また食料品が値上げになる、電気代も上り、そんなことを伝えるニュースに辟易です。国はロシアの影響と言い訳するばかりで、円安にも歯止めはかからず、さらなる物価高騰が心配になります。
よくならないことばかりが増えています。
そんな中、農業協同組合新聞が目にとまりました。東京ビッグサイトで開催された「日本の食品輸出EXPO」を取材し、コメとその関連商品の輸出目標が達成できるかもしれないといいます。その背景に、大きく変わった貿易環境があるそうです。
コメで作ったグルテンフリーのラーメン用の麺。ニューヨークではラーメン1杯が日本円換算3000円で提供されるまで円安が進み、麵1袋で148円のFOB(日本国内本船渡し)価格でさえ、極めて安い商品に写るようになっているといいます。
これまで海外でグルテンフリーのパスタを売り込んでいたが、海外のバイヤーから「どうしてわざわざ日本からパスタを買わなくてはならないのか。それよりもラーメン用のグルテンフリー麺を作って欲しい」と言われ、商品開発を続け、今年8月に販売出来る目途が付いたことから展示会場で紹介した。(出所:JA.COM)
この他にも以前で考えることもできないほどの数量での引き合いがあるといいます。
ラーメン用米めんの輸出価格は1袋148円 大量の米取引打診も【熊野孝文・米マーケット情報】|JAcom 農業協同組合新聞
農業だけに急激に数量を増加させることは困難なことかもしれませんが、創意工夫次第で、輸出を含め販売の拡大は見込めるようになってきたということでしょうか。こうしたことをきっかけにして、就農人口の減少に歯止めがかかり、食糧自給率の向上にも役立てばいいのかもしれません。
一方、電気代については深刻なのかもしれません。世界的なエネルギー危機といわれるようになり、過去の石油ショック以降で最も深刻な状態といいます。
痛みを避けるすべはなく、燃料や電力価格の高騰により、ほとんどの国が低成長やインフレ、生活水準の低下、激しい政治的反発に直面していると、日本経済新聞はいいます。
日本同様、欧州も熱波に襲われ、スペインではガス需要が過去最高水準に達し、ドイツではエアコンの使用で電力需要が増え、休止させている石炭火力発電所を再稼働させる方向といいます。
エネ危機てこに気候対策改善を(The Economist): 日本経済新聞
暑い過ぎる夏を乗り越えるためには、化石燃料に頼り、電力を確保せざるを得ません。それが化石燃料の需要増となり、価格を押し上げていきます。
過去の災難と同様、短期的には値上げという痛みをもたらすとともに、長期的にはエネルギー産業は変革を迫られると日本経済新聞はいいます。
各国政府は送電網の到達範囲や容量、貯蔵能力を増強するとともに、再生エネ発電の容量拡大を今も必要以上に難しくしている障害を取り除かねばならない。送電網と電力市場の設計はまさに政府が取り組むべき問題だが、政府は20世紀型の発想にとらわれることがあまりに多い。(出所:日本経済新聞)
やらなければならないことが明確になっているのに、優先度があがらないことに腹立たしく思えます。
欧州では、G7サミットに続き、NATOの会合がありました。喫緊の課題が安全保障の危機ということも理解はします。しかし、5年後とはいいますが、防衛費を増額していく必要がほんとうにあるのでしょうか。それでは、20世紀型の発想から抜け出ていないことの証のように感じます。
「気候危機への世界の対応は総じてお粗末だが、その中で再生エネの推進はこれまでに最も成功している部分」とも記事は指摘しています。
その気にさえなれば、出来ないことはないとういうことではないでしょうか。電力需給逼迫注意報は解除となりましたが、引き続き節電は求められます。暑い夏はこれからが本番です。我慢の夏になるのでしょうか。ちぐはぐなことばかり感じる今日この頃です。
「参考文書」
頼るべき“ルール”見えぬ脱炭素、国内製造業は立ち止まらずに進めるのか:製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ) - MONOist