Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

脱炭素にGXで、衰退した国内産業を再生できるか

 

 脱炭素の取り組みは費用がかさむため、企業は二の足を踏みがちという。脱炭素には環境意義もあり、ESGにおいても求められはするが、大規模な先行投資が必要となり、収益に反映されるまでには時間を要する。経済産業省は、脱炭素の取り組みを加速させ、これ合わせて企業の稼ぐ力の強化を図りたいという。

脱炭素と成長を両立へ、政府が新たな指標検討-企業の積極投資促す - Bloomberg

 ブルームバーグによれば、経済産業省は「クリーンエネルギー戦略」について検討する有識者会議を開き、中間整理をまとめたという。それによれば、脱炭素と経済成長の両立を図るため、企業の取り組みを評価する新たな指標を検討する方針を明記したという。岸田政権の目玉政策の一つとして、6月にまとめる政策指針に反映される見通しという。

 

 

 岸田首相が、環境を重視して社会構造を変革する「GX:グリーントランスフォーメーション」を経済成長の起爆剤に据えていると日本経済新聞が指摘する。このための基金とインフラ整備や補助制度の見通しを示し、企業が中長期で事業計画を立てやすくするのが狙いがあるという。

脱炭素へ基金、政府が20兆円規模 送電網など投資促す: 日本経済新聞

基金が支出する投資はデジタル技術を使って電力を需給に応じて効率的に送るスマートグリッド(次世代送電網)がひとつの柱だ。半導体製造拠点やデータセンターなどデジタル基盤の整備は30年時点で官民で3.5兆円必要になる。

風力発電を大都市に送るために地域を越えた送配電網の連結も強める。資金支援で電力会社の投資を促す。(出所:日本経済新聞

 脱炭素を成長機会とすることは可能だが、そこには企業努力が求められるのだろう。

 かつて、再生可能エネルギー普及の機運が高まり、太陽電池、風力で世界をリードした。しかし、その後、政府によりはしごを外されて、苦虫を嚙み潰さなければならなくなった。

 秋田、能代両港で風力発電事業を手がける秋田洋上風力発電の岡垣社長の声を朝日新聞が紹介している。

かつて、日本企業が発電用の風車を輸出していた時代があった

「主要部品はほぼ海外製。日本企業を選ばなかったのではなく、残念ながら選択肢がそもそもなかった」と話したという。

 風車はデンマークのベスタス製で、発電機が入るナセルや羽根、支柱は欧州や中国製を船で運んできた。国内での調達率は2割ほどにとどまるという。

近づく「再エネ敗戦」、逃した変革の好機 グリーン成長の虚実に迫る:朝日新聞デジタル

欧州や中国が先を行く中、日本の風力発電産業は縮み続け、まとまったサプライチェーン(部品供給網)は国内に存在しない。政府は40年に国内調達率を6割にする目標を掲げる。(出所:朝日新聞

「絵に描いた餅とならないよう取り組む」と、秋田風力発電の社長は自らを戒めているとい。

 

 

 かつてあった産業が廃れれば、雇用を失う。安定的な雇用が喪失し続ければ、いずれ国の勢いは減じていく。国の勢いを取り戻そうと、廃れた産業の再興に取り組めば、国の勢いを取り戻せるのかもしれない。ただ時間は容赦なくかかることになるのだろう。短期的な思考に陥れば、結果が出る前に諦めることになる。

 ものづくり、製造業は幾重に重なった産業集積があって成立する。素材産業、素材を機械加工する産業、それらに使用する治工具や設備の産業、電子部品産業、電子部品をプリント基板に実装する組立産業、そして、それらをつなぐサプライチェーンマネージメントに、物流、集まったそれら部品を最終的に組み立て、検査する。

 時流といえば、それまでだけのことだが、こうした産業の多くが海外に流出し、国内産業が衰退していった。ただ、自動車や半導体製造装置など、まだ残っている産業もあるのだろう。そうした産業の力を借りるのもいいのかもしれない。

 

 

「リジェネラティブ(Regenerative)」、2022年のトレンドワードになるかもしれないとForbes がいう。

「あるステージで当初の役割を終えたものが、次のステージで再び何かの役に立つこと」という意味を含んでいるという。欧米でサステナビリティに先駆的に取り組む企業でよく使われる言葉だそうだ。

2022年、注目すべきキーワードは「リジェネラティブ」 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

「リジェネラティブ」=再生、再生力のあることを意味する。日本企業に、はたして再生力は残っているのだろうか。