太陽光発電のトレンドに変化があるのでしょうか。大規模な設備を新設する適地が不足し、またFIT 固定価格買取制度の価格引き下げとともに新規導入が伸び悩んでいるそうです。
そんな中、商業施設や物流倉庫などの屋根を利用したオンサイトPPA 電力供給契約で急成長する企業があるといいます。
「1日1カ所の100kW級の発電所を作っている」、VPP Japanがそんなペースで太陽光発電を拡大させているそうです。
電気代の削減効果大、店舗の屋上は太陽光発電のパラダイス | 日経クロステック(xTECH)
それまでは脱炭素に貢献するとして、緩やかペースで進んでいたオンサイトPPAが、ここ最近において一気にスピードアップしたとそうです。その背景には、電気料金高騰の影響もあるといいます。
オンサイトPPA
「屋根を貸すだけ」、オンサイトPPAは、需要家の屋根に、PPA事業者の費用で太陽光発電を設置し、発電した電力を需要家が固定価格で買い取るしくみといいます。20年前後の長期の電力売買契約を結ぶことで、PPA事業者は投資を回収するそうです。
オンサイトの自家消費では、託送料金も再エネ賦課金もかからない。(出所:日経クロステック)
電力高騰の折、経費削減にも脱炭素にもなる選択肢として需要家を魅了していると記事は紹介しています。
ソーラーシェアリング
石油元売りの出光興産がソーラーシェアリング 営農型太陽光発電の事業展開を目指して木更津市で実証実験を始めたそうです。
次世代営農型太陽光発電の実証事業開始について 農作物の生育に配慮した発電で農地におけるカーボンニュートラルに貢献します | ニュースリリース | 出光興産
適地が少なくなった太陽光発電において、新たに期待されているのが、全国に約430万haある農地といいます。
出光が着目するのは全農地面積の50%以上を占める稲作地「水田」。ここに太陽光を自動追尾して可動する架台と両面受光型の太陽光パネルを設置、農作期であり4~8月にはパネル下で栽培するイネへの太陽光照射を優先させ、これによって農作物の収量と品質の維持・向上を図るといいます。
出光によれば、太陽光追尾型架台および裏面も受光可能な両面モジュールを用いることで、農作期に農作物への照射を優先した際の逸失発電量は、通年で補うことができるといいます。出光は、今後数年以内を目途に規模を拡大、展開していくことを目指すそうです。
こうした取り組みで、地域に根差した分散化電源の普及につながればいいのかもしれません。
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太陽光発電の先進地となった中国でも、屋根上などの小規模太陽光が拡大しているそうです。2022年だけで51GWが新規導入されたそうです。この規模は「大型原発51基分」になるといいます。規模、スピード感の違いを感じます。
しかし、それは太陽光発電にまだポテンシャルが残されているということでもあるのでしょう。
原発に回帰することなく、再生可能エネルギーを拡大することができるサービスが整いつつあるように感じます。
「参考文書」
太陽光発電×農業で食の循環を目指す「ソーラーシェア」の目指す先 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
太陽光を追尾してイネ栽培と発電を両立、出光興産がソーラーシェアリング実証:太陽光 - スマートジャパン
GX推進法が成立 政府、脱炭素加速へ20兆円拠出―官民で150兆円超投資:時事ドットコム