不思議とコーヒーと縁がある。シンガポールに駐在していたとき、オフィス近くのコーヒーショップのバリスタたちとの会話が楽しくて、毎日通うになった。そのときはまだコーヒーの味がとか、うんちくにはまだ縁遠かった。帰任して、その習慣がやめられず、スタバに通うようになった。バリスタたちとの会話も楽しく、コーヒーのうんちくを聞かされ、興味をもつようになった。
よく通ったスタバのバリスタは、エチオピアのコーヒーが好きだったといっていた。酸味とフルーティな味わいが好きという。その味わいは、アフリカ系の豆の特徴がよく出ているのかもしれない。
そのエチオピアでは近年、農地の開拓等による森林の減少が著しく、かつて国土の約35パーセントをしめた森林が、わずか11.2パーセントにまで減少し、危機的状況にあるという。残された森林はオロミア州に集中し、特にベレテ・ゲラ地域には、15万ヘクタールという広大な森林があるそうだ。そして、そこは貴重な野生動植物の宝庫であり、またアラビカコーヒーの原産地ともいわれているという。
その森林生態系保全のため、JICAが03年に「ベレテ・ゲラ・フォレスト森林保全プロジェクト」を立ち上げ、現地支援を行っている。その活動に、コーヒーメーカーのUCCが2011年から参加、現地で技術指導にあたっているという。
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森林の中に自生するコーヒーの価値を引き出し、高付加価値製品として認知度を上げるため、品質改善から取り組み、現在は、生産管理方法や物流体制のレベルアップに力をいれているそうだ。
このプロジェクトにより、住民たちは森林を伐採せずに生計を立てることができるようになり、結果として森林生態系保護につながる様々な成果を上げているという。
そして、そのコーヒー豆は日本に輸入され、東海道新幹線のワゴン販売コーヒーにも採用されたそうだ。このベレテ・ゲラ産コーヒーは、UCC上島珈琲の「Café no Bar(カフェノバール)」など購入することができるという。
森林広げてコーヒー生産量も増やすUCCのサステナビリティ活動 品質コンテストなどを通じて各生産国と協働 次世代教育でも脚光(食品新聞) - Yahoo!ニュース
コーヒーにまつわるちょっと素敵な話だなと思いつつも、まだまだ慈善活動的な色合いが濃いのかもしれない。
食品新聞によれば、UCCは、中学生・高校生・大学生を対象としたオンラインセミナーで、コーヒーから気候変動をはじめとするSDGsの課題を考えてもらう機会にしてもらっているという。
その一方で、エチオピアの住民たちが、そのコーヒーの販売によって自立的に収入が得られ、またその地域での森林管理が継続されていくためには、もっと協力して参加する住民を増やしていく努力も必要なのではなかろうか。
フェアトレードに取り組み、それをスケールさせたスタバのようなビジネスが正しいことではないのかもしれないが、自然を保護し、関係するすべての人々に幸福を届けるためには、相反するようだが、それを大きくしていくことも求められているのだろう。