ENEOSが、石炭や石油権益の売却を進めながら再生可能エネルギーに投資する方針だという。大型権益から撤退し、二酸化炭素(CO2)回収などを強化するそうだ。
ENEOS傘下のJX石油開発が、英国の北海油田での原油生産から撤退すると発表したそうだ。
ENEOS、英国の油田を売却 1800億円規模: 日本経済新聞
日本経済新聞によれば、JX石油の今回の売却で英国内の権益はなくなるという。ENEOS同様石油元売りの出光興産も20年にノルウェー領バレンツ海に持つ油田の鉱区権益の一部を売却するなど、石油権益の整理を進めている。
未来を見越し、座礁資産を縮小しようと、売却できるうちにできるだけ売っておこうとの流れなのだろうか。
カーボンニュートラルメタン、都市ガスの脱炭素
化石燃料に依存する企業の事業転換の動きが活発化してきたのだろうか。
東京ガスが、三菱商事と共同で、都市ガスの脱炭素化に資するカーボンニュートラルメタンの導入を目指し、北米、豪州、中東、アジア等LNG輸出国において、再生可能エネルギー由来のグリーン水素とCO2から製造する「合成メタン」のサプライチェーン構築に関する事業可能性調査を開始することに合意したと発表した。
東京ガス : カーボンニュートラルメタンのサプライチェーン構築に向けた北米、豪州等における事業可能性調査の開始について
これとは別に住友商事とも、マレーシアにおいて、カーボンニュートラルメタンを合成、日本に導入するサプライチェーンを構築する事業可能性調査を共同で開始することに合意したという。
東京ガスによれば、カーボンニュートラルメタン導入の実現には、海外の安価な再生可能エネルギーから作られるグリーン水素が不可欠という。
自然エネルギーであれば、どの国においても無償なはずだが、現実には海外であれば、安価に利用できるということなのだろう。少しばかり残念でならないが、致し方ないのだろう。
東京ガスの低炭素化、そして脱炭素
東京ガスは、「ガスも電力も脱炭素技術に強みをつくり、お客さま先での実装拡大を通じてカーボンニュートラルへの移行をリード」という。
また、低・脱炭素化の社会的コストを抑制し、エネルギー安定供給の責任を全うしながら着実な移行をリードし、トランジション期は、燃料転換・スマートシティ化・カーボンニュートラルLNG・CCUSにより国内外のお客さま先のCO2削減に貢献するという。
そして、ガスエネルギーの脱炭素化に向け、メタネーション・水素製造を自社コア技術として確立するそうだ。
日本経済新聞によれば、東京ガスは22年3月期から株主還元を引き下げ、浮いた資金を投資に回すという。
東京ガス、再生エネに6千億円 還元引き下げ分も充当: 日本経済新聞
成長領域への総投資額は2兆円規模に上り、エネルギー転換で利益水準を2倍に高める。
東ガスの内田高史社長は同日の記者会見で「脱炭素を含む成長領域へ投資割合をシフトさせる」と述べた。実現のため、国内外の再生エネ事業への投資額6000億円を含む2兆円規模を投じる。(出所:日本経済新聞)
今足元ではガス料金が値上がりを続けている。来年1月まで5か月連続で値上がりすることになるという。燃料であるLNG=液化天然ガスの輸入価格の上昇が続いており、ガス料金の値上がりが半年先まで続くという見方もあるそうだ。
ガス料金値上がり 東京ガス 内田社長 半年先まで続くとの見方 | NHKニュース
脱炭素の歪みなのかもしれない。中国が石炭からLNGへの転換を急激に進めているという。「来年2月の北京オリンピックに向けて燃料の調達を増やせば、LNGは今後も高い価格が維持されることになる」そうだ。
やむなしなのだろうか。何か有効な対策はないものだろうか。優先順位を決めて、何を犠牲にすればいいのだろうが、そうできていないということなのだろう。