Up Cycle Circular’s diary

未来はすべて次なる世代のためにある

意識するようになった気候変動、人権問題、残る古い慣習、アップデートできない秩序

 内閣府環境省が、気候変動に関する世論調査の結果を公表しました。気候変動への関心が「ある」と答えた人が89・4%となり、前回調査からも増加しているといいます。また、「脱炭素社会」の認知度が上昇しているといいます。

「気候変動に関する世論調査」の概要 (内閣府政府広報室)

 また、気候変動がもたらす影響の中で、「問題」と思うことでは、「農作物の収量・品質の低下といった食料不安」が86%と最も多く、「気象災害の増加」(76%)や「豪雨や暴風によるインフラ被害」(70%)と次いたといいます。この夏の歴史的な猛暑による農作物の価格の高騰が影響したのではないかと分析されているそうです。

 

 

気候変動や生物多様性、循環型経済、人権、情報開示──。ESGに関する規制が続々とつくられ、2020年以降だけでも世界で300超の規制が施行された。(出所:日経ビジネス

 こんなご時世なのだから、新たな秩序を求めて様々な規制が設けられるのも自然なことのように思えますし、それをみなが欲していそうな気もします。

 過去の伝統を良きものとして、いつまでも墨守するのではなく、現代の火にかけて新しい味わいを問い直す、そんな作業が必要になっているのではないでしょうか。

 遠い異国での紛争が長引き、また中東においては深刻さが増しています。国際情勢の変化が激しく、なかなか世界が一致協力することが難しくなっています。その影響が様々なところにおいて現れているようです。

ESG離れ

 たとえば、世界の資産運用業界では、ESG(環境・社会・ガバナンス)と距離を置く事例が見られるようになり、特に米国が顕著で、政治の影響もあるといいます。共和党がESGに反発を示し、運用会社がESGという言葉を使うのを避けるようになっているといいます。

投信の「ESG離れ」止まらず、新規設定は低迷の一途-金融庁指針後も - Bloomberg

サステナビリティー投資に関して主張を続けてきたフィンク氏は6月、ESGという言葉は極端な左派と極端な右派に誤用されており、もう使わないと表明し注目を浴びた。ブラックロックは、同社の方針が化石燃料業界への打撃だと主張する右派と、気候変動への対応が不十分だとする左派の双方から政治的なバッシングの標的となっていた。(出所:ブルームバーグ

 

 

 欧州は米国ほど極端なESG離れは起きていないものの、運用会社がESGファンド投入を尻込みする状況になっているといいます。日本にあっては、ESGファンドの新規設定が低迷しているそうです。一時ブームになったものの足元で減少、2年前に年間70本を超えた新商品も、今年は8本のみで、一方で、償還が12本になっているといいます。

ブーム去り繰り上げ償還相次ぐ、ESG投信に「異変」-設定2年未満も - Bloomberg

金融庁がESG投信に関する監督指針を公表する中、規制関連の動きやパフォーマンス面でのマイルドな逆風を背景に運用会社が慎重な姿勢を強め、設定が減少している」と専門家は分析しているといいます。残念なことです。

芸能と人権

 旧ジャニーズ事務所の問題を、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会が糾弾し、人権に対する意識の低さを露呈することになりました。宝塚歌劇団の問題も同じなのかもしれません。

 この件について、北野武氏が「徒弟制度的な慣習が根強い組織はまだ一部にある」と指摘したそうです。また、旧ジャニーズ事務所については「商品として人間を扱い、見せ物としてお金を稼ぐという商売が芸能界だという慣習が残っている」とも述べたそうです。

「日本の芸能界は入れ替え時」 北野武監督、外国特派員協会で会見:時事ドットコム

 その時代においてはベターであった慣習も移ろう時代に合わすことができなければ、それが問題になるということなのでしょう。アップデート、変化できていないことが多々ありそうです。

 

 

「参考文書」

旧ジャニーズ、「解体」で終わりではない 企業は未成年の人権尊重にコミットを 冨山和彦取締役協会長に聞く:時事ドットコム

団員死亡「いじめ確認できず」 稽古・指導で心理的負荷―理事長辞任へ・宝塚歌劇団:時事ドットコム

「脱炭素社会」の認知度上昇も、内容や行動はまだまだ 世論調査 [気候変動を考える]:朝日新聞デジタル

気候変動で政府世論調査 「食料不安」が最多 農産物への“打撃”問題視 / 日本農業新聞

【特集 世界のESG規制】気候変動や人権など新ルールが2倍超に:日経ビジネス電子版