オーストラリアが、ウクライナの要請を受け、発電用の石炭7万トンを提供すると発表したという。輸送も含めた費用は豪政府が負担するそうだ。
【コラム】西側諸国はグローバル化を救え-編集主幹ミクルスウェイト - Bloomberg
他方、ロシアに足してはアルミニウムの原料となるアルミナの輸出を禁止したそうだ。
アルミナの輸出禁止については「ロシアにとって重要な輸出品であるアルミニウムの生産能力を制限する」ためだと説明した。豪政府によるとロシアはアルミナ需要の2割近くを豪州に依存している。 (出所:日本経済新聞)
こうした措置でプーチンを支える新興財閥オリガルヒの一角を締め付け、戦争抑止に役立てばいいのだろう。ただアルミニウムの世界需要にどれだけの影響を及ぼすことになるのだろうか。
一歩先行くアップルのアルミ調達
そんな中、米アップルが低価格帯スマートフォンの「iPhone SE」向けに、二酸化炭素排出量が少ない方法で製造される「グリーンアルミニウム」の大口購入を開始すると発表した。
この「グリーンアルミニウム」は、米アルミ大手のAlcoa(アルコア)社と英豪資源大手のRio Tinto(リオ・ティント)社とのジョイントベンチャーであるElysis(エリシス)社のカナダ ケベック州にある産業研究開発センターで製造されたという。
その製造過程では、二酸化炭素が排出されずに、酸素だけを排出するという。また、また、エネルギーには水力発電を利用しているそうだ。
アップルはこれを「ダイレクトカーボンフリーアルミニウム製錬工程」と呼んでいる。
アップルはこれまでにアルミ調達において、様々な施策を実行し、アルミニウムに関連するの炭素排出量は2015年以降70パーセント近く減ったという。
そして、新しいiPad Airを含むiPadラインナップの全モデル、最新のMacBook Pro、MacBook Air、Mac mini、Apple Watchは、筐体に100パーセント再生アルミニウムを使用しているという。
コスト高になりそうなアップルの調達施策であるが、それが功を奏し、ウクライナ危機によるさらなるアルミの価格高騰や調達難も難なく乗り越えていくのだろう。
環境対応は事業活動の安定に寄与するのか
そればかりでない。アップルは2018年以降、データセンターだけでなく、44か国にあるすべてのオフィスと直営店の電力を100%クリーンエネルギーで賄っているという。
たとえば、デンマークのヴィボーにあるアップルのデータセンターは、アップルが投資した世界最大の陸上風力発電によって発電された電力が供給され、余剰電力はすべてデンマーク国内の電力グリッドに送電されているという。また、今後1年かけて、このデータセンター業務を拡大し、過剰な熱エネルギーを捕捉して街に長期的なメリットをもたらす新しいインフラを構築する予定という。
24か国175社以上のアップルの製造パートナーは、既にApple製品の製造に100%再生可能エネルギーを使うことを確約しているといい、化石燃料に頼らずとも事業活動が継続できることが何とも頼もしい。
ほんの少し前までは、コスト高になるとみられたこうした施策を誰もより早く実行したことで、様々な要因で供給網サプライチェーンが混乱するこの時代にあって、誰もより安定的に事業を活動することができるようになったということであろうか。
そして、これらはESGの基準にも何ら矛盾がないということなのだろう。
こうしたアップルのやり様は、どんな事業においても参考にすることはできるのではなかろうか。
「参考文書」
米アップル、脱炭素化強化で「グリーンアルミ」大口購入開始へ | ロイター