Up Cycle Circular’s diary

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間近に迫るCOP26、慌ただしい企業などの動き、セブン&アイ、ANA他

 

 2021年11月に開催されるCOP26 国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が10月末、イギリス グラスゴーで開催されるのを前にして、企業などが様々なGHG温室効果ガス排出削減への取り組みに関連する内容を発表しているようだ。

世界の金融機関220社、COP26を前にグローバル企業1600社に1.5度目標の設定を求める | サステナブル・ブランド ジャパン | Sustainable Brands Japan

 セブン&アイ ホールディングスは、役員に支払う株式報酬を二酸化炭素の削減目標の達成度合いで変動する方式を採用したという。

 日本経済新聞によれば、役員報酬の2割を占める株式報酬と連動させ、経営幹部の環境意識を高めるそうだ。2022年2月期に支払われる分から適用し、中長期的な脱炭素目標の達成につなげるという。

 

 

 ANAは、バイオ燃料など「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」持続可能な航空燃料等を活用した新たなプログラム「SAF Flight Initiative: For the Next Generation」を立ち上げ、お客様のCO2削減に貢献していくという。

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(画像:ANA

 また、このプログラムは、産業横断的にSAFの生産と活用拡大に取り組んでいくことも目的としているそうだ。

 この新しいプログラムでは、従業員の出張等でANAの航空機を利用する企業向けの「コーポレートプログラム」と、物流・貨物事業者向けの「カーゴプログラム」の2つが用意されている。それぞれ、温室効果ガス排出量の算定・報告の国際基準であるGHGプロトコルのスコープ3に対応し、第三者機関の認証を受けたCO2削減証書を発行するという。

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(資料:ANA

「SAF Flight Initiative」プログラムを立ち上げ、持続可能な航空燃料等でお客様の航空輸送に係るCO2削減に貢献します|プレスリリース|ANAグループ企業情報

 この新プログラムの第一弾として、日本通運近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスとともにSAFを使用した貨物便を9月29日に共同で実施したそうだ。

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(写真:ANA

 また、ANAは、JAL日本航空と共同で8日、航空業界の二酸化炭素排出を2050年までに実質ゼロにする目標の達成に向けたリポートを発表した。

ANAとJAL、2050カーボンニュートラルに向けたSAF(持続可能な航空燃料)に関する共同レポートを策定|プレスリリース|JAL企業サイト

 レポートは、現在の世界のSAF生産量は需要の0.03%未満に留まり、量産と普及が急務と指摘、2050年の環境目標を実現させるには、航空輸送に関わる産業が横断的に協力してSAFの技術開発、生産および利用を加速させ、2030年には最低でも使用燃料の10%をSAFへ移行するマイルストーンが必要という。成長が見込まれるアジア圏のSAF市場は2050年には約22兆円におよぶ巨大な市場になるという。

 

 

電力や水素で動く航空機の研究も進んでいるが、共同リポートはより多くのエネルギーを消費する中大型機については「引き続き液体燃料が必要になる」と指摘。今後、航空需要の増加が見込まれることも踏まえると、日本で50年に「実質ゼロ」を実現するには最大2300万キロリットルのSAFが必要だと試算した。これはコロナ禍前の19年に消費した化石燃料の2倍程度に当たる。 (出所:JIJI.COM

「SAF」は、バイオマスなど、収集・生産から燃焼までのライフサイクルでCO2排出量を従来の燃料より約80%削減することができるそうだ。

 それに加え、空港等で給油する際、既存のインフラをそのまま活用できる点においても評価できると、レポートは指摘し、2050年に航空輸送によるCO2排出実質ゼロを実現するうえで不可欠な代替燃料という。

 ミドリムシユーグレナ社を始め、「SAF」の量産プラントが今後稼働となり、コスト低減も見込まれる。まずは、航空業界が先例となって、カーボンニュートラルへの道筋が明確になれば、いいのかもしれない。

 IEA 国際エネルギー機関がCOP26を前にして、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするには、これまで各国が打ち出した気候変動対策では不十分だとする報告書を発表したという。NHKによれば、IEAのビロル事務局長は報告書で「クリーンエネルギーへの移行を加速させることで得られる社会的、経済的利益は大きく、何もしなければ代償は計り知れない」として、各国に対策の加速を促しているそうだ。