Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

長引きそうな戦争、高まる地政学リスク、続きそうな物価高騰

 

 ロシアでのインフレ懸念が高まり、既に始まった物価上昇と一部商品の品薄を受けて、ロシア国民は買いだめに走っているという。ロシア政府は、生活必需品はまだ豊富にあると毎日のように説明するが、そうした言葉は伝わっていないという。

ロシア市民はパニック買い、経済は順調との政府見解受け入れず - Bloomberg

 一部の通販サイトでは大手企業の砂糖が在庫切れになり、無名のブランドが3倍の価格で販売されている。生理用ナプキンやオムツ、ペットフード、コーヒーカプセルなどの需要は強く、外国企業の現地生産品や輸入品が特に不足している。(出所:ブルームバーグ

 戦争の影響がにわかに顕在化してきたということなのだろうか。

 

 

 こうした影響は何もロシアに限ったことにはならないのだろう。

 米国のイエレン財務長官が、ロシアのウクライナ侵攻に起因するエネルギー・商品コスト上昇により世界の成長は落ち込むと予想したという。

イエレン財務長官、米経済に弱さ見られず-世界成長は落ち込むと予想 - Bloomberg

「さまざまな国に余波が広がることを懸念している」と指摘。エネルギーや小麦などモノの値上がりは、「向こう1年にわたって世界の成長見通しを押し下げる可能性が高い」と語った。(出所:ブルームバーグ

 ウクライナ危機以降の円安が気になる。円安は輸入価格の高騰を招き、日本の経済にも影響を及ぼすのだろうか。

 かつては「有事の円」と言われ、危機が起きれば、円高に振れたものだが、足元では真逆の円安である。

ウクライナ危機でリスクオフの円買いがほとんど出なかったのは衝撃だった。円は安全通貨とは認識されなくなっているのかもしれない。(出所:ロイター)

アングル:円安と円高、プラスはどちらか 市場気迷いの背景にある変化 | ロイター

「今の円安をどう活かすかが重要だ」、

「国内の工場を増やせばサプライチェーン制約のリスクを低減することができる。一次産品の輸出を進めれば世界の食糧危機の対策にもなる。再生エネルギーへの転換を大胆に図れば日本を見る目も変わるかもしれない」と、ニッセイ基礎研究所のチーフエコノミストの矢嶋康次氏が話しているという。ひとつの回のような気もする。

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 日本の農林水産物、食品の輸入額は前年比14.3%増で、このうち農産物が7割近く占めているという。輸出額が2021年に初めて1兆円を超えたというが、外国に依存する状況が続いている。

 海外で、今回のように食糧輸出国で有事が起きれば、食料価格は高騰する。この先はさらに気候変動による大規模災害によって食糧需給が圧迫されかねない。これに円安が加われば、その輸入価格のさらなる高騰し、どうなってしまうのだろうか。

 政府も物価高騰対策に動くようだが、政府関係者はいつものように「必要があれば機動的に対応していきたい」と述べているという。

 

 

 スタバが4月13日から、コーヒーやフラペチーノなどを10円~55円程度値上げするという。コーヒー豆の価格は高値圏で推移し、「コーヒー豆やその他の原材料の価格高騰を踏まえた」とことが値上げの理由のようだ。

スタバ、主要飲料10~55円値上げ コーヒー豆高騰で: 日本経済新聞

 戦争が早期に終結し、世界が再びもとに戻るのなら、それに越したことはない。だが、今の情勢からすれば、この先は今までと違った世界になっていくように思えてならない。

 地政学リスクの高まりに加え、気候変動対策も進めていかなければならない。リスクばかりが高まっていくのに対し、その対応力が向上しなければ、コロナ禍で傷ついた社会がさらに悪化しかねない。停戦の実現に最大限尽力するとともに、早期に国力の回復に努めるべきなのだろう。