、脱化石燃料が世界における課題になったようです。ただ、グリーンエネルギーの世界的な供給網 サプライチェーンでは、さらに大きな脆弱性が生まれつつあるといいます。

中国の再エネ支配力、OPECの比ではない - WSJ

リチウムイオンバッテリーに使用されるコバルトの世界供給の95%は中国で精製されたものだ。イタリア・シチリア島に設置された太陽光発電モジュールの70%余りは中国製である。さらに、世界の電気自動車(EV)バッテリー生産能力の4分の3を中国が握る。(出所:ウォールストリートジャーナル)

 再生可能エネルギーへの移行に必要なグローバル・サプライチェーンがいかに集中しているかを物語るものと記事は指摘しています。

 

 

 改めて中国のしたたかさを認識せざるを得ません。

 あの時....と言って、悔やんでももう後の祭りです。かつて再生可能エネルギーを拡大させようとする機運がありました。日本の先見性が乏しかったということなのでしょうか。

水素社会は実現するか

クリーンエネルギーとして水素が注目された1970年代から半世紀を経て、「水素覇権」をめぐる各国の争いが幕を開けた。(出所:AMP)

世界で「グリーン水素」の黄金時代が到来か? 政策と技術の融合で「非現実」から「現実」へ | AMP[アンプ] - ビジネスインスピレーションメディア

 かつて次のエネルギーとして水素に注目が集まったことがありましたが、復権するのでしょうか。

 欧米中が一斉にグリーン水素の活用を活発化させているといいます。EUは2030年までに、域内のグリーン水素製造量を年産1000万トン、域外からの同輸入量を年間1000万トンとする目標を設定済みといいます。

 米国もまた、クリーンな水素や燃料電池の技術開発支援に7億5000万ドルを拠出すると発表し、技術レベルの向上とともに、コストダウンを強力に推進する姿勢を明確にしたそうです。

脱炭素覇権

「脱炭素覇権」を目指す中国は、グリーン水素の中長期発展に向けたロードマップを策定し、年産10〜20万トン規模のグリーン水素製造体制を構築するとの目標を掲げているそうです。

中国、今度は水素で覇権目指す-太陽光パネルの成功再現なるか - Bloomberg

中国は10年前、低価格を武器に太陽光パネル生産で優位に立ち、世界のパネル需要が急増し始めるタイミングで競合の欧米企業を脇に追いやった。今度は水素を巡る争いが激しくなっており、米欧は同じ轍を踏むまいと対策を強化している。(出所:ブルームバーグ

 記事によれば、水を電気分解して水素を製造する電解槽を巡って新たな競争が展開されているそうです。ただ、この競争に多くの関係者が既視感を持って見ているといいます。すでに全ての電解装置に占める中国製の割合は40%を超えているそうです。

「中国製の電解槽は欧米製に比べて効率性で見劣りするが、コスト競争力は高く、米欧企業の価格の約4分の1で済む。中国の電解装置メーカーの市場はまだ国内中心だが、海外への販路拡大も始めている」と指摘しています。

 

 

迷走

 さて日本はどのなのでしょうか。 世界最大級の太陽光発電を使った水素製造の実証プロジェクト「福島水素エネルギー研究フィールド」が完成したのは3年前のことでした。

dsupplying.hatenablog.com

 政府は原発の新増設に言及するようになりました。目指していたはずの水素社会の実現は潰えてしまったのでしょうか。