Up Cycle Circular’s diary

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脱化石燃料へ、COP28での歴史的な合意、真価問われる日本のアンモニア戦略

 COP28 国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議が会期を延長して成果文書を採択しました。

「公正かつ秩序だった公平な方法でエネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却を図り、2050年までに(温室ガス排出の)実質ゼロを達成する」

COP28、化石燃料から脱却で合意 成果文書採択 | ロイター

 歴史的な合意になったそうです。約200カ国の代表が、最悪の気候変動を回避するために化石燃料からの脱却を進めることになるといいます。

「地球沸騰化の時代」、気候危機が現実となってきています。それを回避することは、ほんとうにできるのでしょうか。

 

 

「石油・ガス・石炭の段階的廃止」、その合意を当初、目指していたそうですが、サウジアラビアを中心とするOPEC 石油輸出国機構が、特定の燃料に言及しないよう求めため、今回の文言になったそうです。サウジは、気候変動対応はあらゆる技術を駆使して排出量を削減するものとしている自国の姿勢を繰り返したといいます。

脱化石燃料化、締約国が初の一致 「10年で加速」COP28採択 | 毎日新聞

 化石燃料の代替として原子力などを推進し、再生可能エネルギーの導入量を30年までに世界全体で3倍にするとの目標も盛り込み、また、脱炭素化が難しい産業をクリーン化する炭素回収・貯留などの技術を加速させることも合意文書に盛り込んだといいます。

 サウジ同様、日本にとっても願ったり叶ったりの合意になったのでしょうか。

火力発電延命、アンモニア活用

 日本政府は火力発電に執着し、もっともらしい言い訳をしては、アンモニアや水素を活用するといい続けています。

 再生可能エネルギーについては、他の国と異なり、日照時間や風況に恵まれず、利用できる土地も少なく、発電コストは高いとし、脱炭素化を推進しながら経済成長とエネルギー安定供給を両立させるための現実解は、アンモニアや水素のようなクリーン燃料による石炭火力発電設備の維持といいます。

 ほんとうにそれがベターな解なのでしょうか。

「化石賞」日本が推すアンモニア発電は愚策か、石炭依存国の希望か | 日経クロステック(xTECH)

 日本の電源構成比の約7割を占める石炭と天然ガスのエネルギー転換を目的として、大手電力会社をはじめ、発電設備を手掛けるIHI三菱重工業などが早期実用化に向けて設備開発や実証実験に力を入れる。(出所:日経クロステック)

 自民党による裏金問題で利権政治が露呈しました。そのためかもしれませんが、火力発電の延命は、日本の防衛産業を支える重工業各社の延命のためでもないかとも読めてしまいます。

 

 

 アンモニア発電を全面否定するようなものでもないのでしょう。しかし、それがベストソリューションかと言えば疑義はあるのでしょう。恣意的にストーリーを組み立てれば、それなりの論理は作ることはできます。何がこの国の脱炭素化と経済成長、エネルギー安定供給を両立させるための現実解かの深堀りが足らず、戦略と呼ぶには程遠いように感じます。

 戦略も人の手によって作成されるものであって、それを作る人物次第で中身はいかようにすることもできます。それを政府がお墨付きを与えても、国際社会から批判されては、やはりどこかに落ち度があるのでしょう。

 国際公約を優先させれば、企業の実力が追い付かず、企業の主張を通そうとすれば、目標との矛盾が生じてしまう。こじつけの論理で言い逃れに走り、独りよがりに陥っていく。これではほんとうの意味での貢献などできようはずもありません。

 今夏の異常なまでの高温を経験すると、来年、そして、その先はどうなっていくのだろうかと心配になります。利害を乗り越え、人類の叡智を結集して解決しなければならないのが気候変動の問題なのでしょう。この大きな問題に、私欲を優先させようとすることはいかがなものかと感じずにはいられません。

 

Tシャツで過ごす暖冬、2月に厳しい寒波襲来も-気候変動が覆す恐れ - Bloomberg

 

 

「参考文書」

【解説】 COP28の「大きな前進」 本当に気候変動に影響与えるのか - BBCニュース

どこまで落ちる日本...COP28で不名誉な「化石賞」2回、気候変動対策は世界58位に沈む現状|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト