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肥料価格の高騰が食料不足を招く恐れ、日本のコメは問題ないのか

 

 食料不足が深刻化しそうである。中東地域では危機的状況になりつつあるとの報道を目にするようになった。そうした地域では、小麦をウクライナとロシアからの輸入に頼っていたという。

 そればかりでなく、ロシアからの化学肥料の原料が滞ることで、世界各地の農業の出来高に影響を及ぼす懸念があるという。日本も例外ではないようだ。

【食料危機がやってきた】肥料供給難で世界農業に致命的な影響も(1) 資源・食糧問題研究所 柴田明夫代表|JAcom 農業協同組合新聞

「化学肥料原料のほぼ全量を輸入に依存している日本も心配」とJAは指摘する。

日本は、トータルとしての化学肥料の消費量は限られるものの、ヘクタール当りの消費量は268キロで、中国の389キロに次いで世界第2位だ。特に、リン酸アンモニウム、塩化カリウムはほぼ全量輸入だ。農林水産省によれば、世界的に資源が偏在しているため、輸入相手国もカナダ、中国、ロシア、ベラルーシなどに偏っている。(出所:JAcom 農業協同組合新聞

 

 

日本のコメは大丈夫なのか

「肥料コスト高騰でコメの生産量減少の可能性」とブルームバーグは指摘する。

 肥料の価格上昇を抑制できないと、人類の半数が主食とするコメの収穫を脅かし、本格的な食糧危機につながる可能性があるという。

食糧危機が深刻化へ、肥料コスト高騰でコメの生産量減少の可能性 - Bloomberg

肥料の使用量減少は、作物の収穫量減少を意味する可能性がある。国際稲作研究所(IRRI)は、次のシーズンに収穫量が10%減少し、コメ3600万トン、5億人分相当の供給が失われる恐れがあると予測している。(出所:ブルームバーグ

 日本の米生産にも影響があるのだろうか。また、価格高騰につながったりすることはあるのだろうか。

 

 

G20財務相会議で食糧問題を協議

 ロイターによると、G20の議長国を務めるインドネシアのスリ財務相が、財務相会合の第1セッションで、食料を巡る安全保障が重要になるとした上で、食料やエネルギーの価格高騰が「大きな政治的・社会的不安を引き起こす」可能性があると警鐘を鳴らしたという。

ウクライナ戦争で世界の食糧難の状況悪化=イエレン米財務長官 | ロイター

 このG20の会議では、ウクライナ危機が世界経済に及ぼしている影響は全てロシアの責任だと、明確なメッセージを打ち出すことを意図していると、ブルームバーグが報じている。

G20会合、世界経済への打撃は「全てロシアの責任」と明確に主張へ - Bloomberg

 これはドイツ政府当局者が明らかにしたものという。

ロシアがこのG20会合の形式や議題を左右するようなことはあってはならないとの合意が、長い協議の末に形成された。会合はロシアに対して明確なメッセージを送る場になるべきだと、この当局者は語った。(出所:ブルームバーグ

 食糧問題はSDGsの根幹をなすものでもある。どの国も無関心になってはならず、応分に責任を負うべきはず問題である。

 かつて米国は1980年代まで、「世界のパン篭」の役割を果たし、大豆、トウモロコシ、小麦の在庫を豊富に持ち、食糧不足に陥った国々に対して必要な食糧を供給していたという。しかし、冷戦が終結すると地政学リスクは低下し、経済合理性だけから米国はすかさず低在庫戦略に切り替えたという。

 世界が再び食糧不足時代を迎えるようになって、「世界のパン篭」の役割を果たすのどの国になるのだろうか。ロシアがその役割を担うかもしれないとJAは指摘する。それでいいのだろうか。叡智を結集した何らかの対策が求められるのだろう。