Up Cycle Circular’s diary

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【グリーンウォッシュ、欺瞞だったのか】ESG投資のマーケティング資料の見直しが始まるのか

 

「投資家への訴求効果を狙い環境への配慮を装う「グリーンウォッシング」への懸念は、業界全体で明らかだ」と少々ショッキングな内容をブルームバーグが報じます。

 ドイツ銀行の資産運用部門DWSグループが、米国とドイツの規制・監督当局の調査対象になった件のその後を解説しています。

 

 

 それによれば、欧州の資産運用会社は、ESG(環境・社会・企業統治)の看板とマーケティングの宣伝文句の見直しに動いているといいます。あやふやなESG定義がもはや認められない規制の新たな時代が到来し、今回の動きは従来の在り方の清算を迫るものだといいます。

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグによる関係者への調査では、すでに見直しの動きがあるそうです。また、SEC 米証券取引委員会のトップが、ESG投資に関して、ファンドが用いる表現を調査するようスタッフに指示したことを明らかにしたといいます。

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 ウォール街が「サステナブル(持続可能)」な資産だとして、35兆ドル(約3840兆円)規模に適用するESGの表示に関して、米国の規制当局はこれまでずっと疑いの目を向けてきたとブルームバーグは指摘します。

政府や年金基金、企業がそろって二酸化炭素排出量の低下を模索し、善良な市民となることを目指している。

ESGの事情に詳しい関係者らは、こうしたマーケティングの多くは誇大広告だと次々に警鐘を鳴らし始めた。 (出所:ブルームバーグ

www.bloomberg.co.jp

 ブルームバーグによると、SECの調査官らが数カ月前から、ESG資産に分類する基準の説明を資産運用会社に求め、昨年以降これで2度目だといいます。これはこの問題がSECにとっての優先事項であることを示し、業界が当局の対応強化を警戒する理由となっているといいます。

 

 

 DWSの問題は、内部告発により端を発し、DWSはこの主張を否定しています。

 各々の投資商品の中味までは確認できていませんが、DWSのホームページ日本語版を見ると、熱心にESG投資に取り組んでいるように見えます。今回の一連の報道に関しても、以下のような見解を示しています。

DWSは当社の年次報告書の開示内容が適切であると考えています。また当社は、元従業員による申し立て内容を断固として否定します。DWSは、お客様のために運用を行う受託者の役割の一環として、ESG投資の確固たる推進者であり続けます。(中略)

私たちは、常に明確な報告を行ってきました。(中略)2021年7月に発行された直近の半期報告書では、SFDRの新ガイドラインに基づいて改訂されたESG運用商品分類アプローチを適用した結果、ESG運用資産(「ESG Dedicated」)が701億ユーロであると報告しました。また、非ESG運用商品の中にグリーン認証を受けた低流動性資産が164億ユーロ含まれていることも報告しました。(出所:DWS)

funds.dws.com

 欧米での調査がどのような結果となり、新たな規制があるのか気になります。

 米国南部のルイジアナ州に大型ハリケーン「アイダ」が上陸、その後、米北東部でも、記録的豪雨に見舞われ、洪水被害が拡大したといいます。

 バイデン米大統領が記者会見し、「気候危機」が到来したと述べ、被災者支援を約束したそうです。米国各地では自宅に取り残された人の救助活動が続いているといいます。

 こうした気候危機を回避していくことにつなげるのもESG投資の目的のはずです。

 企業の真意を計りかねることがあるのかもしれない。しかし、投資会社には、国連やそれぞれの国の規制したがい、企業活動を見分ける使命を追っているはずです。今までの常識を良識に置き換えていかねばならないのでしょう。良識に従って行動できないのなら、欺瞞と断罪されていたしかないのかもしれません。

 これまでの企業活動が気候危機の引き金だったことはいうまでもないのでしょう。何かを変えなければ、危機を脱することはできないことは自明です。ESG投資が欺瞞に加担することだけはあってはならないはずです。