Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

【COP27】今年また不名誉な「化石賞」、理解を求める努力と知恵が足りないのか

 

 気候変動対策会議の場で毎年選出される、環境NGOの国際ネットワーク「気候行動ネットワーク」(CAN)による「化石賞」に、今年もまた日本が選ばれたといいます。

 化石燃料への公的資金の投資額が世界最多となったことなどが選出理由といいます。

日本に化石賞 化石燃料投資「1.6兆円で世界最多」 COP27:朝日新聞デジタル

 記事のよれば、国際協力銀行日本政策投資銀行などによる石炭や石油、天然ガス事業への投資額が、2019年~21年の年平均で約106億ドル(約1・6兆円)になり世界最多になっているといいます。

 それに加え、アンモニア火力を輸出しようとしていることも受賞理由になったようです。環境NGO側は「偽りの対策」で、「石炭発電を延命させるものだ」と批判、途上国に向けての「損失と被害」の支援ではないと批判しているようです。

 

 

 受賞は不名誉かもしれませんが、正論による批判は正直に受け止めるべきなのでしょう。

 様々なことに首を突っ込み、妙なリーダーシップを発揮する首相も、こと気候変動になると積極的にはなれないようです。担当大臣に任せるべきは任せ、気候変動と向き合う時間を作って、環境NGOの主張にも聞く力を発揮してもらいたいものです。

 渦中のアンモニウム発電については、環境NGOと協業、カーボンフットプリントを厳密に評価して、コンセンサスを形成して、排出削減に寄与する仕組みを構築し、普及啓蒙できればいいのではないかと思います。そうできないのでしょうか。

 気候変動対策からは逃れることはできません。しかし、それと同時にエネルギー危機に対処し速やかに効果を出していくことが求められています。

 使える叡智はみな活用すべき時ではないでしょうか。

 いずれにせよ、環境NGOの批判は計画の不備を指摘してくれているのだから、ありがたいものと受け止めた方がよいのでしょう。そうすることでそれを活かす知恵がうまれるものです。

 日本国内では、第24回日経フォーラム「世界経営者会議」が開催され、米コカ・コーラのジョン・マーフィー社長兼最高財務責任者が講演したそうです。

コカ・コーラ社長「ペットボトル再生、日本が最先端」: 日本経済新聞

 記事によれば、「日本では2022年にペットボトルのリサイクル素材の使用率が50%を超えた」と明らかにし、グローバル目標より8年早く使用率が50%を超え「リサイクルでは日本が最先端にある」と語ったといいます。

 コカ・コーラは、日本のノウハウを展開してグローバルでの100%リサイクル素材の使用などを進めるといいます。

 完全ではないかもしれませんが、世界をリードしている技術やノウハウがあるのであれば、積極的に世界展開すべきなのでしょう。グローバルに貢献していくことはもちろんのことですが、慢性的な円安で苦しい状況でもあるのです。外貨を稼げるしくみにしていくことも求められているはずです。

 

 

『ESG投資で激変! 2030年 会社員の未来』の著者が、「気候変動対策をしない場合に将来予想される世界の経済損失」と「今から対策する場合の世界のコスト総額」を比べると「今から対策する場合」の方が断然安く済むと、主張しています。

 これこそが、ESGに取り組むべき理由といいます。

企業がESGに取り組むと、当面の収益率は下がるかもしれない。その一方で、企業価値はプラスになり、投資家から高く評価される可能性がある。(出所:Flier

 それ故、対応しない企業は長く稼ぎ続けられなくなるといいます。いつまでも、それはそれでなく、気候変動対策をビジネスに変えて、真の「サスティナビリティ」を追い求めるときなのでしょう。

 

 

「COP27」では議長国エジプトが「シャルムエルシェイク適応アジェンダ」と名付けられた、気候変動の影響を最も受けやすい地域に住む40億人の支援に向けた行動計画が提唱したそうです。

 温暖化による環境変化を受け入れ、被害を最小限に抑える「適応」を強化することが狙いといいます。

気候変動被害を最小限に 40億人「適応」へ行動計画―COP27:時事ドットコム

「食の安全と農業」「沿岸と海洋」「インフラ」など5項目について、高温に強い農作物の栽培や、洪水・土砂崩れ災害の発生を知らせる早期警戒システムの導入を含め、2030年までに実現すべき具体策を盛り込んだ。(出所:JIJI.com)

 ありがたいことに、こうした国際会議の場で毎年取り組む課題が示されています。これこそが切実なペインであり、多くの人たちのニーズということではないでしょうか。

 これをビジネスに変える智慧が求められ、これを具現化できる人たちに持続的な成長がもたらされるということなのでしょう。

 

「参考文章」

2030年 会社員の未来 / ESG投資で激変! | 本の要約サイト flier(フライヤー)

ESGは“新しい会社のルール”。気候変動対策は、なぜ私たちの経済に直結するのか|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。

食料廃棄量を半減、マングローブ林の保全…COP27で議長国エジプトが30項目の気候変動適応策発表:東京新聞 TOKYO Web