Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

活発化するCOP26の議論、顕在化する脱石炭に後ろ向きなに日本

 

 COP26での動きが活発化している。それぞれの国にそれぞれの思惑があって、すべての事項に、すべての国が賛同することはないようだ。

 COP26 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議で「エネルギーデー」と位置づけた4日、英国主催のイベントで、「先進国などが2030年代、世界全体で40年代に石炭火力を廃止し、ガス排出の削減策のない新たな発電所の建設を中止し、公的な輸出支援も終える」という声明が発表されたという。

脱石炭火力の動き加速 COP26で廃止の声明も 日本は不参加 :朝日新聞デジタル

「世界全体での石炭からクリーンパワーへの移行」と題したこの声明には、40以上の国が賛同したそうだ。賛同国にはポーランドベトナムなどが加わり、日本を始め、米国、中国、インドは加わらなかったという。

 

 

未だ石炭を捨てられず

 日本が「化石賞」を受賞すべきして受賞したと自ら証明したようなものではなかろうか。

 朝日新聞によれば、ジョンソン英首相は岸田文雄首相と会談した際、脱炭素の取り組みを歓迎しながらも、「脱石炭の新たな誓約を期待する」と改めて申し入れたという。英国政府にはそれが記されているが、日本政府の公表資料には、要請があったという記載がないと指摘する。

岸田政権は、菅前政権から引き継いだエネルギー基本計画を10月に閣議決定。計画では、30年度の電源に占める石炭火力の割合を「19%」と想定する。19年度の実績である32%からは約4割減らすが、電力の安定供給には一定量は頼らざるを得ないとの立場だ。経済産業省幹部は「譲歩はあり得ない」と話す。(出所:朝日新聞

 また、石炭にしがみつきたい経産省が頭をもたげ始めたのだろうか。

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ESG関連などの情報開示基準が統一へ

 また、この他にも、国際会計基準IFRS)の策定を担う民間の非営利組織IFRS財団がCOP26で、乱立していたESGに及ぼす影響についての情報開示基準が来年6月までに統合が完了するはずだと発表したという。

IFRS財団が公表した原案は、企業による温暖化ガス排出量について最大限の開示を求めました。工場などで生じた排出量だけでなく、他社から供給された電気の発電や部品調達による排出量も対象です。開示が進めば、投資家は企業を比べやすくなります。企業価値を左右するだけに、気候変動対策が一段と進みそうです。(出所:日本経済新聞

 ブルームバーグによると、米国、中国、インド、日本は、今回の取り組みに支持を表明したという。

 

 

石油メジャーシェルに会社分割の圧力

 米国を代表する物言う株主のサード・ポイントが石油メジャーロイヤル・ダッチ・シェルの株式を取得し、LNG液化天然ガス再生可能エネルギーマーケティング部門を分離し、石油・ガスの生産など従来事業と別会社にすべきだと主張しているという。

シェルCEO、会社分割に反論 脱炭素へ「一貫した戦略」: 日本経済新聞

 シェルは低炭素分野の移行を急いでいるという。石油の生産量は年1~2%のペースで中長期的に減らす一方、風力や太陽光といった再生可能エネルギーの比重を高めるているそうだ。それに加え、植物由来のバイオ燃料、CO2の回収・貯留(CCS)なども推進する構えだという。

 そうであるにもかかわらず、石油メジャーに対しては、投資家や社会からエネルギー転換の加速要求が強まっている。オランダ・ハーグの地方裁判所が5月、シェルに、二酸化炭素(CO2)の純排出量を30年までに19年比45%減らすよう命じる判決を出したと日本経済新聞は指摘する。

 明らかに脱炭素、脱石炭に後ろ向きな日本企業にも、こうした動きが必要なのかもしれない。政府がまた後ろ向きになっているかもしれないのだから。