Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

拡大が求められる再エネ、ソーラーフロンティアが太陽電池生産から撤退、このままでいいのだろうか

 

  出光興産と100%子会社のソーラーフロンティアが、事業構造改革について発表、これに合わせ、宮崎県の国富工場でのCIS薄膜太陽電池の生産を2022年6月末を目途に終了することも発表した。

ソーラーフロンティア株式会社の事業構造改革について | 太陽光発電ならソーラーフロンティア

 それによれば、ソーラーフロンティアは汎用型CIS薄膜太陽電池の自社生産体制から結晶シリコン系太陽電池OEM調達へと移行するという。

 この先、エネルギーミックスが再生可能エネルギー中心に移行していくなかで、必要となる事業領域も増え、その優先順位に変化が起きているということなのだろう。やむなしの判断なのだろうか。

 

 

 ソーラーフロンティアは次世代型システムインテグレーターに転換、国富事業所は、その中核的拠点として、重要な役割を果たしていくという。

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(資料:ソーラーフロンティア

 また、CIS薄膜太陽電池の研究開発は出光興産次世代技術研究所に集約し、CISの高付加価値化を目指した次世代太陽電池の研究開発を加速するという。具体的には①CISの「高放射線耐性」という優位性を活かせる宇宙空間用途、②電動自動車や通信用ドローンといった移動体への搭載が期待されるタンデム型太陽電池への活用などとなる。

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 ソーラーフロンティアは、第6次エネルギー基本計画案で太陽光発電が主力電源化していくことを見据え、その課題解決を事業構造改革の柱に据えるという。

◆設置場所の限界

 メガソーラー建設による森林伐採や土砂災害など地域社会の環境や景観への影響が社会問題になり、その適地不足が指摘されている。更なる設置場所の拡大につながる、機器、システム、工法の開発を行っていくという。

発電所の長期安定利用

 ソーラーフロンティアによれば、日本の太陽光発電は500kW以下の小規模な発電所が全容量の4割を占めており、これらの中には適切なメンテナンスが施されずにFIT期間終了後閉鎖される発電所の数は相当数に上ることが懸念されるという。たとえ、FIT期間が終了しても発電所は維持されるべきであるとして、定期的なメンテナンスを実施すれば、一般的な太陽電池パネルの保証期間20年を超えての稼働も可能となるという。そのための発電所評価やリパワリングなどのサービスを提供していくそうだ。

太陽電池パネルの大量廃棄問題への備え

 太陽電池パネルも寿命を迎えれば産業廃棄物となり2030年代にはパネルの大量廃棄が社会的な問題となることが必至という。

脱炭素推進とセットで考えたい、低環境負荷の太陽光パネルリサイクル技術開発:脱炭素 - MONOist

 このため、低コストで環境負荷の低いマテリアルリサイクル技術を開発、2024年度には太陽電池パネルリサイクルの事業を開始できうよう進めるという。

 

 

 10年近くまえのこと、同僚の一人がソーラーフロンティアに転職した。この先、再生可能エネルギーが主力電源化していくのだろうと想像し、その選択に注目したものだった。その ソーラーフロンティアが、CIS系太陽電池で20%近い高い変換効率を報告するなど、その技術にも注目したものだ。

 ただ、この10年で事業環境が大きく変わったのかもしれない。

出光、太陽光パネル生産終了 中国勢にシェア奪われ―来年6月:時事ドットコム

「中国勢の規模拡大のスピードに追い付けなかった」と、出光の平野敦彦取締役が述べ、国際競争が激化する中、十分なシェアを獲得できなかったと説明したとJIJI.COMが報じている。

 出光ばかりでなく、他の国内メーカも、ペロブスカイトなど様々な太陽電池の開発を行っている。同じ轍を踏むこと無く、事業継続できる道を模索してもらいたいものだ。再生可能エネルギーは輸入に頼ることなく、地産地消できるエネルギーなのだから。