4月新年度を迎えれば、気持ちも新たにと思うものだが、今年は少しばかり重苦しさがあるのではなかろうか。今年の4月はさまざまなモノやサービスが値上げとなっている。
物価が上昇する中で景気が後退するスタグフレーションのリスクが顕在化しつつあるとブルームバーグはいう。
きょうから新価格、日本直撃する物価高にスタグフレーションの足音 - Bloomberg
欧米でのコロナ禍からの経済回復で、原材料や原油価格が高騰、輸送費などが増加し、日本国内においても値上げが徐々に対象商品を広げていった。2月にはロシアのウクライナ侵攻が始まり、3月には米国が利上げしたことにより急激に円安が進み、こうした影響で、4月以降も輸入コストの増大を通じて物価はさらに押し上げられる可能性があるという。
ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、今の問題を「物価がどこまで上がるかわからず、怖くて消費できなくなること」だと話す。「日本は賃金が上がらずインフレ対応力がない」ため、スタグフレーションが「今起き始めている」と分析。家計にできることは「5個買っていたものを3個にしたり、家や車など高額なものを買わないことしかない」という。(出所:ブルームバーグ)
政府もこうした事態を鑑みてのことか、経済対策という言葉を口にするようになった。ただ、元を正すような対策ではなく、いつもの対処療法的なことが行われることになるのだろうか。
地産地消、地域循環型社会を目指して
エネルギー価格高騰を受け、自前で発電設備を持たない新電力が次々と倒産に追い込まれるようになった。そんな中、栃木県那須塩原市では、「循環型地域」を目指し、市や事業者などからなる新電力を設立する予定という。
太陽光、バイオマス、小水力…「電力も持続可能」な地域に 栃木県那須塩原市が新会社 / 日本農業新聞
日本農業新聞によれば、太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギーで発電した電気を、市内の一般家庭や民間事業者にも供給する予定という。地域資源を活用した電力の「地産地消」を目指すそうだ。
背景の一つに、農業での環境対策がある。同市は本州一の生乳生産量を誇るが、乳牛のふん尿の活用などで課題を抱える。増える遊休農地への対応も急務だ。電気代として年間177億円が市から流出している。それを市内で循環させるため、新電力への置き換えを進めたい考えだ。(出所:日本農業新聞)
この他にも今年中に、食品残渣を活用、既存設備を使って発電した再エネの小売りを始め、小水力、太陽光、家畜ふん尿などを利用した電源開発も進める考えという。
こうしたアクションで経済が活性化し、企業や移住者の呼び込みにつながり、雇用拡大や賃金改善につながっていけばいいのだろう。
ウクライナでは戦闘が続き、農業従事者の手当てが出来ず、収穫や来年の作物につながる種まきの開始が非常に困難な状況になっているという。
CNN.co.jp : 小麦の輸出大国ウクライナ、侵攻で今年の収穫や種まき不可能か
CNNによれば、ウクライナ政府は3月初めに、小麦、トウモロコシ、穀物、塩や肉を含む主要な農産物の輸出禁止を閣議決定した。
ウクライナ危機を背景に、エネルギーや食糧など自国で賄う必要性が高まっているということなのだろう。
「参考文書」
自社の「ごみ」は他社の資源。デンマークの工業都市で50年前から実践してきたこと | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)